2019年9月28日に三重県の汽水域で採集したアミメノコギリガザミです。
三重県はトゲノコギリガザミが多く、アカテノコギリガザミは混じる程度で、
これまでアミメノコギリガザミは1個体も確認していませんでした。
アミメにそっくりなトゲはたくさん見ました。これも初めはそうだと思っていました。
識別はこちらが詳しいです。この個体はささき君が食べたいというのであげました。
その後に本物のアミメではないか、三重県では初記録かもと…。
三重県RDB2015を確認すると、ノコギリガザミ種群とされていました。
ささき君が撮影した写真です。転載許可をもらっています(感謝)。
ささき君が食べた後です。交雑個体でも無さそうです。アミメだと思います。
三重県初記録かどうかはわかりません。黒潮域の生物ならば、茨城県くらいまでは、
見られることが多いので、都道府県単位はあまり意味がないかもしれません。
さて、2014年5月に「日本の淡水性エビ・カニ」が発行され、
そこにタイワンオオヒライソガニの分布に三重県が記してありました。
これは当ブログ発信の新産地ですが、参考文献に載せられていませんでした。
それを指摘したところ、増刷時に参考文献へ追記するということで、
私は矛を収めました。その後に増刷と追記されたかどうかはわかりません。
同じ著者らが2019年11月に「日本の淡水性エビ・カニ」の増補改訂版とも言える、
「日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑」を発行しました。
タイワンオオヒライソガニのページを確認しました。神奈川県~南西諸島と、
ざっくりとした書き方になって、三重県が内包されてしまっていました。
そういう逃げ方もあるのかと思いましたが、図鑑なので仕方がないとも思いました。
ヒラモクズガニのページを見たとき、分布が三重県~南西諸島とありました。
これも言いたいことがあるのですが、当ブログで2014年1月18日に、
三重県で採集したモクズガニ科の一種(未同定)として公開し、2014年1月23日にK先生に、
ヒラモクズガニと同定して頂き、「干潟の絶滅危惧動物図鑑」によると、
分布は奄美大島以南とされていたので、本州初記録で大幅な更新でした。
2015年6月にこれが出ていて、笑ってしまいました。
「本州初記録のヒラモクズガニ」って1年以上前に、ブログに載せてますけど。
標本も某博物館に登録済みです。しかも「三重県で初記録のミナミトラノオガニ」って、
2008年8月4日に2007年に捕った個体を載せています。恥ずかしくないのかな。
「日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑」の三重県情報が、このブログなのか、
南紀生物なのか、どこから参考にしているかは、出典明示がないため不明です。
この図鑑は「主要参考文献」として1ページ半(27文献)ほど書かれています。
そこには両方とも記されておらず、「主要」ではないと切り捨てられているのでしょう。
こんな私が書くような駄文も、ブログ記事には著作権が発生します。
写真掲示板にも少し書いたことですが、著作権は長らく親告罪だったので、
引用・参考文献がなくても、告訴が無ければ、黙認のような形で、
提起されることはなかったのですが、2018年12月30日から非親告罪に変わりました。
そのため施行以後の著作物の扱いは、これまで以上に慎重になる必要があります。
2014年「日本の淡水性エビ・カニ」の時代と違って、
2019年「日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑」は、より著作権に対して、
配慮するべきなのに、前よりも数を減らして、主要参考文献とはどうなのでしょうか。
非親告罪になっても、現状は被害者の判断もあることから、学術書でも無い限りは、
最低限の参考文献しか載せないことが、この先も続くのだろうと思います。
そういう私も出典明示がきっちり出来ているかと問われれば、
不完全なところも多いと思います。しかし、指摘されて納得すれば従います。
図鑑は参考文献も載せずに、紙媒体にして自分らの情報のように変えてしまい、
書籍販売による利益が発生するため、無料のネットとは異なると思っています。
ホテル・ジャンキーズ事件のように、掲示板の書き込みにも著作権が発生し、
本の出版販売禁止と損害賠償の判決が出ています。大丈夫でしょうか。
そうした判例を無視し、法令違反になるリスクを負っても、膨大な参考文献を載せると、
利益が出ないから、難しいというのも、そっちの都合ながらも、少し理解できます。
「くらべてわかる 淡水魚」という図鑑は、参考文献の欄に、
「このほか、魚種ごとの主要参考文献については下記のサイトをご覧ください。」
としてアドレスが記されており、そこを開くと全ての文献が表示されていました。
私はこれが解決方法だと思うのです。著作者や発見者への敬意が感じられます。
無料で容易に配慮することが出来ます。今後はこの方法が広がることを期待します。
但し、このページはジオシティーズだったため、現在はリンク切れになっています。
ネットは紙媒体と違って、共有の持続が難しいのは、私は特によくわかっています。
それでこれまで、どれだけ嫌な思いをして、孤軍奮闘してきたことか。
近年に参考された3例を記します。
●2017年にビワヨシノボリの新種記載論文。
「Nishimura T (2000) Ushi-Yoshinobori.
http://www.tansuigyo.net/a/link72.html. Accessed 4 February 2017」
●2019年2月にトウカイヨシノボリの新種記載論文。
「On the internet website (https://tansuigyo.net), anonymous
proposed a nickname “Ushi-yoshinobori” for the goby,」
●2019年3月に静岡県産ミミズハゼ属魚類の分類学的検討(予報)。
「ホロタイプ以外にも本種に似た個体の存在を指摘したウェブページもあり
(https://tansuigyo.net/a/link63.html),新たな標本の確保やその精査が望まれる.」
2019年2月は約束でもありましたが、他の2つは私から何も伝えていません。
おこがましいですが、新知見を生み出した私に対する、敬意や配慮が感じられます。
これが出来る方の度量の広さに敬服いたします。それと比べてと思うのです。
これから先もモラルやマナーが無く、手柄を横取りしても平気な人はいるでしょうし、
ネット情報は引用できないとか、前時代的なことを言う人もいるかもしれませんが、
ネット媒体も紙媒体と同じように、人が発信しているので、そこには感情があります。
文献として使い難いならば、メールなどで連絡を取り、私信や謝辞として形を変え、
敬意をはらうべきです。紙媒体至上主義の人は、ネットは唾つけだけで形にしない。
形になっていないものは、好きなようにパクッて良いくらいに思っている人もいますが、
それは紙媒体間のルールで、ネットも同じルールに従えというのは、違うと思うのです。
まだ書き足らないのですが、長文愚痴になってきたので、ここで止めておきます。
カニついでに2019年11月16日に釣れたモクズガニです。脚が5本も欠損しています。
鉗脚が2つとも無く、口だけで餌を食べています。生きる執念を感じました。