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学名を斜体(イタリック体)で表記するのは、生物屋さんには常識だと思います。
私が斜体には、イタリック体とオブリーク体の2つ存在し、異なることを知ったのは近年です。
命名規約や書体に詳しいわけでもないですが、何となくわかったことを整理します。

書体(フォント)の標準は立体と呼ばれています。それを右へ傾けたものが斜体です。
斜体を指定した場合に、イタリック体が有る場合は、イタリック体で表示され、
無い場合はオブリーク体で表示されます。但し、斜体がない書体も僅かにあります。

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先日もとある論文の学名が、本文はイタリック体で、図表はオブリーク体で気になりました。
これは使い分けというよりは、おそらく本文は雑誌側が正しいイタリック体にして、
図表は著者側が制作したものを載せているため、オブリーク体だったと思われます。
著者側はアルファベットを斜体にしたら、全てイタリック体だと勘違いしているのでしょう。

[命名規約]生物の学名は、なぜイタリックで書くのか?
こちらを拝読すると、italicsを斜体と翻訳しています。これが問題なのかもしれません。
命名規約はイタリック体と指定して記されていますが、斜体と翻訳してしまうと、
イタリック体(italic)だけではなく、オブリーク体(oblique)も含まれてしまいます。

学名が斜体(イタリック)な理由
こちらと先のブログを読むとわかりますが、簡単に言うと、
「地の文字と学名は違うフォントにしてね。学名は普通イタリック体を使うよ。」です。
そのため極端なことを言えば、地の文字がイタリック体の場合は、その中での学名は、
イタリック体で表記するべきではないです。しかし、そんな雑誌は無いと思います。
また、普通はイタリック体であって、地の文字と違いさえすれば、どんなフォントでも可能です。
それこそオブリーク体でも問題ないでしょう。しかし、そんな雑誌は無いと思います。

雑誌には投稿規定があって、学名はたいていイタリック体に強制されます。
例えば魚類学雑誌投稿規定/原稿作成上の注意/3.学名とその著者名によると、
「学名は原稿ではイタリック体または下線を引いて示す.」とあるため、
イタリック体か下線が使われます。ただ、現在では下線を使うことはほぼないと思います。

地の文字以外で学名を表記する場合は、アルファベットならば、まあ何でも良いのです。
日本語の図鑑で、急に学名が出てくるとき、まずイタリック体で書かれています。
この場合は地の文字が日本語であるため、わざわざイタリック体にする必要はなく、
立体にすれば見やすいはずです。日本語の図鑑で新種記載するわけでもないため、
命名規約に従う必要など全くありません。それでもイタリック体にするのは慣例でしょう。
慣例がルールのように使われ「学名はイタリック体。当たり前だろ。」という状態です。
確かに私もそれに従っていますし、学名は単独表記でも、イタリック体にしています。

このように学名はどんな場合も、イタリック体で書くべきという、ルール(強力な慣例)で、
論文・図鑑・ネットを見ると、オブリーク体が散見されます。これは当ルールでは誤りです。
先日とある論文で、図の6行にもわたる説明英文に、学名がオブリーク体のを見つけました。
査読段階でよく通ったなと思いました。引用文献のタイトルにある学名はイタリック体でした。
また、岐阜なんちゃら魚類という地域資料は、学名は全てオブリーク体で、
引用文献のタイトルにある学名もオブリーク体でした。これは地の文字からして誤りです。

イタリック体とオブリーク体が混在する論文は多く存在しますが、
そんな細かいルールより、本文の内容が大事なのは、言うまでもありません。
それでも、あえてオブリーク体にしなくても、イタリック体にしましょうよということです。
推奨フォントはTimes New Romanのイタリック体です。多くの論文で使われています。

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魚類学会の日本産魚類の追加種リストを見ると、学名の全てがオブリーク体です。
投稿規定ではイタリック体って書いてあるのにも関わらずです。なぜオブリーク体なのか。
学名は斜体にすれば良い。斜体はイタリック体しかない。そう間違われているからでしょう。

それとは別の問題も存在します。Webサイトのプログラミング言語であるHTMLで、
イタリック体にしたい場合は、<i>abc</i>と入力すると、「abc」と表示されます。
これはイタリック体ではなくオブリーク体です。近年はこのHTMLよりも使いやすく、
綺麗に見せることが出来るCSSへ移行しています。ようするに古い書き方なのです。
CSSであれば「abc」とイタリック体で表示されます。追加種リストはHTMLなのです。
HTMLでiタグはイタリック体ではなく、実はオブリーク体だったという問題です。

最後に総本山のICZN/国際動物命名規約を見てみましょう。
「6. The scientific... italics ...letter.」 ソースを確認すると、
「6. The scientific... <i>italics</i> ...letter.」 CSSを使おうね!!
とりあえず、学名をオブリーク体で表記するのは、何か違うので止めましょう笑。 続く

コメント一覧

さわだ - 2018/12/16 (日) 13:33 edit

ICZNの斜体がオブリーク体なのは笑いましたが、僕も西村さんに教えていただくまでオブリーク体の存在を知りませんでした。オブリーク体になっているのは注意しないと見落としてしまいますが、「学名はイタリック体で」と明記している雑誌がある以上、間違えてはいけない問題ですね。
イタリック体が実装されていない書体では斜体指定をすると自動的にオブリーク体になってしまうのもタチが悪いです。そもそもなぜイタリック体とオブリーク体という一見同じような2つの書体が存在するんだと文句を言いたくなってしまいますが、オブリーク体を使わないように気をつけていくしかなさそうですね。

西村 メール - 2018/12/17 (月) 21:39 edit

さわだ君。コメントありがとうございます。
私も近年知ったので、エラソーなことは書けないですが、自分なりに整理してみました。
昔はイタリック体は斜体の翻訳で良かったけど、デジタルフォントの時代になって、
機械的に何でも右へ傾けられるようになり、それも含めて斜体と呼ぶようになったのだろう。
メイリオに斜体は実装されていないが、ワードでは機械的に傾けて、斜体にすることができる。
こういうのは斜体ではなく、別の日本語にするべきなのだろうが、良い呼び方がないよね。
また、区別しないといけない人は、学名を扱ったり一部の人だけなので、混同が終わらない。
https://www.ddc.co.jp/words/archives/20080924140000.html
Photoshopのように、ItalicとObliqueと分けてあれば、良いのだろうけど専門的だね。