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2022年8月23日にさわだくんととりふぁさんの論文が公開されました。
おめでとうございます。内容はヤマトカワニナ種群の分類改定です。
非常に難しいですが、さわだくんがツイートで分かりやすく解説してくれています。
私も脳内整理のために少し書いておこうと思います。

ヤマトカワニナ Semisulcospira niponica (Smith, 1876)
この種は変更が無いように思えますが、新種記載のときに3つの標本(シンタイプ)を基にされ、
それが今で言うところのヤマトカワニナ、タテヒダカワニナ、ハベカワニナだったのです。
3種をまとめてヤマトだったので、1つだけを指定(レクトタイプ)したのです。
これでヤマトとはなんぞやというのが、1つの標本に定まったということになります。

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トキタマカワニナ Semisulcospira watanabei Sawada in Sawada & Fuke, 2022
ヤマトカワニナ肋型とされていたものが、新種記載されたということです。
ただ、トキタマ=肋型ではなく、トキタマ≒肋型なので、少し難しい話になるので割愛。

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チクブカワニナ Semisulcospira nakanoi Sawada in Sawada & Fuke, 2022
竹生島のごっついヤマトはチクブカワニナ Semisulcospira biwae (Kobelt, 1879)として、
長らく呼ばれてきましたが、ホロタイプを確認したら、ごっつく無くて普通のヤマトで、
竹生島のものは未記載種だったということです。それが新種記載されました。
和名はそのままチクブカワニナなため、少し混乱するかもしれませんが、
旧チクブと新チクブという感じですね。ちなみに、尾上港にも移入しています。
それはカワニナ図鑑でも記していて、さわだくんを案内して採集しています。

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コンペイトウカワニナ Semisulcospira salebrosa Sawada in Sawada & Fuke, 2022
沖の白石と多景島にいる、チクブよりもごっついヤマトです。
これを見るとカワニナ丸やシライシ号を思い出します。

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日本産カワニナ属貝類の分類最新知見です。日本産カワニナ属全種の模式産地も変更済み。
これもわかっていながら、古い情報に従っていて、間違っているところがあります。
カワニナ図鑑も改定するべきなのですが、第二弾やその後の研究も教えてもらっているので、
どうせならばコセイカワニナが、新種記載されたときに、大改訂をしたいなと思っています。
少しでも早く叶うよう、さわだくんととりふぁさん、引き続きよろしくお願いいたします。

コメント一覧

さわだ - 2022/08/25 (木) 18:58 edit

ヤマトの改訂内容を分かりやすく纏めていただき、ありがとうございます。
ヤマトと旧チクブのタイプ標本探しから始まり、多くの方のお力添えをいただいて無事ヤマトの隠蔽種を記載することができました。サンプリングや議論に大いにご協力くださり、ありがとうございました。やはりタイプ標本の検討は重要ですね。
今回は第一弾ということでカワニナ属全体の見直しにはまだまだ遠いですが、少しずつ進めていきます。
よろしくお願いいたします。

西村 メール - 2022/08/25 (木) 21:06 edit

さわだくん。コメントありがとうございます。
私はあれやれこれやれや異論を出すだけで、それを実行しているさわだくんは凄いと思います。今後はチクブとコンペイトウの分布同定が横行し、ヤマトとトキタマの誤同定が散見されることでしょう。私も含めて笑。
昔はタイプ標本の確認が一番大変だったようですが、今はインターネットという便利な物を、研究者のほぼ全てが使いこなして、常時繋がっているので、別のことに時間を使えて、リビジョンが楽になったり、精度が上がったりしているのだろうなと思う。
コセイカワニナはもう中学生です。大人になる前に名前を付けてあげてね。よろしくお願いします。