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コセイカワニナ改めアザイカワニナがようやく新種記載されました!!!
正直な感想は長いっ。未記載種と思ってから14年ですよ。でも本当にありがとうございます。
アザイカワニナ Semisulcospira (niponica) nishimurai Sawada in Sawada et al., 2024
新種記載論文 https://evolsyst.pensoft.net/article/124491/
プレスリリース https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-06-12

2010月08月28日にmaikyさんと私(西村)は、安曇川河口にカワニナ類目的で潜りました。
陸でmaikyさんと同定を試みると、カゴメカワニナぽいけど、何か違う感じの個体がいました。
次体層の縦肋数などの計数形質が当てはまらない。家へ帰ってS先生にメールで、
同定をお願いしました。それが画像(Outlook)です。下段中4つについて微妙と書いています。
今見返すと下段一番左も同種だと思います。他にも誤同定がありますね。

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2010月08月30日に胎殻を確認し、それをS先生へメールしました。それが画像(Outlook)です。
これはカゴメでもハベでもない。カゴメモドキやタカシマカワニナと書いています。
2010年09月1日に当ブログにて記事化。現在は一部を残して削除。
2010年09月18日に再びmaikyさんと同所へ潜り、S先生へ採集したカワニナ類を送りました。
2010年09月23日にS先生から「カゴメ系の新種でいいでしょうね」とお墨付きを頂きました。
2010年11月30日に「日本産カワニナ科図鑑」を開設しコセイカワニナを掲載。当ブログで記事化

未記載種だろうということはわかっても、自分で新種記載する能力がない私は、
誰か記載やってくれないかなぁと探すことに。S先生やTさんにお願いするもうまく行かず。
2014年に別のTさんがやってくれそうでしたが、2015年に予算申請が通らず立ち消え。
2016年7月24日にさわだ君と採集し、記載してくれるというので全面協力しました。
最速で2016年の冬には、記載の見込みもありましたが、そんなにうまく行くわけがありません。
詳細に書くと色々な方面への、不平不満になりそうなので、途中おもっきり割愛しますが、
2回のリジェクトの後に、3回目の2024年6月10日にようやく新種記載されました(歓喜)。

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コセイカワニナではなくアザイカワニナとしたのは私の提案です。
湖西地域以外からも同種と思われる個体が見つかり、地域名を付す必要が無くなったからです。
それではニシムラカワニナかというと、これも何だかしっくりこないところもあり、
さわだ君と考えていたのですが、滋賀県で有名な武将の浅井長政公を思い出しました。
小谷城跡へ下調べにも行きました。「これでアレは決定」と匂わせています。
和名はアザイカワニナに決定。プレスリリースには「浅井氏の最大勢力」とありますが、
それは長政公の時代です。学名と和名どちらも人名という、割と珍しい新種になりました。

この日を迎えるには、多くの方にお世話になりました。改めてありがとうございました。
新種記載にご尽力された、さわだ君を始めとする著者、そして協力・関係者の皆様。
この種小名は駄目だと言えば、献名はそこで潰えたので、度量の大きさが窺えます。
発見へ至るまでに、採集へ同行して下さったmaikyさん、精査して下さったS先生、
お二人の代わりとして、献名という名誉を頂いたこと、忘れないように受恩刻石します。
今は石よりもネットの方が、深く刻まれるので、受恩刻網ですかね。ここに残します。

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日本産カワニナ科図鑑は1月から更新を停めていますが、アザイが記載された後に、
変更する予定でした。ただ、タテヒダ近似種群(タテヒダ、オオウラ、ケショウ、シノビ、
サザナミの5種)の識別があまりにも難しく、というか出来る人なんていないと思うので、
それをどうエイヤー同定しようか、悩んでいるうちに、進まなくなっていました。
とりあえず変遷表だけ更新しました。 https://tansuigyo.net/a_biwae/00.html

コメント一覧

さわだ - 2024/06/12 (水) 23:38 edit

長い時間がかかってしまいましたが,アザイの記載が成就し本当に良かったです。このカワニナの和名,学名のどちらにも強い思い入れがありますし,小谷城跡を訪れたのも良い思い出です。あれがもう5年前なのですね。
nishimuraiの献名によって西村さんがカワニナ学にされた貢献を形として残すことが叶い,とても嬉しく思っています。

maiky - 2024/06/13 (木) 18:00 edit

こんばんは。西村さんにカワニナ採取を誘われて
小判を拾うように楽しい時間を思い出します。
白石多景竹生といろいろとエピソード万歳。
あれから14年ですか。西村さんの弛まぬ努力の賜物です。
本当に良かったです。

liza - 2024/06/13 (木) 18:48 edit

新種記載おめでとうございます!
日本のカワニナって30種もいるんですね。いい和名が揃っているように見えます。

西村 メール - 2024/06/13 (木) 21:29 edit

コメントありがとうございます!

さわだくん。私にとって大願成就とはこのことです。さわだ君も8年足らずの間に、西村がうるさいから早くコセイなんとかしなきゃと、ずっと頭に入れていてくれていただろうし、最後まで成し遂げたのは凄いです。2016年にさわだ君へオールインして良かったです。小谷城戦国歴史資料館へアザイカワニナを寄贈したいくらいだね。展示スペース無さそうだから迷惑だろうけど。分類学の体系が変わらない限りは、私が死んでも仮にシノニムになっても、カワニナ属をいじると触れないといけない存在なので、お陰様で現世に生きた証を残せて良かったです。私に能力があればsawadaiの献名返しが出来れば良かったのだけどね。

maikyさん。当時はまだ水深4mくらいしか深ることが出来なかったので、maikyさんが深く潜ってコセイを数捕ってくれたお蔭で、変なことに気がつくことも出来ましたし、命懸けの採集へ何度も付き合って下ったので、知見が広がってカワニナ図鑑の開設、そしてさわだ君との出逢いに繋がりました。真面目な努力はしていませんが、人が避けるような冒険はだいぶしたので、手に入れられたものがあったとは思います。

lizaさん。私が言うのも変な感じですがありがとうございます。皆様の努力で新種記載まで漕ぎつけました。30種で終わるかどうかもわからないです。いい和名ですよね。このうち献名で和名・学名はクロダ(kurodai)、ハベ(habei)、ナカセコ(nakasekoae)、モリ(morii)で、学名はnakanoi、watanabei、davisiです。このとてつもない凄い方たちの中に、nishimuraiが紛れ込めたことは奇跡です。

今後ともよろしくお願いいたします。