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愛知県の海で採集したムラサキガイです。
先日と同じ海産です。海と書きましたが、正確には河口の脇にある前浜干潟です。
そこへ隣接する河口干潟(汽水域)はここで、その間は50~100mで浜繋ぎです。

海(前浜干潟)では、アサリ、ハマグリ、シオフキ、マガキ、バカガイ、サルボウ、
カガミガイ、ムラサキガイの8種類を確認。汽水域(河口干潟)ではアサリ、ハマグリ、
シオフキ、マガキ、ヤマトシジミ、ユウシオガイ、サビシラトリ、ウネナシトマヤ、
オキシジミ、コウロエンカワヒバリガイ、イソシジミの11種類を確認しました。

海側は今回が初めてです。汽水域側は何度も採集していますが、バカガイ、サルボウ、
カガミガイ、ムラサキガイは未確認。これは塩分環境による二枚貝類相の違いでしょう。
そして私は汽水域(塩分17‰以下)で、サルボウ、カガミガイ、ムラサキガイを、
1度も捕ったことがありません。たった50~100mの違いですが、とても大きな違いです。

何が言いたいか。海と汽水域は違う。干潟はみんな汽水域ではないということです。
某省の汽水・淡水魚類レッドリストにしても、明らかに海産魚だろうと思われるものが、
数多く載っていたりしますが、海と汽水域の混同や、行き過ぎた拡大解釈が気になります。
内湾・汽水・淡水魚類レッドリストになってやしないかと。弊害が無いとよいですけど…。

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この「ムラサキガイ」は「ムラサキイガイ」との混同がネット上に散見されます。
ワラスボとチワラスボ、タヌキモとノタヌキモ、シムラとニシムラ。みんな違う(笑)。
愛知県RDB2009には、「近年生息が確認できない。大型種で殻は目立つが、
死殻さえ稀である」とあります。この個体は愛知県産です。捕ったときは驚きました。

家に帰って「干潟の絶滅危惧動物図鑑(2012)」を読むと、伊勢湾・三河湾では、
少数個体が復活とあったので、再発見ではなかったですが、一応k先生にご報告しました。
先生によると、伊勢湾・三河湾の二枚貝類の復活は、フジナミガイが出ないと、
本物ではないそうで、今度はフジナミガイを捕ってみたいなと思いました。

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ムラサキガイ3個体とバカガイ(幼貝)を入れていた、ジッパー袋の中にいました。
おそらく一番大きなムラサキガイに入っていたかな。カギヅメピンノだと思いますが、
同定に全く自信がありません。上2個体が雄で、下2個体が雌ぽい。2ペアでいたのかも。

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割と綺麗に撮れていた雌です。甲の丸さと光沢が良い感じ。

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永遠にあいこのジャンケン中。ムラサキガイは海で捕りましたが、持ち帰った3個体を、
汽水魚水槽へ入れてたところ、1個体は1日で食べられ、1個体は3日ほどで死んで食べられ、
1個体は行方不明です。このカニさんも4個体とも行方不明です。やっぱり汽水だからね。

コメント一覧

white-wings - 2013/02/18 (月) 20:22 edit

で、結局定着はしましたか?
私も、水槽にいろいろな生き物がいると楽しいと思い、ほぼ海水の場所から色々導入を試みましたが大半はダメでした
ユウレイボヤっぽい何か、アサリ、スガイ、イシダタミ、アマガイ、イダテンカジカ…
どれも範囲外ではありますが、淡水の影響がある場所です
しかし、案の定長生きしないのは、やはり微妙な違いが有るからなんでしょうね

西村 メール - 2013/02/18 (月) 23:49 edit

white-wingsさん。コメントありがとうございます。
この記事を書いてから、水槽を見に行く余裕がなくて、まだどうなっているか…。
何日餌やりしていないんだろう。アサリ、スガイ、イシダタミは試しましたがダメでした。
汽水生物は一時的に、淡水でも生きられるし、海水でも生きられる。
海水生物は一時的に、汽水でも生きられるが、淡水では生きられない。
ざっくりこんな差がある気がします。やはり塩分の違いしか考えられないです。