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2005年1月に琵琶湖北湖流入河川の河口域で採集したカワリヌマエビ属の一種です。
以前ここに少し書いたのですが、日本産カワリヌマエビ属は、もう無茶苦茶みたいです。
釣り餌や観賞用で、中国や韓国から輸入され、それが放流などによって日本に侵入し、
あちこちに見られるようになり、しかも近縁なミナミヌマエビと交雑しているようです。
タイトルをカワリヌマエビ属の一種とだけして、(未同定)としなかったのは、
複数の近縁な種類が入っているそうなので、それらが複雑に交雑している疑いもあり、
まず同定は不可能です。これはシナヌマエビだよ。なんていう回答は出来ないからです。

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これは琵琶湖とは関係の低い、滋賀県南部の河川で採集した個体です。
どうしてここにいるんだろうと思ってしまいますが、人ってどこでも放すからなぁ。
本家の写真掲示板2000年10年10日に書いたことですが、夜に川で採集をしていたら、
クロダイ釣りの餌で、スジエビを捕っている人がいて、その方の話だと、
「スジエビをここで捕ることもあるのですが、釣具屋で買って余ったスジエビも
ここに逃がしてあげるんですよ。捕った分はお返ししているんです。」と言ってました。
私も小さい頃に命を大切に、という教育を受けてきましたが、放流が他の命を奪ったり、
遺伝子汚染することまでは、習いませんでした。無条件に命を大切にだけではアカンわ。
在来スジエビを守るために、釣具屋で買ったスジエビは飼うか殺すのが、正解でしょうね。

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埼玉県の河川産です。最初に捕ったときは、分布からヌカエビかと思いました。
本来はミナミヌマエビやカワリヌマエビ属の一種は埼玉県に分布しません。
よく見たら前側角部に棘がありました。そのためヌカエビではないです。

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これも同じ埼玉県産です。外来生物ですね。ちなみに、外来生物という表記の話。
外来種で良いのではないか? と思われるかもしれませんが、これは正確ではないのです。
外来種は外来(外国から来た)+種という意味です。これだと亜種以下には使えません。
ミナミヌマエビの学名は Neocaridina denticulata denticulata で基亜種です。
シナヌマエビの学名は Neocaridina denticulata sinensis です。
これはミナミヌマエビ種 N. d. の中に、シナヌマエビ sinensis という亜種が、
存在するということです。種と亜種は異なります。詳しく書くと長いのでここでは割愛。

仮に埼玉県のエビちゃんがシナヌマエビであれば、外来種ではなく外来亜種と、
表記する必要があります。種としてはシナヌマエビとミナミヌマエビは同種なので、
シナヌマエビが日本に入ったとしても、それは外来種にはならないのです。
そういう使い難さもあって、近年は外来種を止め、外来生物という表記が増えています。
他に外来エビや外来魚などは、分類学的な単位ではないため、使いやすい表記ですね。

それではミナミヌマエビとシナヌマエビは、どう表現すれば良いのか。2種は間違いです。
1種2亜種です。何か3種いる感じがしますね。でもこれが正しい書き方なんですよ。
しかし、これではわかり難いので、2種類とすれば良いのです。種類というのは、
種・亜種・型などを含む1つのまとまりなため、とても便利な表記だと思います。
ようするに、カタカナの和名があるものは、種と亜種の2つがあるのです。
そのため、全て種だけだと解釈して、ごっちゃに扱うと、良くないということです。
種名、別種、魚種などは、本当に種のことですか。違うならば種類にしておきましょう。
そういう私も徹底しているかと言われれば、気を付けている程度なんですけどね…。

さて、そうなると「カワリヌマエビ属の一種」は、種だけで亜種以下は含まないのか?
いいえ、一種というのは、一つの種を表すものではなく、一つの種類という熟語なのです。
そのため、カワリヌマエビ属の一種は、カワリヌマエビ属の種類という意味になります。
しばしば、この「一種」は「1種」でも同じだと誤解されています。書籍によっては、
「サラサハゼ属の1種-1」とよくわからない表記があります。これは間違いです。
正しくは「サラサハゼ属の一種-1」。サラサハゼ属を2種確認。サラサハゼ属を2種とした。
などはアラビア数字でも使えますが「サラサハゼ属の2種」という複数の表記はないです。
一種は一応、一概、一兵卒と同じ仲間です。2応、2概、2兵卒なんて使わないですよね。
そんなことより西村は誤字脱字をもっと減らせ、というご指摘はごもっともです(笑)。

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三重県北部の小河川で採集したミナミヌマエビです。
カワリヌマエビ属の同定は極めて難しく、ここに載せたものは、
ミナミヌマエビ、カワリヌマエビ属の一種(外来生物)、その交雑の何れかだと思います。
カワリヌマエビ属の一種と思われるものは、次の記事で書こうと思っています。
よく捕れるエビちゃんですが、同定が面倒なので、これまで記事にしませんでした…。

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伊勢湾周辺地域では、ヌカエビやヌマエビはほとんどおらず、たいてい本亜種です。
岐阜県産を屋外水槽に入れたら、10年くらい世代交代を続けていたのですが、
2000年の東海豪雨で流れ出し(下水へ)、新たに入れたらまた勝手に増えていました。

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ここから下3枚の画像は愛知県の小河川産です。人為的な影響が強い町の川のため、
カワリヌマエビ属の一種かもしれませんが、私の知識では何とも言えません。

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この種類自体は好きなんですよ。でも疑って見ないといけないのは辛いです。

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2011年1月に採集した直後の個体ですが、抱卵していました。
通常の産卵期ではありません。水温が高いので、1年中産卵期になっているのかも。

ちなみに、抱卵(ほうらん)は、鳥が卵を温める意味なため、卵がぶら下ったエビを、
抱卵していると表現するのは、間違いではないですが、適切な表現でもなさそうですね。
お腹が大きくて、卵を持っている魚を、抱卵していると言う人もいますが、
卵を抱いているわけではなく、これは明らかに間違いだと思います。
ピッタリの言葉は見つかりませんが、孕卵(ようらん)がそこそこ適切だと思います。
まぁ、文字言葉は伝われば良いので、これ卵持っとるわ。で良いと思いますけどね(笑)。

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三重県の中流域で採集したアメリカザリガニです。
これまで嫌になるほど捕っているのに、まともな写真がありませんでした…。
こんなのいつでも捕&撮れるわと思っていたからでしょう。

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これは滋賀県で捕りましたが、ナマズ釣りの餌にちょうど良さそうです。
子供の頃はよく飼っていました。餌は何でも食う。簡単に増える。死ぬとやたら臭い。
脱皮するときに仲間に食われる。お爺さんは戦時中に食べていたそうです。
このエビさんは色々なところで語り尽くされているのでこれくらいにします。

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三重県の海で採集したテッポウエビ科の一種(未同定)です。
「吉郷英範 日本の河口域とアンキアラインで確認されたテッポウエビ科エビ類
比和科学博物館研究報告 第50号 2009年2月」のテッポウエビ属の一種Dか、
エドワールテッポウエビかなと思っていますが、よくわかりません。

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防波堤で釣りをしていたらマガキが釣れました。下手っぴ釣り師にはよくあることです。
そこにこのエビさんが乗っていたのです。引き上げるときに逃げればよかったのにね。

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汽水域で採集したスジエビモドキです。
たぶん三重県産かな。少し塩分の高い汽水域に多い印象です。
ゴマハゼなどの小魚を狙って食べることもあり、気を付けないといけないエビさんです。

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卵持ってます。水槽内で孵化しても成体になったことはありません。
食べているのは解凍赤虫です。決して冷凍赤虫ではありません。
もっと正確に言えば解凍したユスリカ科の一種の幼虫です。
冷凍マグロを解凍して食べるとき、皿に乗ったマグロを冷凍マグロとは呼びません。
解凍マグロです。冷凍食品の多くが解凍された時点で、冷凍なんとかとは呼びません。

水槽に冷凍赤虫を入れて、融ける前に魚がすぐ食べた場合は、
冷凍赤虫を与えていますと表現できますが、たいていは融けた状態で、
解凍赤虫もしくは赤虫を与えていることになるのです。
生きた赤虫なんて表現は、赤虫は死んでいることが普通と捉えることができ、
これもおかしな使い方です。。。おっと、またつまらぬ物を突っ込んでしまった…。