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「日本産淡水貝類図鑑1」に「カワニナは本当に美味しい」というコラムがあります。
カワニナはチリメンカワニナやビワメラニアとは、比較にならないほど味が良いそうです。
そこで二番煎じながら確認もかねて、比較してみようと思いました。
(磯○さんの佃煮に混入していたタテヒダカワニナは試食済みですが…)

写真左から、ハベカワニナ、チリメンカワニナ、ホソマキカワニナ、タテヒダカワニナ、
ヤマトカワニナ、ヤマトカワニナ肋型、オオウラカワニナ、クロカワニナです。
全て琵琶湖産です。ヤマトと同種のヤマト肋型が、味が違うか気になるところです(誰が)。

しかし! 家であれほど増えていたカワニナ(たぶん同居のヤマトカワニナに駆逐された)が、
全くいなくなっており、わざわざカワニナを捕りに行く気も起こらず、
今回は今家にいるものだけ食べることに。このネタは次回もあるかもです(少し嫌)。
だって、カワニナの他にも捕っている、フトマキとカゴメ(顆著)も食べていないし…。
シライシカワニナもたぶん捕ったら食べることでしょう。カワニナより美味いかもよ。

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塩茹で2分。水の色が緑ぽくなって、食欲は落ちましたが、人体実験にはよくある現象です。

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爪楊枝で掘り出すと、意外と簡単に綺麗な状態で出てきました。
ヤマトカワニナ肋型だけ途中で切れてしまいました。

ハベカワニナ
 歯応えは軟らかくて良くない。やや独特の磯臭さのようなものがある。胎貝あり。
チリメンカワニナ
 苦味と旨みの両方とも弱い。たくさんの胎貝あり。
ホソマキカワニナ
 やや苦く、旨みはほとんどなく、歯応えもよくない。
タテヒダカワニナ
 食感はマテガイに近くて不味くはない。胎貝あり。
ヤマトカワニナ
 歯応えが良い。旨みは少なくて苦味が強い。
ヤマトカワニナ肋型
 歯応えが良い。僅かに苦味があるが美味しい。
オオウラカワニナ
 苦味も旨みもほとんどない。胎貝あり。
クロカワニナ
 やや苦味が強くて美味しいとは言えない。

総じてウマクナイ。ヤマトカワニナ肋型だけがマシと言えます。
特に雌には胎貝があり、それを噛むとバリッジャリとし、良く噛めば食べられるが、
貝殻の小さいのを食べているだけなので、とても食べ物とは思えない。

貝の蓋に近い部分だけは、全体的に食感がアワビに近い感じがする。
あまりに小さいので、その食感は数回も噛めば消えてしまう。
ヤマトカワニナ肋型だけは次体層より上部は食べていないため、
まともに食べられたのかもしれない。ようするに奥の方は苦くて不味い。

この結果からカワニナの味がたとえ美味しいとしても、
雌で胎貝がある限りは、少し噛んだ瞬間に、やっちゃった感になるはずで、
雄もしくは胎貝の部分を食べないのであれば、美味しいかもと想像できた。

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琵琶湖の湖岸でuさんが採集したクロカワニナです。
私は左の殻しか捕れなかった。tさんは全く捕れず。uさん引き強すぎ。
捕る時間がなかったわけではないけど、採集方法がそれぞれ違っていたのでしょうね。

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クロカワニナはuさんが捕りたいと言っていたので喜んでいました。
この1日でカワニナ類は、カワニナ、チリメンカワニナ、タテヒダカワニナ、
ハベカワニナ、ヤマトカワニナ(ノーマルと肋型)、クロカワニナ、
フトマキカワニナ、オオウラカワニナ、ホソマキカワニナの9種も確認できました。

これまで大放出して来た、カワニナ類の紹介記事は、ひとまずネタ切れです。
シライシカワニナ、タテジワカワニナ、タケシマカワニナ、イボカワニナ(本物の)、
カゴメカワニナ種群(顆粒列が体層にほとんどないタイプ)、モリカワニナ、
ナカセコカワニナ、ナンゴウカワニナ、クロダカワニナ以外は確認できました。
このうちナカ、ナン、クロダはあまり興味が湧かないのでまぁいいかなと思っています。
次はタテジワかな。最終的にはシライシカワニナが夢です。夏には行くぞ!

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琵琶湖の湖岸でuさんが採集したフトマキカワニナです。
左がフトマキカワニナで右がホソマキカワニナです。この日のuさんは引きが強かった。
私も狙ってみましたが、時間もなく、フトマキカワニナはこの1個体だけに終りました。

この個体はS先生に現物を送って同定して頂きました(多謝)。
綺麗に汚れが落とされて、綺麗に撮影された写真を拝見して、
まさにフトマキだ!っと思いました。実は探し初めて3度目での確認なので、
ようやく見れたという気持ちになりました。次は自分でしつこく狙って捕ろう。

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ここまで汚れているので、自信はなかったのですが、今はニヤニヤが止まりません。
フトマキター!という感じですが、S先生によると、これも怪しいシリーズだそうで、
ハベカワニナの肋の無い型を、フトマキカワニナと呼んでいるかもしれないそうです。
そう言われると、よく掃除された個体を見ると、ハベカワニナに良く似ている。


追記 2023年4月21日
当時はフトマキカワニナで良かったのですが、現在はイボカワニナだと思います。

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琵琶湖流入河川で採集したホソマキカワニナです。
これはS先生に同定して頂きました(多謝)。多くのチリメンカワニナに混じっていました。
同所でビワコドブシジミも捕れたのですが、私が説明しても同行者は無関心でした。

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以下4枚の写真の個体は、また別の場所で、uさんとtさんの3人で採集しました。

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大量に捕れたのですが、これら全てがホソマキカワニナではなく、
問題のタテヒダカワニナも混じっていました。オオウラカワニナの記事でも触れましたが、
ホソマキカワニナはタテヒダカワニナの露出度の高い生態型かも知れないそうなのです。

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左から2番目はホソマキカワニナとしても良いかもしれませんが、
他はタテヒダカワニナそのものから、ひだが弱いだけのような個体まで、
何か両種の中間的のような印象を持ちます。胎殻も良く似ているようです。

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軟体部も一応撮影してみましたが、左のはタテヒダカワニナかな。
稚貝が乗っていますが種類不明。苔が減ったので冷凍野菜ミックスDXを与えていますが、
その黄色い糞と思われるものも写ってますね。スピルリナは好まないようです。


追記 2010年12月29日
最初の写真は、ホソマキカワニナだと思い、S先生に写真同定をお願いし(多謝)、
ホソマキカワニナだろうということで一旦決着しましたが、再同定したところ、
フトマキカワニナであることがわかりました。これまで知られている分布域とは、
遠く離れているため、フトマキカワニナであることは、疑いもしませんでしたが、
S先生によると、私が採集した場所でも、フトマキカワニナは分布するそうです。


追記 2023年4月21日
当時はホソマキカワニナで良かったのですが、現在はタテヒダカワニナだと思います。

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琵琶湖の湖岸で採集したヤマトカワニナ肋型です。
ヤマトカワニナは以前にも記事にしましたが、これはいわゆる普通のヤマトカワニナです。

「びわ湖の底生動物」によるとヤマトカワニナには3型が知られています。
ヤマトカワニナ、ヤマトカワニナ肋型、ヤマトカワニナ(チクブカワニナ)です。
写真の左と中央は縦肋の顆粒がひだ状で、右は縦肋の顆粒が分割されています。
ようするに、左と中央はヤマトカワニナ肋型で、右はヤマトカワニナです。

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3型は同種として扱われていますが、まだその扱いは微妙なようです。
以前にヤマトカワニナ肋型だと思った個体は、よく調べたらハベカワニナでした。
ビワカワニナ亜属の同定は難し過ぎます。研究が進展しないのもわかる気がしました。


追記 2010年5月11日
S先生によると3型は同種で片が付いているそうですが、題名はこのままにしておきます。


追記 2023年4月21日
1枚目の左はヤマトカワニナ肋型ことトキタマカワニナ、
中央と右はおそらくチクブカワニナだと思います。