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2021年12月25日は濃尾平野で採集しました。
ハリーさんとの魚採集が2箇所終わって、1人で魚と川蜷の両方を狙って、
新規の川へ入りました。3箇所目。ずぶずぶな割に流れが速くて、割と危険な場所でした。
クロダカワニナとカワニナ種群(チリメンカワニナ形態)です。キタノぽいような。

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4箇所目はダメで5箇所目。おびただしい数のカワニナ種群。底の表面積を個体数で割ったら、
1匹当たりの食べ物を摂取できる範囲って、とても小さくて餓死しないのだろうか。
全てカワニナ種群(チリメンカワニナ形態)です。ザ・カワニナぽいような。

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3箇所目は8個体、5箇所目は5個体、計13個体を持ち帰りました。
これが琵琶湖産だと、胎殻が10個体から出て来たりしますが、たった3個体でした。
それも5箇所目はゼロ。やっぱり食べ物が足りていないのか。

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福井県の水路で採集したイシガイ Nodularia douglasiae です。
採集から1年以上も経ったのは、デリケートな問題を含んでいるからです。

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左がイシガイ福井県産、右がタテボシガイ琵琶湖産です。分布同定です。
どの産地もこんな感じで、違っていたら良いのですが、東海地方のタテボシガイは、
外部殻形態ではイシガイと識別不可能です。MUSSELpのイシガイタテボシガイ
イシガイはタテボシガイのホロタイプを見て、描いたんじゃないのと言いたくなるくらい。

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擬主歯を確認しましたが、私にはよくわからなかったです。むしろ逆なんじゃないかと。

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日本産イシガイ属の分類や表記で、影響力が大きかった文献の変遷を作りました。
簡単に言うと、この時代には、この分類に従っていましたよ。という一覧です。
2003年(日本産淡水貝類図鑑①)は、人に差し上げたので、確認できませんでしたが、
改訂版と同じだと思います。統一性を持たせるため、表記を少し加筆修正したり、
簡略化しています。気になる方は原典を確認して下さい。ざっくりはこんな感じだと思います。

現行で言えば2020年8月の分類に従う時代ですが、従来とはだいぶ違うので注意が必要です。
イシガイやタテボシガイでネット検索すると、タテボシガイは琵琶湖固有亜種で、
その他はイシガイという、2009年や2013年の分類が多くヒットすると思います。
2020年8月に従えば、イシガイ属貝類を東京都で捕ったら、それはタテボシガイです。
形態的差異は判然としないため、分布同定するしかないのは、問題が残るところです。

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2021年12月4日夜~5日未明は愛知県でmaikyさんと採集しました。
干潮の約1時間50分前に着いたのに、干潟はヘッドライトが10個くらい動いている。
ハマグリ捕りする人は年々増えるが、それと比例するように、ハマグリは年々減っている。
大きなハマグリは1個体しか捕れず。以前に来たときは少なかったアサリが割といたので、
持ち帰ることにしました。このアサリも三重・愛知県でハマグリが増えだしたときに、
比例するように激減したので、アサリが回復するということは、ハマグリさようならですね。

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15時間ほど砂抜き(1回水替え洗浄)。ハマグリからはほとんどシルトが出なかったです。
アサリからは砂が出ましたが、もっと出ると思ったので、少し不安はありました。
ハマグリとアサリを一緒に茹でて、試しにしょうゆに付けて食べてみました。
ハマグリは爽やかな風味で相変わらず美味しいです。アサリはジャリと来ました。
味は悪くないかもだけど、ジャリが全てを台無しにする。飲み込めませんでした…。

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どうして砂抜き失敗したんだろう。塩分や鉄分は問題ないし、エアレーションもしていた。
もしかすると水温が低すぎて、活動が弱かったのかも。ヒーターを入れるべきだったかな。
茹でる前に2つほど割れたものがあったので、ハサミで小さく切って汽水魚水槽へ入れたら、
タネハゼがいつもと違う機敏な動きで食べたので、もうこれしか使い道が無いと思いました。
細かく切って、砂を洗い流して、ジッパー袋へ入れて、冷凍しました。餌の出来上がり。

茹でた汁はそのままでめっちゃ美味い。アサリの味があるかどうかは微妙ですが、
ハマグリの味は強く感じます。一度にたくさん飲めないので、ペットボトルで冷蔵庫保管。
小鉢に少し注いで、レンジでチンして飲むと、めっちゃ美味い。しばらく楽しめそうです。

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ハマグリはうなぎのたれが余っていたので、それを使っていつもの紅生姜煮にしました。
これは裏切らない。1つ食べるだけで幸せな気分になれる。酒のつまみに最高です。
今後はアサリを持ち帰らないでおこうと思いました。ハマグリだけで十分です。

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2021年11月27日は濃尾平野でささきくんと採集しました。
魚採集のついでに某川へ寄りました。カワニナ採集は9月23日から約2箇月ぶりです。
ちょっと色々あって、カワニナも見たくない時期があり、引き出しに鍵をかけていました。
その色々もだいぶ消化して、いざカワニナへ向き合うと、だいぶ鈍っていました。
練習を1日休むと取り戻すのに3日掛かる。そこまでではないにしても近い感じでした。

リハビリとして某川の個体を捕って、あぁこの感じと思い出してきました。
左はささき君が捕って渡してくれた個体ですが、しばらく何も言えなくなりました。
螺層が圧縮されてカゴメみたいだし、細長いし、でも殻底肋は多いし、何だこれと。
8月よりも前であれば、すっと答えられたのかもしれないけど、良い頭の体操になりました。
これがきっかけなのか、引き出しが少し開いてきた気がします。

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二枚貝も捕りました。現地ではミナミタガイと思っていたけど、写真だとヌマガイぽい。
この引き出しには、開けたところで、何も入っていないんですよね…。

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2021年6月27日に琵琶湖で採集したヒラガマノセガイ(オトコタテボシガイ)です。
暗岩へ行く途中で捕り、まふゆのうじ君に譲って、出水管を画像を送ってくれて、
これはアレかもということで、Y君に同定をお願いすると、自信はないがタテボシガイだと。
それからずっと気になっていました。11月6日にZoomで淡水貝類研究会があり、
フリーディスカッションの際に、参加者全員に画像を見て頂き、再び同定をお願いしました。
マツカサガイではないかという意見も頂きましたが、W君から瀬尾論文のアレで合っていると。
他に異論を下さる方はいなかったので、コアな淡水貝屋さんからのお墨付きを頂いた気分です。

アレというのは(瀬尾, 2019)で、TypeⅡとされているものです。学名や和名は色々なので、
論文を読んで判断して頂きたいですが、ここでは Lamprotula leaii と見なし、
ヒラガマノセガイ(オトコタテボシガイ)としました。ヒラガマノセガイという和名は、
さわだ君から教えて頂きましたが、(真の)オトコタテボシガイでも良いかもしれません。
従来のオトコタテボシガイは Tribe Nodulariini, Genus gen. sp. 1 と見なし、
ニセマツカサガイ琵琶湖型(=セタイシガイ=オトコタテボシガイⅠ型)としました。
生体は(瀬尾, 2019)で2個体、今回の採集で3個体目です。他に死殻は見つかっているようです。

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暗岩(最近の渇水で洗岩かも)へはたも網を持って泳いで、某生物を狙っていましたが、
貝は素手(手袋)で捕っています。分厚く苔むしていました。手で擦ると簡単に落ちました。
完全に砂へ何度か潜れば、落ちる可能性も高く、常に砂から出ている生態なのでしょう。
左下(左)と右下(右)はタテボシガイですが、糸状の苔(アオミドロ)が確り付いています。
砂へ時々潜ってこの程度なのだと思います。ヒラガマの方は苔が何層にも重なって、
殻に近いところは死滅して、その上に新しい苔が出来ている感じです。
タテボシやニセ琵琶はたくさん捕りましたが、こうした苔状態なのは極希です。

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水管です。まふゆのうじ君が撮影した画像です。掲載許可を頂きました(感謝)。
初めに見たときはニセマツ類よりも、マツカサガイに近いなと思いました。
この個体は現在もまふゆのうじ君が飼育中で(凄い)、W君のところへ譲渡予定です。
分子系統なども調べてくれるそうです。その結果がどうであれ面白い個体に出逢いました。

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7月3日に2(4)個体目を探すも捕れませんでした。やはり少ないようです。
上段の左4つはタテボシガイ、右2つはニセマツカサガイ琵琶湖型です。
なるべく形に特徴のある、タテボシガイを拾って来たので、同種に見えないですよね。
水管形態はほぼ同じです。ニセ琵琶は少し見辛いですね。典型的な水管画像です。

ホロタイプ画像はこちらにあります。(瀬尾友樹, 2019)まで Unio reinianus が、
オトコタテボシガイとされてきました。こんなの捕ったことある人はいるでしょうか。
生体であるとしたら4個体目ですね。Nodularia hirasei はセタイシガイです。
これがニセマツカサガイ琵琶湖型かと思いきや、何か私が捕った個体に似ている気がする。
スケッチの下側はニセ琵琶の若い個体のような。よくわかんなくなって来たぞぉ。
もしかしてニセ琵琶は未記載種なのか。砕けた解説にするつもりが、難解になってるかも…。

ヒラガマノセガイは外来(史前帰化)の疑いもあるのですが、1番目の画像を見ると、
ガマノセガイ属の一種と、オトコタテボシガイの上は、ヒラガマノセガイにも見えます。
絶滅して移入されたと考えるよりは、在来のまま別種と混同されて来たのかもなぁと。
5番目の画像は未だにヒラガマじゃないかと疑っています。すみませんY氏。
出水管確認したい。なぜ私は捨ててしまったんだぁ。今回の個体とはだいぶ離れた場所です。
ニセ琵琶やタテボシとした中に、ヒラガマは混じっているのだろうなぁと思うと、
これからもカワニナ捕りついでに、頑張って潜って狙ってみたいと思いました。

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瀬尾友樹, 2019; Lopes-Lime et al., 2020; 近藤高貴, 2020; 川瀬基弘ほか, 2021
などを参考に日本産イシガイ科2亜科6族14属29種(31種類)を一覧にしてみました。
ヒラガマとマツカサガイ属の線が切れていますが、これは単なる長さ調整の失敗です。
滋賀県は17種類です。このうち滋賀県の固有種は、ニセマツカサガイ琵琶湖型だけです。
琵琶湖淀川水系(滋賀県・京都府・大阪府)に広げると、オグラヌマガイ、イケチョウガイ。
外来は改良母貝、その疑いはドブガイモドキ、ヤハズヌマガイ、ヒラガマノセガイです。

右下の画像はヤハズヌマガイだと思われる個体です。フネドブガイ属の一種として、
昨年に同定しましたが、4月にこちらの紀要を拝読した際に、同種かもと思いました。
その後にTさんから最近教えて頂いたのですが、和名提唱があったようです。
私がブログで指摘した、豊橋市のフネドブガイ、一部で有名な外来魚がいる水系が、
この種ということで、琵琶湖の個体もヤハズヌマガイだと思います。誤同定ですみません。
外来の疑いが強いので喜べませんが、琵琶湖の情報はないため、初記録なのでしょうね。

滋賀県のニセマツカサガイ西日本型ですが、マツカサガイとされてきた中に混じっていそうで、
No.385の右はそうじゃないかと思っています。これもW君らの発表だと別物かもと。
イシガイ科の分類は今後も不安定そうですね。もう頭痛くなってきたので終わり笑。
多くの方々のお蔭で、色々なことを知ることが出来ました。ありがとうございます。