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愛知県の海で採集した多毛綱の一種です。
ウロコムシ類かもしれません。どっちに頭があるのか、千切れているのかも不明。
夏に生物の分類に関して、mさんと車内で議論したことを、ちょっと思い出しました。

形態的に違いは見つからないが、遺伝的に別種レベルであるグループの扱い。
スナヤツメ種群、キバラヨシノボリ種群、ホトケドジョウ種群など隠蔽種群の話です。
私は分類学のルールから、形態的に違いが無ければ、一緒とするしかないと主張。
mさんは遺伝子を調べればわかるので、別種として記載するべきだと主張。

mさんの主張を基にすると、全ての生物は、遺伝子を調べないと、種類がわからないのです。
例えば、メダカと思われる形態をした魚を捕ると、普通は「メダカが捕れた」と言います。
遺伝子を調べないと、それが本当にメダカかどうか、わからないということであれば、
現場でそうした動く生物は、全て「動物が捕れた」としか、言いようが無いのです。

もっと言うと、メダカの模式標本の遺伝子は、調べることが出来ないと思われるため、
メダカの遺伝子自体が不明なのです。そうなると基準自体が無いことになります。
分類学の基準を変えれば良いと言っても、それは1+1=2に近いものがあるので、
1+1=3でも良いじゃないかと言われても、それはダメと言うしかないんですよねぇ。
研究者によっては、遺伝子だけで記載しちゃっている、1+1=3をしている人も、
極一部にいると聞きましたが、そういう論文に従う人が、どれだけいるかでしょうね。

高度に遺伝的分化した集団は、保全単位として重要という認識も、広まっているので、
それを一般の方にも、分かり易くするために、今後どうするのかは、気になったりします。
しばしば難解な種の同定は「遺伝子を調べないとわからない」というのを見かけます。
自分も言いそうになるけど、遺伝子を調べないと、わからないようなものであれば、
記載すらされていないはずです。形態的に識別可能だからこそ、記載されているのです。
同定が出来ないことを、遺伝子で逃げるのは、ちょっとなと思います。私も気をつけます。

コメント一覧

white-wings - 2012/11/21 (水) 21:30 edit

うちのゼミの教授は
「遺伝子も、形質の一つ」という考えでした。

まあ、逆転の発想で、遺伝子が違うんだったら、外形形質にも何か違いはあるのでしょうけど。
あくまで遺伝子は、種の記載に関しても同定に関しても、形質のひとつととるべきでしょうね。
もっとも、種や個体群の分化後に、交雑だとか再交流があるとものすごく厄介なのでしょうけど…。

>メダカの模式標本の遺伝子は、調べることが出来ないと思われるため
オオタニワタリか何か、そういうシダ類も実は2種あるらしいのですが、
同じ様な問題で記載もされていないとかいう話を聞いたことがあります。(しったか。違ってるかも)

まだ新しい技術ゆえの課題でしょうね。

maiky - 2012/11/21 (水) 21:31 edit

西村さん、こんばんは。
最近この話を私も思い返してました(笑
分類学も遺伝子についても全く無知なのによくも語ったモンだと思います。
ご無礼しました。
誰もが分からなければ意味がありまんせんね。この部分が一番かと。

西村 メール - 2012/11/22 (木) 00:48 edit

コメントありがとうございます。

white-wingsさん。全く御意です。外形形質での違いが見つけられないのは、
本当に無いのか、努力とセンスが無いのか、たいてい後者が多い印象ですが、
それは優秀な形態屋さんと一緒になって、解決して行くしかないのでしょうね。
オオタニワタリは初めて知りました。そのうち課題は解決されるでしょうと楽観。

maikyさん。いえいえ。ああいった熱い議論をして、頭の整理をもっとしたいのですが、
周りになかなか本気で答えてくれる方がおらず、私にはとても有意義な時間でした。
こちらこそご無礼しました。時代が変われば、認証パスも遺伝子になっているかも。
それくらい簡単にわかるようになれば、遺伝子はより重宝がられるのでしょうけどね。
この議論をさせて頂いたエリアが、最近アニメのロケ地で話題です。またメールしますね。

早川 - 2012/11/23 (金) 14:30 edit

こんにちは。

とても深い話で、僕はこういった一歩、いや二歩くらい踏み込んだ話しが聞けて、何だか幸せな気分になれました。ありがとうございます。

「分類」と簡単に言っても、実際には難しい事ですよね。
確かに形態的も遺伝的も・・・。うーん・・・(汗)。
とりあえず、深イイ話しでしたm(_ _)mということで(逃)

西村 メール - 2012/11/24 (土) 01:26 edit

早川さん。コメントありがとうございます。
人にすぐ役立たない基礎学問は、簡単なことを難しくして、終わらせないのかも。
日淡の分類は割りと進んでいるため、重箱の隅をつつく段階に入っている感じかな。
何よりもはっきり言えることは、私は魚捕りへ行きたいです(笑)。