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愛知県の海で採集したマナマコです。
食用にされることは知っていましたが、私には手に負えない感があって、逃がしました…。
海のよくわかんない生き物は、食べたら危ないという、勝手なイメージがあります。

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橙色系でウニ類の死殻が口に…。

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緑色系。これら3個体は同種なのか、そもそも本当にマナマコなのかも微妙だったり…。

さて、こういう同定に自信がないとき、「ナマコSP」や「フナsp.」など、
意味不明な SP を見かけることがあります。最初はなんじゃこりゃと思っていたのですが、
どうも観賞魚店が使い始めた用語のようで、インボイス・ネームに近い感じのようです。

「ナマコSP」は「ナマコの類だろうけど、種類名まではわからない」場合に使うようです。
SP とはなんでしょうか。ほぼ間違いなく、生物分類の単位 species (種)だと思います。
そうなると SP は単語を省略しているため、正しくは sp. となります。
それでは「ナマコsp.」が正しいのか。間違いです。この sp. は属名に付随し、
学名の未決定(または不明)な種に対してのみ sp. と使うもので、
ナマコ属の種だろうと思われたら「ナマコ属sp.」と書きます。
しかし、ナマコ属(マナマコ属はあります)は存在しないため、これも間違いです。

更に「ナマコSP」と書く側が、亜種(アブラハヤ、セボシタビラなどは亜種です)も
扱う場合に sp. では種しか表していません。亜種の場合は subsp. と書く必要があります。
しかし、今わかるのはナマコの類というだけで、亜種や種どころか、属や科ですら、
全くわからないわけです。それなのに SP を使うのは、間違っています。
この場合に適した表記は、一般名称ナマコの大半が含まれるナマコ綱を使って、
「ナマコ綱の一種」もしくは「ナマコ類の一種」で良いのだと思います。
これに未同定と書き添えておくと、未記載種との区別が出来て、より良いです。
なお、一種は1つの種ではなく、1つの種類という意味があるため、広く使える表記です。

それでも sp. が使いたいので「マナマコ属sp.」ならいいんだよね?
これも細かく言うと「マナマコ属 sp.」と単語の間にスペースが必要です。
それに日本語とアルファベットを混ぜるのは変です。どちらかに統一しましょう。
「マナマコ属 エスピー」か「Stichopus sp.」です。属名はイタリック体で書いてね。
だらだら書きましたが、何が言いたいのか。日本語SPは恥ずかしいので止めましょう(笑)。

コメント一覧

ryu-oumi - 2011/05/19 (木) 01:11 edit

sp. 真面目な話なのに
書き方がソフトなので楽しいです。
『マナマコ属 エスピー』がいい感じ(笑)
ナマコの話よりも面白かったです!
あと、日本産カワニナ科図鑑の
サンプル画像の質・量に感服・・・凄い。

タロベエ メール - 2011/05/19 (木) 19:17 edit

こんにちは。
>海のよくわかんない生き物は、食べたら危ないという、勝手なイメージがあります
カワニナは食べれてナマコの様な良く解らない生き物が食べれないのが矛盾・・・(笑)。
カワニナに比べたら食感が良いので僕はナマコの方が好き!。

りゅうこ - 2011/05/20 (金) 09:31 edit

こんにちは
面白かったです。

西村 メール - 2011/05/21 (土) 07:14 edit

コメントありがとうございます。

ryu-oumiさん。ナマコスペシャルでも良かったかな(笑)。
カワニナ図鑑は、先日の記事の通り、命懸けのデータですから。皆様のお陰です。

タロベエさん。ナマコを人に食べられないように警護する。それがナマコSP。映画化決定。
それはいいとして、マナマコと確実に同定できれば、食べていたかもしれませんが、
よく似た別の種類は毒があったり、時期的に毒があったり、場所的にシガテラだったり、
アサリも怖くて、深川丼2杯で死ぬこともありえるので、カワニナ食よりも海物は危険っ。

りゅうこさん。どうもです。面白くするよりは、回りくどい突っ込みなんですけどね…。