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2年半前に中二病でも恋がしたい!とカワニナの関係については記しました。
放送が終わって、熱はだいぶ冷めましたが、京アニでまだ続いていることを最近知りました。
現在放送中の響け!ユーフォニアムという京アニの最新作で、舞台は京都府宇治市。
普通は宇治市と言えば宇治茶や平等院。私は宇治橋が模式産地のナカセコカワニナです。

ネットで検索すると、宇治橋付近の背景画が多く、OPの最後は名古屋市のセンチュリーホール。
何か興味がわいて、公式サイトのキャラクターのページを見ると、びっくりしました。

中世古香織(なかせこかおり)
中瀬古川蜷(なかせこかわにな)

しかも、ナカセコカワニナの特徴は、丸っこい感じなのですが、ショートヘアで似ている。
これはどう考えても、ナカセコカワニナからの献名だ。写真は宇治橋付近の立て看板ですが、
これを見てキャラクター名にしたのではないだろうか。真相は京アニのみが知るところですが…。

このアニメを見ていない私としては、正直どうでも良いのですが、ネットで検索しても、
中世古香織とナカセコカワニナについて、ピンと来ている人はいないようです。
そのためカワニナファンとしては、アニメファンの人にも、知ってもらう目的で記しました。
放送がまだ2回くらい残っているようなので、ちょっと見てみようかなと思いました。

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この記事から半月も過ぎましたが、それは超難解で困っていたからです(笑)。
以下に小難しいことを、なるべく簡単に書きますが、たぶん伝わらないと思います。
ブログなので出典は省略し、カワニナ図鑑で記す際は、ちゃんと載せようと思います。
一昨年にU先生から頂いた記載論文とご助言は、大変に参考になりました。感謝申し上げます。

日本産カワニナ亜属は定説だとカワニナチリメンカワニナクロダカワニナの3種がいます。
クロダカワニナは遺伝や形態から、ヤマトカワニナ亜属だと思われるため、ここでは省きます。
カワニナとチリメンカワニナは、ほぼ全国に分布し、その違いは貝殻に縦肋が有るか無いかです。
つるつるしていたらカワニナ、ひだひだがあればチリメナカワニナ。実際は例外だらけですが…。
そのひだひだがあるグループのチリメンカワニナは、1種ではなく3種だったという話です。
そこで問題になるのが、そのうちどれが1874年に命名された、チリメンカワニナなのかです。
更に他の2種は何なのかです。そのあたりを頭に入れて頂いて話を進めますね。

チリメンカワニナは遺伝と胎殻(母体内の子)形態からA型とB型が知られています。
●チリメンカワニナA型 胎殻は殻長1.6mm前後/縦肋は弱い/螺肋は2本で強い
●チリメンカワニナB型 胎殻は殻長2.0mm以上/縦肋は顕著/螺肋は1本で強い
この胎殻を使って、A型とB型のどちらが、チリメンカワニナかわかれば良いのですが、
チリメンカワニナの模式標本や模式図には、胎殻がないため、どちらかわかりません。
貝殻から遺伝子は調べられず、模式産地の横浜は、2種が生息するそうで、分布も使えません。
親形態の違いはわかっておらず、胎殻による同定は、成熟した雌しか同定が出来ません。

A型とB型の他にもう1種がいます。C型だったらまだ楽なのですが、そうは問屋が卸さない(泣)。
A型とB型は広域分布するようですが、もう1種は静岡県東部・長野県以東に分布するようです。
その中には、ひだひだがあるグループとして、チリメンカワニナにされちゃった種がいます。
それがキタノカワニナ(函館)、ハコネカワニナ(芦ノ湖)、ヒタチチリメンカワニナ(常陸)です。
これら3つはおそらく同種で、A型やB型ではない、C型とも言えるものです。
そのため日本産カワニナ亜属を、カワニナ、チリメンカワニナ、ヒタチチリメンカワニナ、
キタノカワニナ、クロダカワニナの5種とする分類も、一部ではまだ使われています。

ここで学名と命名年を見てみましょう。

●キタノカワニナ Semisulcospira (Semisulcospira) dolorosa (Gould, 1859)
●チリメンカワニナ S. (S.) reiniana (Brot, 1876)
●ハコネカワニナ S. (S.) trachea (Westerlund, 1883)
●ヒタチチリメンカワニナ S. (S.) hidachiensis (Pilsbry, 1902)

最も早く命名されたのは、1859年のキタノカワニナです。チリメンカワニナよりも早いのです。
これら4つをまとめて1種とする場合は、チリメンカワニナはシノニム(命名は先取優先)となり、
正しくはキタノカワニナです。しかし、定説ではチリメンカワニナとして扱われています。
これは間違いです。但し、キタノカワニナの分布域に、チリメンカワニナ?型は分布しています。

過去にキタノカワニナ、ハコネカワニナ、ヒタチチリメンカワニナのうち、
ハコネカワニナが最も命名が早いと教えてもらい、その模式産地である芦ノ湖で捕れば完璧だと、
思い込んでいましたが、実際はキタノカワニナでした。間違えて伝えた方々すみませんでした。
それでは函館で捕らねばと思うかもしれませんが、芦ノ湖と同種なので捕りに行きません(遠)。

関東のひだひだがあるグループを、ヒタチチリメンカワニナとすることもありますが、
ハコネカワニナの方が命名年が早いため、ヒタチチリメンカワニナはシノニムだと思います。
どう転んでもヒタチチリメンカワニナが、分類上で生き残る道は無いと思えるため、
キタノカワニナに改める方が無難だと思われます。ただ、北海道のキタノカワニナの中には、
ひだひだがない個体も、高い割合で含まれているようで、これが個体差によるものなのか、
カワニナと混生しているのか、ちょっと判然としません。同定にはひだひだが重要なのだから、
キタノカワニナとは違うんだと考えるのであれば、ハコネカワニナにしておくのが良いです。

まとめると、チリメンカワニナと呼ばれる種は、チリメンカワニナA型、チリメンカワニナB型、
キタノカワニナの3種です。A型とB型のどちらかが、真のチリメンカワニナで、どちらかが別種。
その上でA型とB型をまとめて、チリメンカワニナとすることは、問題ないと思われます。
チリメンカワニナA型とキタノカワニナは、胎殻形態も類似し、識別は困難に近いのが現状です。
キタノカワニナも含めて、チリメンカワニナとして良いかもしれないが、命名年に問題が残る。

チリメンカワニナはA型とB型という、確立したものがあるため、それに習って記すとすれば、
キタノカワニナは、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)が、一番無難なように思われます。
要はチリメンカワニナ(A型)、チリメンカワニナ(B型)、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)。
これら3種をまとめて記すのであれば、「チリメンカワニナ種群」が適当だろうと思います。

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写真は芦ノ湖の一地点で採集したチリメンカワニナ種群です。
成貝の殻形態は当てにならないですが、左16個体はチリメンカワニナA型かB型で、
右10個体はハコネカワニナことチリメンカワニナ(キタノカワニナ型)だと判断しました。

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左はチリメンカワニナA型かB型、右はチリメンカワニナ(キタノカワニナ型)の胎貝(胎殻)です。
左は胎殻が大きく、縦肋が顕著で、螺肋は1本で強いように見えるため、B型だと思います。
右は胎殻は普通で、縦肋が弱く、螺肋は2本で弱いように見えます。結節が強いです。

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問題はこの個体です。採集地ではカワニナとチリメンカワニナ種群の中間型に見えました。
ただ、芦ノ湖にカワニナは見られず、親貝に縦肋が弱くあり、胎殻はA型に近いようです。
ということは、芦ノ湖の一地点には、チリメンカワニナ(A型)、チリメンカワニナ(B型)、
チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)のチリメンカワニナ種群が全て分布しているのかも。

2011年の採集で、芦ノ湖はハベカワニナ(琵琶湖淀川水系固有種)がたくさんいたことから、
ホタルの餌や何かに混じって、カワニナ属が色々と放流されている可能性も高いです。
チリメンカワニナ種群3種のうち、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)こと、
ハコネカワニナは1883年記載なので在来。A型とB型の両方かどちらかは移入の疑いも。

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チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)と思われる個体を、茹でて醤油に付けて試食しました。
殻頂近くは青臭さがあって苦い。軟体部はまあまあ美味しい。他のカワニナ類と変わらない。
やっぱりカワニナ科は全て美味しくないです。だって未消化な苔も食べることになるからね。

この記事にある内容は、模式標本を確認していないなど、不備がたくさんあるので、
何とも言えない情報ですが、チリメンカワニナ種群が超難解なのは、伝わっていると良いな。
ちなみに、つるつるのカワニナも、遺伝的には2種いるので、もう頭が痛くなってきます(笑)。


追記 2023年4月21日
カワニナやL4との識別は非常に難しいですが、キタノカワニナとしておきます。

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琵琶湖の湖岸でmaikyさんと採集したコセイカワニナ(新称)です。
今のところ高島市(湖西)の水深3~7m以外では見つかっていません。

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左がコセイ。難しいですね。真ん中のイボは、かなり少なくて、滅多に捕れません。

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ごちゃごちゃです。1つ1つ同定すると頭が痛くなります…。
今も寝不足で頭痛いですが、これ終ったら酒呑んでやるぞーっと気合を入れ直し。

さて、私のカワニナ病も悪化して、とうとうWebサイトまで作ってしまいました(乾笑)。
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/
まだ書きたい直したいところはあるけれど、2010年11月中という目標で作ったので、
ギリギリになってしまいましたが、とりあえず公開することにしました。
同定しやすいよう検索表を作ろうと試みるも、形態の多様性があり過ぎて断念…。

2010年4月から採集に協力してくれた11人、非常に大きな存在のS先生、
これまでの記事にコメントを下さった方々、皆様に心から感謝を申し上げます。
特にmaikyさんが何度も採集にお付き合い下さったことが大きかったです。
この未記載種と思われるコセイカワニナもmaikyさんが最初に捕りました(凄)。
私だけであればとっくに琵琶湖で死んでいました(笑)。命がけの採集多すぎっ!

今後はコセイカワニナを含めたカワニナ科の謎を、もっと科学的に解明されることに、
協力して行きたいと思っています。tさん宜しく! まだまだやることありそう…。
日本産カワニナ科図鑑の御感想・御意見・誤同定などはこの記事へお願いしますm(_ _)m


追記 2024年6月15日
アザイカワニナに改称されました。

2010年9月1日の記事はあとがきを残して他は削除し、
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/ を新設しました。



あとがき
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沖の白石(旧称:白石磯)は琵琶湖の秘境です!

「である調」は肩凝るわ(笑)。いつもの「ですます調」でテキトーなこと書きます。
4月10日にカゴメを捕ってから、カワニナに嵌ったけど、楽しくて仕方がない(笑)。
最近はカワニナ捕りばかりで、日淡会の更新がほとんど出来ていない(すみません)。

1.印象に残った採集。
やっぱり沖の白石。行って良かったです。最高でした。また行きたい(爆)。

2.危険だった採集。
間違いなくモリカワニナの採集。今になって考えても、実行するべきではなかった。
書けないことがたくさんあるのですが、ちょっと書くと警察に注意された(爆)。

3.採集が難しいカワニナ。
深場にいるカゴメカワニナ。沖の白石まで行かないと捕れないシライシカワニナ。
個体数が非常に少ないイボカワニナ。命がけの採集になるモリカワニナ。

4.好きなカワニナ。
飼育はモリカワニナ。殻はチクブカワニナ。思い入れはシライシカワニナ。

5.今後の目標。
カゴメを食べる。新種を見つける。コセイカワニナはタカシマカワニナに
しようと思ったのですが、タケシマカワニナと紛らわしいので止めました。

S先生がお相手してくれなかったら、ここまで嵌らなかっただろうし、
4ヶ月間でコンプリできなかったと思う。私にとっては大きな存在です。
また、採集は11人に協力して頂きましたが、全員が貝屋ではなく日淡屋で、
カワニナなんて興味なかったかもしれないけど、快く付き合って下さり、
本当に心から感謝しています。この図鑑も皆様のお陰で作れました。

諸事情で書けない面白エピソードがたくさんあって、
それを封印するのがとても勿体無く、続きは本でと言いたい気もするけど、
ひとまずこれで完とします。そろそろ汽水魚も捕りに行きたくなってきました。
でも琵琶湖は楽しいよ(笑)。土曜も潜ったけどまた潜る予定(切がない・笑)。

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琵琶湖の湖岸でmさんと2人で採集したモリカワニナです。
某島でモリを探したけれど、結局は見つからず、別の場所を探すことに。
この場所は、S先生から生息範囲について、ご助言を頂きました(感謝)。
と言っても、教えて頂いたのは、ピンポイントではなく、結構広い範囲です…。
そのDポイント(デンジャラスなので)は、沖の白石での採集よりも、
更に危険だと思われたため、成人男性で精鋭な方だけ、採集にお誘いしました。
結果的にはmさんと2人だけになりました。もう1人くらい付き合って欲しかった…。

決行日。Dポイント近くでmさんと落ち合います。
家を出る前に、高速道路の渋滞予測を見たら、私が予想していたよりヒドイ予測。
慌てて準備。朝飯なんか食べる暇もない。一般道は流れが悪く、高速はやっぱり渋滞。
時間に遅れてはいけないと急ぎましたが、結局は20分くらい遅刻しました(謝)。

車から降りると。風が強い。波がドバーン。こりゃ死ぬね。苦笑する2人。
とりあえず、Dポイントへ向かうことに。道がないことを想定していたため、
私は水の進入しない、蓋のできるバケツを持って来ていて、そこへデジカメなどを入れ、
それを浮き輪のようにして、Dポイントまで泳いで、移動しようと思っていましたが、
しばらく歩いて、mさんがここなら盗られないだろう言うので、そこへ荷物を置くことに。
ようするに、歩いて行ける限界まで来たので、この先は荷物を置き、泳いで移動です。

海パン・長袖・シュノーケル・マスク・足ヒレ・軍手・網袋を装着します。
とうとう琵琶湖へ入ります。嫌だなぁ…。泳ぐも波に煽られて、なかなか進まない。
しかも、船や水上バイク(どこでもおるな)が近くを通り、何度もこえ~っ。
更に、私は朝から何も食べておらず、お腹が空いて力が出ない。アンパンマ~ン。
S先生から水温変化も半端ではない、と教えて頂いたのですが、波で攪拌されて、
ほとんど変化なし。透視度は約4mくらいで、波の影響なのか、細かいゴミも多い。
水面に顔を出しても岸が見えず、波しか見えなかったことも。怖いよ。アンパン男。

何とかDポイントの中でも良さそうな場所へ到着。まずは岸へ避難です。はぁはぁ(疲)。
そこへ行くまで、水深1.5~3mあたりを、見て来たのですが、モリは全くおらず。
とにかく、ここまで来たらやるしかない。波に煽られながら、何度も潜水を繰り返す。
腹が減って力がでない。波に煽られる。岩にぶつかる。左足から出血(お待ちかね?)。
キズパワーバッドなんて近くに無い。怪我は無視して続ける。それでもモリがいない…。

岸にmさん上がっている。私も向かう。途中で尖った岩にお腹が当たった。と思ったら、
波の力でザーッとスライド(爆)。痛かったですが、ご期待に沿えず、怪我まで至らず。
長袖さえ着てなかったら、確実に怪我するチャンスだったのになぁ。それはいいとして、
mさんが気になる個体が捕れたと。見たい見たい。どれどれ。ワクワクテカテカ。
これは...モリ君(エロコジストの仮面を被ったエコノミストな奴ではなく・謎)だ!!
命がけなだけに感動も一入。mさんと座ったまま抱き合う(誤解なきよう)。ヤッター!!!

mさんにモリを捕った場所へ案内してもらうことに。岸から15mくらいも沖(しんどい)。
ここまで泳ぐだけで、波に煽られて、かなり体力を使った。とにかく腹減ったーっ。
底が見えない。めちゃ深いんです。潜ると水深5mほど。水圧でマスクが顔に食い込み、
耳が痛い、これ以上はヤバイ。水面にあがるまで遠い(苦しい)。それでも見つからない。
初めてこんなに深く潜った。ここで3回潜ったところで、完全に体力がなくなりました…。
狭い範囲に固まっているようで、mさんは一気に2個体も捕っています。そして計5個体。
私は捕れませんでした。これ以上は危険と考えて、一旦引き返して休憩(腹ごしらえ)です。
引き返すのも遠いし、波に煽られて、かなりヘトヘトになりました。

荷物は盗られていない。置きっぱなしは、とても気になる。財布も置きっぱだし。
さて、飯を口に詰め込んで、急に力が沸いて来た。これで万全だ。またDポイントへ。
今度は少し楽に到着できた。mさんが捕った場所で3回潜った。でもいない。岸で休憩し、
また3回潜った。やっぱりいない。mさんも潜るがもういない。個体数が少ないのだ。
おそらく5mより深い場所には、いるのかもしれないが、それは落命に直結する。
探しながら引き返すことに。5mくらいの深さも何度か潜りました。飯食うと違うね。
結局は、前半に1時間半(mさん5個体採集)、後半に1時間半(2人ともゼロ)、
計3時間も探しました。私はそれでも捕れませんでした。諦めて終了することに…。

これまで日本産カワニナ科は、モリを除いて、全て自ら捕って来ました。
モリは想像していた通り、捕るのは容易ではなかったです。最後に残るわけです。
モリだけが自分で捕れなかった悔しさと、mさんがモリを捕ってくれた嬉しさ、
両方の複雑な気持ちの中、海パンからジーパンへ、着替え終えました。はぁ~ぁ。
少し冷静になると、波が高くて、船や水上バイクが近くを通り、前半は朝飯も食わず、
水深5mに何度も潜って、2人ともよく死なずに済みました。運が良かったと思います。

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荷物を持って、私はとぼとぼと歩きます。実はDポイントへ行く前に、
視界に入った気になる場所がありました。ここではEポイントと名付けます。
波の影響が少ない地形で、何かピンと来たので、少し寄り道することにしました。
Eポイントに着いて覗き込むと、底が見えないほど深いですが、岸は垂直に近い状態で、
思ったとおり波の影響が少ない。水面から5cmくらいのところにカワニナ類がいたので、
おもむろに捕ってみました。それを見て。。。しばらく何も言えませんでした(-_-;)
そう! それは間違いなくモリカワニナでした!!! あまりの出来事にモリだ!とは声が出ず、
mさんを呼びました。まだ半信半疑なんです。私の目がおかしいのかとさえ思いました。
これっ…。mさんに見せました。これモリじゃないですか!! そうだよね!!!

3時間も死ぬかもしれないと思いながら潜り、移動と休憩を含めて6時間の採集。
着くなり、手の届くところで、しかも1個体目にして、モリがあっさり捕れました(爆)。
mさんが別の場所を探します。すぐにもう1個体のモリが捕れてしまいました(笑)。
その後に私がもう1個体を追加して、とても狭い範囲ですが、計3個体も捕れました。
採集した水深は5mどころか、水面から5~20cmですよ(爆)。ありえねーーっ。
「びわ湖の底生動物」には水深3~10mに生息するとあります。定説を覆したかも。
これまで命がけの苦労は何だったんだ。そう思うと自然と2人で大笑い。

こういう時に限って、着替えちゃってるし、たも網は車に置いたままという…。
それでも私はこの2個体を、自分の手で捕ることが出来て、幸な気分になりました。
最初にここでやれば5分で終ってました(苦笑)。最後の最後に奇跡が起きました(嬉)。
Eポイントは場所的に、漁師さんが選別で捨てた(そんなにおらんし)とは思えませんし、
深い場所なのに、水面近くに張り付いていたのですから、自ら移動したことが窺えます。

更に写真を見て下さい。上3つがEポイント産で、下5つがDポイント産です。
Eポイント産は、殻頂があまり欠けておらず、縦肋が弱く、細長いのに対して、
Dポイント産は、殻頂が欠けていて、縦肋が強く、太短いという、少し違いがあるのです。
これは生息環境の違いが、形に現れているのだと思います。かっこよさではD産かな。
EとDのポイントで共通する環境を考えると、モリは深いところにいるというよりは、
波の影響が少ない、安定した場所にいるということです。それが深場だったり、
地形的なものだったり、とにかくモリは、波の影響のある場所は、好まないようです。

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これは私が捕った2個体です。まるでオオウラカワニナとヤマトカワニナを混ぜた感じ。
どちらの種類にもない、弱い羅肋があるのと、縦肋があまりカーブせず直線的です。
胎殻も「びわ湖の底生動物」を見る限り、他の種類とはだいぶ違います。
同所的にタテヒダ系とヤマト系が確認され、これは間違いなく独立種だと思います。
S先生によると、何となくタテヒダ系に見えるが、モリはモリ系なのだそうです。
ただ、ヤマトカワニナ(チクブカワニナ)とモリカワニナの殻を比べてみたら、
とてもよく似ていました。ヤマトの親戚かと言うと、それよりは離れていると思え、
モリ系とも言えると思いますが、やはり大別すると、ヤマト系かなと思いました。

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軟体部です。縦肋を擦りながら移動します。
渋くていいっ。チクブカワニナ沖の白石産と同じくらい、私の好きな形状をしている。
これもネットオークションで、貝殻が1万円で売れていたけど、意外と適正価格かもね。
殻頂の欠けていない、生きたこの個体は、それ以上の価値がある気がする。
雌ならば雄から受け取って、ストックしている精子で、増えるかもしれないからね。

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そんな個体でも当然ですが食べます(爆)。価値は自分が決めるものだからです。
私は飼育や繁殖、貝殻集めより、その味に興味があります。胎殻も見たいですし。
塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻が出て来ない…。胎殻が見たい個体に限って雄。
食感は軟らかい。胎殻ではないが、小さく硬いものが僅かにあって、ジャリとした。
臭みが僅かにあるが気になるほどではない。苦味は微かにある程度。全体的に味が薄い。
ヤマトカワニナは弾力が強くて、苦味があるので、味による同定でも別種だね。
それから写真左の糞の色に注目すると、黄色から茶色が目立ちます。他のカワニナ類は、
より黒っぽい糞が多いです。主食が違うのかもと思いました。それが味に出ているかも。

さて、今回モリカワニナが捕れた事で、日本産カワニナ科全種のうち、
後はカゴメカワニナ種群(粒無)さえ捕れれば、コンプリート宣言ができます。
しかし、カゴメカワニナ種群(粒著)とカゴメカワニナ種群(粒無)は、
私がこれまでカワニナ類を捕って来た経験から、種内変異に見えて仕方がありません。
「日本産淡水貝類図鑑1」のカゴメの写真は、粒著と粒無の中間型に見えますし、
堅○漁港の貝山の多くは粒著でしたが、どちらか迷う中間的な個体もいました。
そこでS先生にもう一度、この件について私の意見を書き、ご教授頂きました(感謝)。
勝手に要約すると、両者の違いは20年以上も前に調べたことで、胎殻も違っていた
と記憶していますが、当時カゴメはイボと絡まって、ややこしい状態だったが、
現在の分類ではカゴメ1種ですから、コンプリートで良いのではないかと。

S先生ありがとうございます! これからは同種として扱うことにします。
日本産カワニナ科全20種類(ヤマトカワニナ肋型とチクブカワニナを含む)。
「コンプリート宣言」です!!! 今年4月にカゴメを捕ってから、達成まで4ヶ月でした。
今はタルカワニナやヒタチチリメンカワニナのような種内変異や地域変異が、
多くの研究者が認める種や亜種として、出て来ないことを願っています(笑)。
私にとって4ヶ月は長かったです。最後となった今回のモリ採集が一番危険でした。
今回の採集でS先生とmさんに改めて感謝致します。死なずに終れました。

今後は、カゴメだけまだ食べたことが無いので、それはまた捕って食べたいです。
また、日本産カワニナ科全20種類の、まとめ的な記事を近いうちに書くつもりです。
これまで付き合ってくれた方々への感謝と、私ごときが大変に痴がましいのですが、
新知見やあまり知られていない情報を書いて、長大な記事にする予定です。
実はこの一連のカワニナ記事は、多くの方から注目されているようで、
アホなことばかり書けんなと思うのですが、元々アホなので治しようが無くて(笑)。

すっかり季節は汽水魚シーズン。今夏にカワニナ類をコンプリートするまではと、
汽水の予定も入れていませんでした。これからは琵琶湖の水温チェックは止めて、
潮汐チェックして採集へ行きます。皆さん色々とありがとうございましたー(多謝)。