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2016年10月30日はオイカワムツさんとさわださんと採集しました。
さわださんの案内で、朝は奈良県の池へ。採集開始すると確かにこれはビワメラニアだ。
奈良県にとっては外来生物。チリメンカワニナ(たぶんB型)も混じって来る。
後日に胎殻を確認するとハベカワニナぽいが、タテヒダカワニナ系によく似て紛らわしいのも…。

昼前は魚類自然史研究会。1週間前の淡水貝類研究会と、ほぼ同じ内容の発表も拝聴。
昼過ぎからは滋賀県へ。カワムラマメシジミとビワコミズシタダミを狙ってみたが捕れず。

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私の好きな滋賀県立琵琶湖博物館が、リニューアルしたということで、ワクワクしながら入館。
あんまり変わっていないかも。バイカルアザラシが増えただけかな。それでも前からの展示が、
とても素晴らしいので、日淡系の水族館では、世界一ではないかと思っています。
さて、こちらの一番下の画像を見て下さい。リニューアルされて、これがどうなっているか。
展示は撤去されずにありました。私が指摘したところを、さわださんと詳しく見てみます。

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私は2010年にフトマキカワニナはヤマトカワニナ、
オオウラカワニナはタテジワカワニナ(他の可能性もあるけどオオウラではない)と指摘しました。
フトマキカワニナはヤマトカワニナとして訂正されていましたが、学名は間違ったままでした。

オオウラカワニナはそのまんま。2010年に「よく調べないとわからない」との回答を頂いて、
6年も経っているので、よく調べた結果が、訂正の必要なしということなのでしょう。
スマホの懐中電灯を使い、さわださんと凝視すると、暗い状態でははっきりしないところも見え、
あっと思いました。オオウラカワニナやタテジワカワニナよりも、次体層の縦肋が少ない、
縦肋の顆粒が3~4個で繋がる、体層の膨らみが強い、これはヤマトカワニナ肋型だっ。

そおか。そういうことか。オオウラカワニナとしたのは、大浦で捕ったからであって、
大浦には分布しないとされる、タテジワカワニナという指摘は、受け入れられなかった。
そこでオオウラカワニナのままにしていたのか。逆にフトマキカワニナの場所には、
ヤマトカワニナが分布するので、誤同定を認めることが出来た。これは分布同定だなぁ。
大浦にはヤマトカワニナ肋型が同所的に生息します。誤同定は間違いないと思います。

1996年開館から2016年の20年間。ヤマトカワニナ肋型をオオウラカワニナと誤同定し、
それを展示し続けているのは、どうなのでしょう。貝の専門家も学芸員にいますけどね。
更に言うと、誤同定しているフトマキカワニナとオオウラカワニナの模式標本は、
琵琶博が所蔵しています。私の指摘をきっかけに「よく調べる」ことが出来たはずです。
琵琶博へ再び誤同定の指摘をしようと思いましたが、時間の都合上、足早に館を後にしました。
また、指摘してもよく調べず、直す気がなさそうなので、こうして記事にしました。

カワニナ科は同定が極めて難しく、私を含めて誤同定や間違った認識は避けられません。
分子系統もサンプルから誤同定で、使えない残念なデータになっている論文ばかりです。
形態屋さんが同定し、分子系統屋さんが解析した、論文が出ることを、切に願うばかりです。
但し、その形態屋さんが琵琶博の方ならば、別の方に同定依頼された方が良いかもしれません。

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夕方は琵琶湖(南湖)に3人で素潜り。入水時には懐中電灯が必要な暗さになっていました。
オイカワムツさんはフィンを片方しか持ってくるのを忘れて、その片方も琵琶湖で紛失し、
更にさわださんの懐中電灯が壊れて、懐中電灯を貸してあげて、短時間しか潜れず。
さわださんは寒さでほとんど潜れず。私は27分間程度。がっつり潜って採集しました。

その結果が写真。左上はさわださん、左下はオイカワムムツさん、右の上下は私です。
私の方は上からオグラヌマガイ3つ、タガイ1つ、カラスガイ(メンカラスガイ型)2つ、
ヒレイケチョウガイ4つです。他にタテボシガイとトンガリササノハガイを見つけました。
本当はイケチョウガイも見たかったですが、これはヒレイケぽい特徴が強いですね。
K先生によると、ヒレイケチョウガイや交雑個体は、真珠養殖場は使っているようですが、
琵琶湖では未確認だそうです。これら激レア貝は、一部を除いて、K先生のところへ発送。
短時間で2人とも激レア貝が捕れて良かったです。この場所は凄いなと思いました。

夜はヌノメカワニナを狙って、数年前に捕った場所へ行きました。
カワニナとチリメンカワニナが多く、全くいませんでした。これは良いことだと受け取ります。
このカワニナとチリメンカワニナも外来かもしれないけど。長い1日でした。お疲れ様でした。