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琵琶湖の湖岸でmaikyさんと採集したコセイカワニナ(新称)です。
今のところ高島市(湖西)の水深3~7m以外では見つかっていません。

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左がコセイ。難しいですね。真ん中のイボは、かなり少なくて、滅多に捕れません。

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ごちゃごちゃです。1つ1つ同定すると頭が痛くなります…。
今も寝不足で頭痛いですが、これ終ったら酒呑んでやるぞーっと気合を入れ直し。

さて、私のカワニナ病も悪化して、とうとうWebサイトまで作ってしまいました(乾笑)。
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/
まだ書きたい直したいところはあるけれど、2010年11月中という目標で作ったので、
ギリギリになってしまいましたが、とりあえず公開することにしました。
同定しやすいよう検索表を作ろうと試みるも、形態の多様性があり過ぎて断念…。

2010年4月から採集に協力してくれた11人、非常に大きな存在のS先生、
これまでの記事にコメントを下さった方々、皆様に心から感謝を申し上げます。
特にmaikyさんが何度も採集にお付き合い下さったことが大きかったです。
この未記載種と思われるコセイカワニナもmaikyさんが最初に捕りました(凄)。
私だけであればとっくに琵琶湖で死んでいました(笑)。命がけの採集多すぎっ!

今後はコセイカワニナを含めたカワニナ科の謎を、もっと科学的に解明されることに、
協力して行きたいと思っています。tさん宜しく! まだまだやることありそう…。
日本産カワニナ科図鑑の御感想・御意見・誤同定などはこの記事へお願いしますm(_ _)m


追記 2024年6月15日
アザイカワニナに改称されました。

2010年9月1日の記事はあとがきを残して他は削除し、
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/ を新設しました。



あとがき
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沖の白石(旧称:白石磯)は琵琶湖の秘境です!

「である調」は肩凝るわ(笑)。いつもの「ですます調」でテキトーなこと書きます。
4月10日にカゴメを捕ってから、カワニナに嵌ったけど、楽しくて仕方がない(笑)。
最近はカワニナ捕りばかりで、日淡会の更新がほとんど出来ていない(すみません)。

1.印象に残った採集。
やっぱり沖の白石。行って良かったです。最高でした。また行きたい(爆)。

2.危険だった採集。
間違いなくモリカワニナの採集。今になって考えても、実行するべきではなかった。
書けないことがたくさんあるのですが、ちょっと書くと警察に注意された(爆)。

3.採集が難しいカワニナ。
深場にいるカゴメカワニナ。沖の白石まで行かないと捕れないシライシカワニナ。
個体数が非常に少ないイボカワニナ。命がけの採集になるモリカワニナ。

4.好きなカワニナ。
飼育はモリカワニナ。殻はチクブカワニナ。思い入れはシライシカワニナ。

5.今後の目標。
カゴメを食べる。新種を見つける。コセイカワニナはタカシマカワニナに
しようと思ったのですが、タケシマカワニナと紛らわしいので止めました。

S先生がお相手してくれなかったら、ここまで嵌らなかっただろうし、
4ヶ月間でコンプリできなかったと思う。私にとっては大きな存在です。
また、採集は11人に協力して頂きましたが、全員が貝屋ではなく日淡屋で、
カワニナなんて興味なかったかもしれないけど、快く付き合って下さり、
本当に心から感謝しています。この図鑑も皆様のお陰で作れました。

諸事情で書けない面白エピソードがたくさんあって、
それを封印するのがとても勿体無く、続きは本でと言いたい気もするけど、
ひとまずこれで完とします。そろそろ汽水魚も捕りに行きたくなってきました。
でも琵琶湖は楽しいよ(笑)。土曜も潜ったけどまた潜る予定(切がない・笑)。

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琵琶湖の湖岸でmさんと2人で採集したモリカワニナです。
某島でモリを探したけれど、結局は見つからず、別の場所を探すことに。
この場所は、S先生から生息範囲について、ご助言を頂きました(感謝)。
と言っても、教えて頂いたのは、ピンポイントではなく、結構広い範囲です…。
そのDポイント(デンジャラスなので)は、沖の白石での採集よりも、
更に危険だと思われたため、成人男性で精鋭な方だけ、採集にお誘いしました。
結果的にはmさんと2人だけになりました。もう1人くらい付き合って欲しかった…。

決行日。Dポイント近くでmさんと落ち合います。
家を出る前に、高速道路の渋滞予測を見たら、私が予想していたよりヒドイ予測。
慌てて準備。朝飯なんか食べる暇もない。一般道は流れが悪く、高速はやっぱり渋滞。
時間に遅れてはいけないと急ぎましたが、結局は20分くらい遅刻しました(謝)。

車から降りると。風が強い。波がドバーン。こりゃ死ぬね。苦笑する2人。
とりあえず、Dポイントへ向かうことに。道がないことを想定していたため、
私は水の進入しない、蓋のできるバケツを持って来ていて、そこへデジカメなどを入れ、
それを浮き輪のようにして、Dポイントまで泳いで、移動しようと思っていましたが、
しばらく歩いて、mさんがここなら盗られないだろう言うので、そこへ荷物を置くことに。
ようするに、歩いて行ける限界まで来たので、この先は荷物を置き、泳いで移動です。

海パン・長袖・シュノーケル・マスク・足ヒレ・軍手・網袋を装着します。
とうとう琵琶湖へ入ります。嫌だなぁ…。泳ぐも波に煽られて、なかなか進まない。
しかも、船や水上バイク(どこでもおるな)が近くを通り、何度もこえ~っ。
更に、私は朝から何も食べておらず、お腹が空いて力が出ない。アンパンマ~ン。
S先生から水温変化も半端ではない、と教えて頂いたのですが、波で攪拌されて、
ほとんど変化なし。透視度は約4mくらいで、波の影響なのか、細かいゴミも多い。
水面に顔を出しても岸が見えず、波しか見えなかったことも。怖いよ。アンパン男。

何とかDポイントの中でも良さそうな場所へ到着。まずは岸へ避難です。はぁはぁ(疲)。
そこへ行くまで、水深1.5~3mあたりを、見て来たのですが、モリは全くおらず。
とにかく、ここまで来たらやるしかない。波に煽られながら、何度も潜水を繰り返す。
腹が減って力がでない。波に煽られる。岩にぶつかる。左足から出血(お待ちかね?)。
キズパワーバッドなんて近くに無い。怪我は無視して続ける。それでもモリがいない…。

岸にmさん上がっている。私も向かう。途中で尖った岩にお腹が当たった。と思ったら、
波の力でザーッとスライド(爆)。痛かったですが、ご期待に沿えず、怪我まで至らず。
長袖さえ着てなかったら、確実に怪我するチャンスだったのになぁ。それはいいとして、
mさんが気になる個体が捕れたと。見たい見たい。どれどれ。ワクワクテカテカ。
これは...モリ君(エロコジストの仮面を被ったエコノミストな奴ではなく・謎)だ!!
命がけなだけに感動も一入。mさんと座ったまま抱き合う(誤解なきよう)。ヤッター!!!

mさんにモリを捕った場所へ案内してもらうことに。岸から15mくらいも沖(しんどい)。
ここまで泳ぐだけで、波に煽られて、かなり体力を使った。とにかく腹減ったーっ。
底が見えない。めちゃ深いんです。潜ると水深5mほど。水圧でマスクが顔に食い込み、
耳が痛い、これ以上はヤバイ。水面にあがるまで遠い(苦しい)。それでも見つからない。
初めてこんなに深く潜った。ここで3回潜ったところで、完全に体力がなくなりました…。
狭い範囲に固まっているようで、mさんは一気に2個体も捕っています。そして計5個体。
私は捕れませんでした。これ以上は危険と考えて、一旦引き返して休憩(腹ごしらえ)です。
引き返すのも遠いし、波に煽られて、かなりヘトヘトになりました。

荷物は盗られていない。置きっぱなしは、とても気になる。財布も置きっぱだし。
さて、飯を口に詰め込んで、急に力が沸いて来た。これで万全だ。またDポイントへ。
今度は少し楽に到着できた。mさんが捕った場所で3回潜った。でもいない。岸で休憩し、
また3回潜った。やっぱりいない。mさんも潜るがもういない。個体数が少ないのだ。
おそらく5mより深い場所には、いるのかもしれないが、それは落命に直結する。
探しながら引き返すことに。5mくらいの深さも何度か潜りました。飯食うと違うね。
結局は、前半に1時間半(mさん5個体採集)、後半に1時間半(2人ともゼロ)、
計3時間も探しました。私はそれでも捕れませんでした。諦めて終了することに…。

これまで日本産カワニナ科は、モリを除いて、全て自ら捕って来ました。
モリは想像していた通り、捕るのは容易ではなかったです。最後に残るわけです。
モリだけが自分で捕れなかった悔しさと、mさんがモリを捕ってくれた嬉しさ、
両方の複雑な気持ちの中、海パンからジーパンへ、着替え終えました。はぁ~ぁ。
少し冷静になると、波が高くて、船や水上バイクが近くを通り、前半は朝飯も食わず、
水深5mに何度も潜って、2人ともよく死なずに済みました。運が良かったと思います。

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荷物を持って、私はとぼとぼと歩きます。実はDポイントへ行く前に、
視界に入った気になる場所がありました。ここではEポイントと名付けます。
波の影響が少ない地形で、何かピンと来たので、少し寄り道することにしました。
Eポイントに着いて覗き込むと、底が見えないほど深いですが、岸は垂直に近い状態で、
思ったとおり波の影響が少ない。水面から5cmくらいのところにカワニナ類がいたので、
おもむろに捕ってみました。それを見て。。。しばらく何も言えませんでした(-_-;)
そう! それは間違いなくモリカワニナでした!!! あまりの出来事にモリだ!とは声が出ず、
mさんを呼びました。まだ半信半疑なんです。私の目がおかしいのかとさえ思いました。
これっ…。mさんに見せました。これモリじゃないですか!! そうだよね!!!

3時間も死ぬかもしれないと思いながら潜り、移動と休憩を含めて6時間の採集。
着くなり、手の届くところで、しかも1個体目にして、モリがあっさり捕れました(爆)。
mさんが別の場所を探します。すぐにもう1個体のモリが捕れてしまいました(笑)。
その後に私がもう1個体を追加して、とても狭い範囲ですが、計3個体も捕れました。
採集した水深は5mどころか、水面から5~20cmですよ(爆)。ありえねーーっ。
「びわ湖の底生動物」には水深3~10mに生息するとあります。定説を覆したかも。
これまで命がけの苦労は何だったんだ。そう思うと自然と2人で大笑い。

こういう時に限って、着替えちゃってるし、たも網は車に置いたままという…。
それでも私はこの2個体を、自分の手で捕ることが出来て、幸な気分になりました。
最初にここでやれば5分で終ってました(苦笑)。最後の最後に奇跡が起きました(嬉)。
Eポイントは場所的に、漁師さんが選別で捨てた(そんなにおらんし)とは思えませんし、
深い場所なのに、水面近くに張り付いていたのですから、自ら移動したことが窺えます。

更に写真を見て下さい。上3つがEポイント産で、下5つがDポイント産です。
Eポイント産は、殻頂があまり欠けておらず、縦肋が弱く、細長いのに対して、
Dポイント産は、殻頂が欠けていて、縦肋が強く、太短いという、少し違いがあるのです。
これは生息環境の違いが、形に現れているのだと思います。かっこよさではD産かな。
EとDのポイントで共通する環境を考えると、モリは深いところにいるというよりは、
波の影響が少ない、安定した場所にいるということです。それが深場だったり、
地形的なものだったり、とにかくモリは、波の影響のある場所は、好まないようです。

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これは私が捕った2個体です。まるでオオウラカワニナとヤマトカワニナを混ぜた感じ。
どちらの種類にもない、弱い羅肋があるのと、縦肋があまりカーブせず直線的です。
胎殻も「びわ湖の底生動物」を見る限り、他の種類とはだいぶ違います。
同所的にタテヒダ系とヤマト系が確認され、これは間違いなく独立種だと思います。
S先生によると、何となくタテヒダ系に見えるが、モリはモリ系なのだそうです。
ただ、ヤマトカワニナ(チクブカワニナ)とモリカワニナの殻を比べてみたら、
とてもよく似ていました。ヤマトの親戚かと言うと、それよりは離れていると思え、
モリ系とも言えると思いますが、やはり大別すると、ヤマト系かなと思いました。

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軟体部です。縦肋を擦りながら移動します。
渋くていいっ。チクブカワニナ沖の白石産と同じくらい、私の好きな形状をしている。
これもネットオークションで、貝殻が1万円で売れていたけど、意外と適正価格かもね。
殻頂の欠けていない、生きたこの個体は、それ以上の価値がある気がする。
雌ならば雄から受け取って、ストックしている精子で、増えるかもしれないからね。

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そんな個体でも当然ですが食べます(爆)。価値は自分が決めるものだからです。
私は飼育や繁殖、貝殻集めより、その味に興味があります。胎殻も見たいですし。
塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻が出て来ない…。胎殻が見たい個体に限って雄。
食感は軟らかい。胎殻ではないが、小さく硬いものが僅かにあって、ジャリとした。
臭みが僅かにあるが気になるほどではない。苦味は微かにある程度。全体的に味が薄い。
ヤマトカワニナは弾力が強くて、苦味があるので、味による同定でも別種だね。
それから写真左の糞の色に注目すると、黄色から茶色が目立ちます。他のカワニナ類は、
より黒っぽい糞が多いです。主食が違うのかもと思いました。それが味に出ているかも。

さて、今回モリカワニナが捕れた事で、日本産カワニナ科全種のうち、
後はカゴメカワニナ種群(粒無)さえ捕れれば、コンプリート宣言ができます。
しかし、カゴメカワニナ種群(粒著)とカゴメカワニナ種群(粒無)は、
私がこれまでカワニナ類を捕って来た経験から、種内変異に見えて仕方がありません。
「日本産淡水貝類図鑑1」のカゴメの写真は、粒著と粒無の中間型に見えますし、
堅○漁港の貝山の多くは粒著でしたが、どちらか迷う中間的な個体もいました。
そこでS先生にもう一度、この件について私の意見を書き、ご教授頂きました(感謝)。
勝手に要約すると、両者の違いは20年以上も前に調べたことで、胎殻も違っていた
と記憶していますが、当時カゴメはイボと絡まって、ややこしい状態だったが、
現在の分類ではカゴメ1種ですから、コンプリートで良いのではないかと。

S先生ありがとうございます! これからは同種として扱うことにします。
日本産カワニナ科全20種類(ヤマトカワニナ肋型とチクブカワニナを含む)。
「コンプリート宣言」です!!! 今年4月にカゴメを捕ってから、達成まで4ヶ月でした。
今はタルカワニナやヒタチチリメンカワニナのような種内変異や地域変異が、
多くの研究者が認める種や亜種として、出て来ないことを願っています(笑)。
私にとって4ヶ月は長かったです。最後となった今回のモリ採集が一番危険でした。
今回の採集でS先生とmさんに改めて感謝致します。死なずに終れました。

今後は、カゴメだけまだ食べたことが無いので、それはまた捕って食べたいです。
また、日本産カワニナ科全20種類の、まとめ的な記事を近いうちに書くつもりです。
これまで付き合ってくれた方々への感謝と、私ごときが大変に痴がましいのですが、
新知見やあまり知られていない情報を書いて、長大な記事にする予定です。
実はこの一連のカワニナ記事は、多くの方から注目されているようで、
アホなことばかり書けんなと思うのですが、元々アホなので治しようが無くて(笑)。

すっかり季節は汽水魚シーズン。今夏にカワニナ類をコンプリートするまではと、
汽水の予定も入れていませんでした。これからは琵琶湖の水温チェックは止めて、
潮汐チェックして採集へ行きます。皆さん色々とありがとうございましたー(多謝)。

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沖の白石周辺の岩礁湖岸で9人で採集したシライシカワニナです!!!!!
この種は琵琶湖の沖の白石周辺の岩礁湖岸にしか分布しないため、
必然的に生息地公開になってしまい、隠せないので例外として書きました。
カワニナ類の中で、最も局所的分布で、極めて貴重な種類です。

15年くらい前。某テレビ番組で、沖の白石へカヌーで行く企画が、放送されていました。
一行はそこへ向かう前に、竹生島行きの乗船場で、琵○博のMさん(貝類研究者)に出会い、
沖の白石にはシライシカワニナという、沖の白石にしかいないカワニナがいて、
最近、新種記載されたばかりだから、見て来ると良いという話をされていました。
私は沖の白石がどんなところか、あまり深く知りませんでしたが、
一行が長時間カヌーを漕ぎ、沖の白石へ到着した画を見て、とても驚きました。
こんな狭い範囲の岩に、ここにしかいない新種がいるだとぉ!? 信じられませんでした。
テレビカメラが岩沿いに、水中へ入って行くと、僅かにシライシカワニナがいました。
この超~っ局所的分布のシライシカワニナとは何なんだろう。こんな岩で隔離され、
種分化したというのか、考えれば考えるほど、ありえなさが気になってきました。
そのテレビ番組の一行が羨ましく、シライシが捕りたいと思うようになりました。

「湖国びわ湖の魚たち」という本の表紙は沖の白石ですが、それを見る度に、
ここには、ここにしかいない、シライシカワニナがいるんだ。そう思って見ていました。
このモヤモヤ感は一時期は無くなりましたが、今年4月に湖岸でカゴメカワニナを捕り、
それがきっかけで、シライシカワニナのことを思い出し、貝類図鑑などを読み返すと、
だんだんカワニナ類を全て捕りたくなってきました。当然これまで夢だった、
シライシカワニナも狙おうと思いましたが、潜って捕るしかないと考え始め、
4月はまだ水が冷たいので真夏に行こう。それまでに湖岸で捕れるものは捕ろう。
そういう気持ちになりました。次第に日淡そっちのけで、カワニナ類へ嵌って行きました。

そして、多くの方の協力で、7月時点で残るのは、深湖シリーズのカゴメ(粒無)と、
離島シリーズ(シライシ・タケシマ・チクブ・モリ)だけになりました。
7月25日とうとう沖の白石で、夢のシライシカワニナを狙うことになったのです。

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色々ありましたが沖の白石の前へ来ました。海パンとシュノーケルと足ヒレを装着。
もう飛び込むしかありません。シュノーケリングは子供の頃に1度して、
使いこなせなかったので、非常に不安がありました。足ヒレは初めてです。
どぼーん。おもっきり湖水を飲みました。水泳やっていた癖で、沈みかけると、
足が勝手に平泳ぎしようとします。足ヒレの使い方としては全く駄目です。
何とか沖の白石にしがみ付き、pさんに死なないよう、見ておいてとお願いしました。
巣潜りに慣れた人は、我先にとシライシを探しています。そんな中でpさんには感謝です。
それから20分もすると、だんだん慣れてきて、潜ることも出来るようになりました。
湖流の怖さもS先生から伺っていたため、下手にあちこち大幅な移動は出来ません。
船から見守る役をして下さった方と、とりあえず交代することにしました。

皆さんなかなか見つからず、時間ばかり過ぎ、諦めるという選択も頭に浮かびました。
そんなときpさんが、これは何だろうと、私のいる船へ持って来ました。
小さなカワニナ類でした。私は見てすぐ、あれっ?ハベ系に見えるけど、
沖の白石にはハベ系はいないはずだけどなぁ。う~ん。なんだこれっと言いました。
でも、図鑑などと見比べると、なんとなくシライシにも見えるなぁと…。
十中八九シライシ。これはすごいかもっ。さすがpさん。テンションが上がりました。
そのすぐ後で、tさんが大きな個体を、狭い範囲で2個体も捕ったと言っています。
船で休んでいた私とuさんは、すぐ戦闘準備に入り、目の色が変わって、どぼーん。

tさんが捕ったあたりを探すことに。他の人も集まって、ぽつぽつと捕れ出しました。
私は何度か潜っても見つけられず、水深3.5mくらいで、闇雲に岩を触ってみました。
何か2つほど手に当たりました。その1つを確り掴んで、水面に顔を出して確認すると、
間違いなくシライシカワニナだったのです。それも立派な個体です。キター!!
そんなありふれた表現では、表せないほどの、満足感が充満してきました。
まさに夢が叶った瞬間です。このために色々と苦労し、命がけで挑みました。

しかし、そこは危険な場所だったので、すぐに安全な場所へ移動しました。
すぐに皆さんに捕れたものを見せると、一緒に喜んでくれました。本当にありがとーう。
これも多くの方にお世話になったお陰です。この1個体を捕ってから、
すぐ捕る気力がなくなり、捕れていない人への、サポートへ回る事にしました。
それでも捕れなかった人もいました。やっぱり簡単に捕れるものではなかったです。

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全16個体が捕れました。9人でこの数です。中には潜ることに長けた人もいます。
凪で湖流の弱い、とても良い条件下で、9人でほとんどの場所を探しました。
まとまっていたのは1箇所だけ。生息している水深は2.5m以上だと思います。
「日本産淡水貝類図鑑1」によると水深8.5mまでいるようですから、
我々はそこまで深く潜れていません。たぶん深いところに多いのかもしれません。

カワニナ類の繁殖力と成長の早さは、淡水魚とは比較にならないものがあるため、
今回の16個体が乱獲であったり、種の存続を脅かすものでは、無いと思っています。
また、琵琶湖は水中ボンペを使用しての採集は禁止されているのと、
素潜りはせいぜい5mの深さしか潜れませんし、体力的にも長時間は辛いです。
それと地図を見てわかったのは、沖の白石周辺は南北に細長い1.5kmほどの、
浅場(と言っても深い)があり、海綿などを主に食べていれば、そこでも生活して
いるのではないかと思えました。そもそも本当に沖の白石にしかいないのだろうか…。
とにかく、これからもシライシが生息できる、琵琶湖であって欲しいと願っています。

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軟体部の写真です。下の写真は中央シライシカワニナで、両脇タケシマカワニナです。
S先生によると、タケシマはハベ系だが、シライシはシライシ系だそうです。
ようするに、シライシは完全な独立種だそうです。事実であればより貴重です。
私が捕る前は、数少ない図鑑の写真などを見て、たいてい細長い個体が載っていたため、
タテヒダ系だと思っていました。確かに細長くてタテヒダ系な個体も捕れています。
更にカゴメ系のように、もこもとと各層が膨らんでいる個体もいました。
ハベ系もいます。この統一感の無いぶれは、まさにハベ系なのだと思いました。

それにシライシはタケシマと良く似ています。私は同種内の地域変異に見えました。
螺肋と顆粒が弱いタケシマ、螺肋と顆粒が強いシライシ。微妙な差です。
この関係は、肋のあるハベカワニナ、肋の無いフトマキカワニナに近いです。
これを独立種とするか、ハベ系の著しい多様性と捉えるか、まだまだ奥が深いです。

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塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻は外しました。
歯応えは良い。やや苦味があるが、不味くもなく、美味しくもなくという感じでした。
前にタケシマカワニナの貝殻1つが、1万2500円で売れていたと紹介しましたが、
これまでシライシが売られていた例はないと思います。想像すると3~5万円くらいか(怖)。

ひとまず、7月25日のネタは全て放出しました。これまで気を使ってもらって、
自分のブログなどに、このネタを書かずに待って下さった方には、お心遣いに感謝します。
とにかく命がけで捕れました。改めて多くの方へ感謝の気持ちを表したいです。
ありがとうございました。そして最後?に残ったモリカワニナ。これはまた狙います…。
シライシ捕った時点で、私の夢は叶ったのですが、ここまで来たらコンプリート狙います!

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多景島周辺の岩礁湖岸で9人で採集したタケシマカワニナです。
この種は琵琶湖の多景島周辺の岩礁湖岸にしか分布しないため、
必然的に生息地公開になってしまい、隠せないので例外として書きました。
ビワメラニアの場合は、そういう種類が多くて困ります…。

生息場所は水深2m以下で、まとまって捕れたり、全くいないところもありました。
この差は大きく、場所を見つけられなかったら、いつまでも捕れない感じでした。
今年5月のネットオークションで、貝殻1つが1万2500円で売れていました。
写真から数えたら143個体いました。全て売れたら178万7500円分です(爆)。

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私の分け前の36万2500円分。お金のことはいいとして、図鑑等で想像を膨らますより、
やっぱり実物を見ないと、いけないなと思いました。これまで図鑑等の知識から、
タケシマカワニナはずっーとタテヒダ系だと思い込んでいました。
よく見たら、中段左はナンゴウカワニナやクロダカワニナにそっくりですし、
他のもフトマキカワニナやクロカワニナぽい要素も見つかります。ようするに、
タケシマカワニナはハベ系なのです。S先生もそのようなことをご教授下さいました。

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引っくり返すと、よりタテヒダ系には見えません。
たぶんこれも独立種というよりは、ハベ系の一型としてまとめられるかもしれません。

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3個体ほどピックアップしてみました。よく見ると弱い縦肋があります。
これが顕著な縦肋になると、シライシカワニナということになります。
弱いと顕著の差が、種を分かつほど、重要なものか分かりませんが、
タケシマカワニナとシライシカワニナはとても近い種類であって、
どちらもハベ系であることは、間違いないかもと思っています。

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塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻がないっ。
スマートなので雄かもと想像はしていましたが、胎殻も見たかったなぁ。
歯応えは普通で、貝の奥の方が非常に苦い。2つは食べられそうになかったです。

同所的にいたチクブカワニナよりも、タケシマカワニナはちょっと感動が低かったです。
分布が局地的で希少という以外は、あまり興味が持てませんでした。贅沢な意見ですね…。
タケシマカワニナは、ハベカワニナの横筋が強いタイプで、良いのではないでしょうか。