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2011年7月2日はmaikyさんと沖の白石でカワニナ採集です(命懸け)。
昨年に沖の白石の記事を書きました。レンタルボート屋さんからは、
風が出ると危険で、沖の白石へ行くという私には、貸してくれませんでした。
実は漁師の磯○さんが、沖の白石行きを、頑なに断ったのは、同じ理由でした。
一生に一度と思って、昨年はチャーター船(5万円÷9人)で、決行しましたが、
風波がほとんどない、非常に良い条件でした。しかし、そんな日ばかりではありません。

せこい私は、とにかく安く、そして決行と中止を、自分で判断しやすいという点で、
カワニナ丸で行くことを決めました。風波があれば気軽に中止することが出来ます。
事前にネット検索で、沖の白石へ自力で行った、つわものたちの情報を、かき集めました。
カヌー(カヤック)は、そこそこヒットしましたが、素材はみんな硬く頑丈で、
高価な何万や何十万という感じ。カワニナ丸のようなゴムボートで行った例は0件で、
安物の8990円(送料込み)。普通のカヌーとは1漕ぎの推進力もかなり劣ると思います。
そして、ほとんどは何艘かで行っています。1艘で行くのは、カヌー自体に何かあったとき、
リスクが高いようです。カワニナ丸は1艘に私とmさん。何かあったら2人とも死です…。

今回の航行予定は 北船木→沖の白石→北船木 (片道5.5kmで往復11km)です。
北船木と沖の白石の間に、陸はありません。出発から到着するまで、ずっと湖上です。

6月30日夜。mさんに電話で、7月2日の天気予報では、夜明け直後は風もなく、
夕立も無さそうだし、観光船からの引き波もなさそうだから、ということで、
7月2日04時30分に北船木で待ち合わせ、カワニナ丸に空気を入れて行くことになりました。
なぜ一緒に行かずに、待ち合わせかというと、私は7月2日夕方にtさんと会ってミミズ掘り、
その夜~7月3日朝まで何々ナマズ釣り、7月3日昼は何々ドジョウ捕りだったからです。
mさんは体力的に、着いて行く自信がないそうで、別々の車で行くことになったのです。

7月1日夜。よく考えたら、高速1000円は終わったので、一般道で行くし(せこい)、
7月2日04時30分までに行くには、家を7月2日01時30分には出ないといけない。
まだ何も用意していないし、細々としたやることはあるし、寝る時間は無いな…。
ネットで複数の天気予報を見る。04~10時は風速3mだが、11時~16時頃まで風速7m。
これは採集時間を削らないといけない。そもそも風速3mでも、これで凪はなくなりました。
04時30分到着→05時15分北船木→07時沖の白石(採集2時間)→11時北船木 これしかない。

7月2日01時17分。寝ずに家を出る。カーナビの予定到着時刻は04時35分到着と出た。
そんなに時間かかるのかよと思ったが、そこは超~っ安全運転の西村走行です(謎)。
もうあと20分くらいで北船木に着くかなというころに電話。mさんからだ。なんだろう。
すみません。寝坊しました。今まだ家を出たばかりです。えーっ。11時風速7mですよ!
しかも私は前日07時30分から寝てないのに。これは大きく予定が悪い方へ狂ってきたぞ。
まぁ寝る時間は出来たけど。結局は超~っ安全運転で、北船木は03時27分に着いた(爆)。
車中で寝る。04時45分頃に起きる。1時間余り寝た。風速1mくらいで琵琶湖は凪だった。
mさんが来る前に、カワニナ丸の組み立てを開始する。05時05分頃にmさん遅れて登場。
なんやかんやで、北船木の岸へカワニナ丸を浮かべたのは、06時25分になっていた…。

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06時30分出発です。長袖・海パン・ライフジャケットで、私は後部座席に乗り込みます。
水温は26℃くらい、気温も同じくらい。日差しが強くて、湖水を頭に掛けながら漕ぎます。
mさんのように麦藁帽子は必要ですね。湖面はべた凪ではないが、何とかなる感じ。
写真に沖の白石が写っているのわかりますか。ブレードの下の山は、対岸の荒神山です。
その裾野の左寄りにある、ちっちゃい黒い点が、沖の白石です。見失いそうな遠さです。
沖の白石に潜って、シライシカワニナが捕りたい、その一心で漕ぎ続けます。

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mさんのことを、あまり悪く書きたくないのですが、後編にも重要になるので書きます。
mさんのパドルでの推進力は、私のだいたい20~40%の力しかなく、
私が右を1回漕ぐと、mさんが左を3~4回は漕がないと、舳先が真っ直ぐ向かないのです。
水面の近くを、軽く漕いでいる感じなため、それがべた凪のときであれば、
問題はないのですが、少し波があるだけで、水ではなく波を漕ぐ感じになってしまい、
更に推進力が弱くなってしまうのです。しかも、その漕ぎ方しかできないそうなのです。
私は左肩がまだ完治していないので、右だけを漕ぐ方がありがたいですし、
mさんは右より左の方が漕ぎやすいそうなので、これで2人の息がぴったり合うのですが、
どうしても、私の漕ぐ右の推進力が強くなってしまい、真っ直ぐに進まないのです。
左右漕ぎだと、2つのパドルがぶつかりやすく、顔に水が飛んで来やすく、難しいのです。
ようするに、左右の推進力がアンバランスで、力の弱い左方へ、船体が進むのです。

更に初めて実感しましたが、湖流が発生していて、北東へゆっくり流されるのです。
2枚目と3枚目の写真を見ると、荒神山と比べて、沖の白石の位置が、右へずれています。
沖の白石が近づくとごとに、アンバランス走行と湖流で、ずれがひどくなって、
私も左漕ぎをしていました。素手だったので、手は真っ赤になり、痛みが走るほど。
それでも、漕いで、漕いで、漕いで、ひたすら漕ぐしかないのです。数百漕ぎも。

そんなとき、私の後ろでバチンと音がしました。背もたれが本体から切れたのです(あっ)。
直せません。背もたれが無いので、硬い2つのバルブが、私の背中を突きます。痛いっ。
背中をもたれずに漕いでも、揺れると突かれる(痛)。しかも、以前にお尻が当たって、
バルブが緩み、空気が抜けたので、なるべく当てないように、しないといけないのです。
沖の白石まで、まだ半分くらいしか来れていないのに、早速のトラブルです。
mさんのアイディアで、サンダルを両方のバルブにかぶせて、何とか応急処置は出来ました。

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08時00分。ようやく沖の白石を捉えた。ここまで1時間半。手は真っ赤でもう限界に近い。
昨年に採集した記憶が蘇る。待ってろよ。シライシカワニナ。あともう少しだ。
まずは、カワニナ丸を置ける場所を探す。1周したけど、岩礁だけあって平地が無い。
止むを得ず、斜めに立て掛けられそうな場所へ。私が先にカワニナ丸から降りる。
足が固定されていたのと、足場が悪過ぎるのと、思ったより深くてドボン。
海パンなので何の問題もないけど、着いていきなりご入水とは思わなかった…。
mさんが降りる。カワニナ丸を慎重に、沖の白石の上へ。岩肌はやばいくらいトゲトゲ。
穴が開くんじゃないかと心配だけど、他に良いところは全くない。紐で括るにしても、
波が強くなって来たので、転覆やむしろ岩にぶつかって、横に穴が開く恐れがある。
仕方が無い。沖の白石は08時10分に上陸。1時間40分かかった。遠さを実感。
2人は着いたことに安堵感はない。喜びは思ったより大きくない。笑う余裕も無い。
それは採集と帰りがあるから、気が抜けないのだ。とりあえずシライシ捕るぞーっ。

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ライフジャケットを脱ぎ、シュノーケル・マスク・足ヒレ・軍手・網袋を装着します。
mさんは水深7mで採集できる潜水達人。私は水深6m限界で採集できずに浮上したくらい。
昨年10月11日は、酸欠で死に掛け、それ以来の潜水。場所は沖の白石(無謀)。
それもあって、昨年の沖の白石で、シライシカワニナが一番捕れた場所を、
私に譲って欲しいとお願いすると、mさんはいいですよと。ありがとうございますっ。

とりあえず、近場で軽く潜水してみる。水深1.5mくらい。手に当たった。マサカ。
出た!シライシカワニナ!! mさんに見せに行く。浅いところにもいますよっ。
水深1~2mあたりを潜り続けるが、やっぱり水深3m以浅は全くいない。体力だけ消耗。
あっ飯は持って来ていません。水はポカリ900mlだけです。荷物たくさん積めないので…。
水深1.5mで捕れたのは、たまたまいたようです。mさんが岩に上がっている。なんだろう。
最初は水深5m以深で採集できていたが、今は水深1mでも潜ると眉間のあたりが痛くて、
もう潜れないと…。えーっ。私はmさんの成果も、大きく期待していたのにーっ。
十数個体のシライシが捕れたのでもういいと。この先は私が頑張らないといけない。

昨年シライシが一番捕れた場所へ。あれっ。思ったよりいないぞ。mさんのところへ戻る。
あの場所は思ったよりいなかったです。と言うと、mさんがそこで先に捕ったと(え?)。
譲って欲しいとお願いしたのにぃ。あの場所へ行きたい気持ちわからなくはないですが…。
水深4mあたりを探すが、5回潜って1個体捕れるかどうか。より深場にはいそうだけど。

まだまだ潜り足りないけれど、11時以降は風速7mということもあるため、
09時45分過ぎに採集終了。あぁなんて名残惜しいのだろう。夕方まで居たい気分です。
最後に沖の白石を1周しよう。風波と湖流が強い場所は、フィンだけの力では進まない。
押し戻されることも。手でも掻いて、無事にカワニナ丸のところへ戻って来た(汗)。
ここで結論。シライシカワニナは、生息地公開しても、乱獲問題は大丈夫です(実感)。
基本的に浅いところはいません。命の危険を冒さないと、1個体も捕れません。

その証拠を動画(9781KB) http://www.tansuigyo.net/shiraishi2.mpg で見て下さい。
動画はこの記事が流れて、次のページになったら削除します。期間限定公開です。
3本1組で構成しており、1本目は水深3mあたりで、チクブカワニナを撮って浮上。
2本目はカワニナ丸と沖の白石。3本目は水深3mあたりで、ヌマチチブ(移入)だけいた。
3m以浅にシライシカワニナは1個体も写っていないのがわかると思います。
目標は大20~30個体の採集でしたが、1時間45分潜って、大小合わせて12個体でした。
それも岩に指が挟まれたり、岩に頭が激突したり、アクションゲームならば、
何機も死んでいます。その都度1UPシライシ捕って、復活させている感じでした。

後ろ髪を引かれる思いで、沖の白石から北船木へ戻ります。また今年中に来てやるからな。
そんな甘い考えを、断ち切る危険が、この先に待っていました。そう。あの風速7mです。
(後編へつづく)

コメント一覧

スギタ - 2011/07/05 (火) 23:29 edit

凄すぎです(笑)さらに後半に何かが起こるのですね!楽しみですが、
何事もなくご無事に戻られたのが何よりです。
今回の突っ込みどころは「超~っ安全運転の西村走行」ですよね(笑)

ryu-oumi - 2011/07/06 (水) 00:22 edit

>1UPシライシ捕って、復活させている感じでした
 20世紀から21世紀なるとキノコがカワニナに進化するんですね(笑)

>生息地公開しても、乱獲問題は大丈夫です
 ↑これにも笑いました~、納得、納得(笑)
行こうかと思う人がいても、西村さんの記事を見て断念するだろうな~

タロベエ - 2011/07/06 (水) 13:56 edit

こんにちは。
素朴な疑問です。maikyさん=mさんでしょうか???。
無事にお二人が岸に帰れたかどうか解りませんので、後半楽しみにしておきます(爆)。
それにしても、お二人の偉業って言うモノはなかなか真っ当な評価が無いのが残念ですね。

maiky - 2011/07/06 (水) 20:29 edit

こんばんわ。西村さん。
すいません(土下座)遅刻&場所の件。
申し訳ありません。
推進力の件は過大評価です。最大でも2.5割ぐらいでしょう。カヌー漕ぎは全くもって不向きを実感した(笑)でも現状維持はしましたよ(爆)
北風と太陽。両方怖いですね(謎
後半も楽しみにしています。

西村 メール - 2011/07/07 (木) 00:43 edit

コメントありがとうございます。

スギタさん。突っ込みどころ、気にかけてくださり、どうもレス(笑)。一応無事でした。

ryu-oumiさん。行こうと思う人。命とりですよ。本当に。潜るだけでも危険です(本当に)。
酸素ボンベを使ったら、漁業調整規則違反です。水上警察隊に遺体採集されちゃいます。

タロベエさん。素朴な疑問に笑ってしまいました…。
maikyさん=mさんでしょうか。いいえ、違います。
maikyさん=mさんです。後半=後編でしょうか(爆)。それはいいとして、
私たちはやることがアホすぎて、偉業よりアホ業として、脳内処理されているかも(笑)。

maikyさん。いえいえ。遅刻は私も多いです。場所は気持ちわかります。
推進力ですが次はモーターでパワーアップお願いしますね。北風と太陽は怖い…。

プロスト メール - 2011/09/24 (土) 23:51 edit

こんばんは。

愛護協会のページは時々見させて頂いておりましたし、10年近く前には投稿もしたことが有り、同定の仕方が法医学者の様で、勝手にDr.西村と呼ばせて頂いておりました。そんな愛護協会にこんな面白い雑記が有るのは本日初めて知りました。

私も三重以西で6月下旬~10月上旬まで川、琵琶湖、汽水域等に潜る日淡マニアです。

今年は山口でイシドジョウ、福井でカジカ中卵型とアユカケ、岡山でタナゴ(逃げ足が速くて種は不明)とオオサンショウウオと泳ぎました。

若い頃は水が冷たく感じることも多々有りましたが、歳を取るとともに感覚神経も鈍くなるのか、最近は水に入る時に気合が必要と無くなりました。少し便利な体になりました。

それにしても強風の中、沖の白石まで行くとはその情熱さすがです。20歳代の日淡のためならどこでも行っていた頃の私でも無理です。参りました。

私も頑張りますから、西村さんも日淡への情熱の火を消さないで下さいね。

これからも頑張って下さい。応援しております。

西村 メール - 2011/09/25 (日) 23:07 edit

プロストさん。コメントありがとうございます。
誉められ慣れていないため、どうご返答したら良いか迷いますが、ありがとうございます。特にカワニナ丸の記事を評価して頂けるのは嬉しいです。maikyさんのお陰で無事に帰ることが出来ました。死ぬ確率もそれなりにあったのですが、私の下手な文章では伝わらず、maikyさんとも歯がゆい思いをしていました。カワニナ丸の記事のまとめは、1週間以内に何とか書きたいと思います。よかったらご笑覧下さい。

昨日も琵琶湖へ潜っていました。まだ台風の影響が残っている感じで、南湖は透明度50cmくらい。海パンから初めてウエットスーツを使ってみましたが、ウエイトがないので潜れなくて苦労しました。急に水草帯とかで怖かったです。水草に絡まり、マスクが3回外れて、危なかったです。その後はウエットスーツを諦めて、海パンで2回北湖で潜りましたが、いつもより水が濁り、岩にぶつかりそうでした。そして寒い!10月も潜るつもりですが、それまでにウエイトを買わないといけいなぁと思っています。プロストさんも低体温症にはお気をつけ下さい。