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淡水貝類研究会24回やちりぼたん49(1-2)により、滋賀県の二枚貝について、
新知見が増えたため、備忘録的に整理します。未同定シリーズはこの次にします。
2018年夏に琵琶湖でひたすら二枚貝を捕っていたのは、事前に情報を頂いて探していたのです。

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イシガイとタテボシガイは、系統的に識別不可能で、亜種を分かつものではなく、
同じとして見なす場合に、イシガイ(琵琶湖型)という考え方もあったのですが、
タテボシガイの移入個体を、イシガイとして解析している疑いもあるため、
今後もタテボシガイで良さそうです。ただ、琵琶湖にタテボシガイ、淀川にイシガイで、
それが亜種関係というのは納得がいかないので、もしかすると別種関係なのかなぁ。

これまで私がオトコタテボシガイとしたものは、全てニセマツカサガイ琵琶湖型でした。
分類学的な問題があり、研究段階なため、あまり詳しく書くのは控えますが、
もしかするとセタイシガイが、シノニムの沼から、サルベージされるかもしれません。

タガイ、ヌマガイ、マルドブガイ、オグラヌマガイは、形態と遺伝の両面で、
非常に難しい状況で、ドブガイ種群と呼んだ方が良いかもしれません。

ドブガイモドキは1966年に採集された標本が、見つかったことが報告されました。
夏に探していたのですが、1つも捕れませんでした。現在は絶滅か絶滅寸前かもしれません。

メンカラスガイはカラスガイの1型として、整理する説もあったのですが、
どうやら系統的には別種レベルで、メンカラスガイとして生き残りそうです。

来年こそは琵琶湖でオトコタテボシガイとドブガイモドキを捕りたいなぁ…。

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2016年12月11日はmaikyさんとやしを君と3人で琵琶湖でした。
maikyさんと西村は素潜り、やしを君は胴長で、イケチョウガイ×ヒレイケチョウガイ(外来)、
ヒレイケチョウガイ(外来)、メンカラスガイ、オグラヌマガイなどを狙いました。

水温約12℃、気温約8℃、47分間、濁る、風速2~3m、寒さ度0(余裕だね)でした。
冬場はいつもウエットスーツ5mmの下に、長袖Tシャツを着ていましたが、
ヒートテックインナーとフリースを試してみました。もこもこに着ぶくれして、
腕がなかなか通らず、maikyさんに手伝ってもらわないと、1人では着られませんでした。
腕が固定された感じで、無理かもと思いましたが、水へ入ると動かせるようになりました。
寒いとか冷たいとかは、全く思いませんでした。まだ30分は余裕で入っていられました。
水から上がって、フリースを脱いだ途端に、いつもの寒いぃっとなりました。
フリースの防寒効果は高かったです。しかし、1人で着る自信はありません。
また、ウエットスーツが伸びて、早く痛みそうな感じで、多用は控えようと思いました。

結果は写真の通りです。左から4つ西村、3つmaikyさん、3つやしを君です。
私が捕った4つは、イケチョウガイ×ヒレイケチョウガイか、ヒレイケチョウガイです。
こちらによると、イケチョウガイ成貝は、翼状突起が無くなることで区別が出来るそうで、
4つとも成貝サイズで翼状突起が確りあります。そのためイケチョウガイではありません。
K先生に送って同定して頂きましたが、イケチョウガイ×ヒレイケチョウガイだそうです。
ここでも記していますが、真珠養殖場の雑種が逸出し、琵琶湖に定着しているのです。

滋賀県漁業調整規則滋賀県によると、いけちよう貝・いけちようがい・イケチョウガイは、
徒手採捕(手に何も持たず捕る行為)は禁止されています。事実上この貝は採集禁止です。
そこで交雑やヒレイケは良いか、2014年に確認を取りました。その結果がこちらです。
「イケチョウガイの同属として、ヒレイケチョウガイがあるため、同じ扱いになる。」
この時は納得しましたが、今になって再考すると、疑問が沸々とわいてきました。

まず、指定はイケチョウガイであって、イケチョウガイ属ではない。
第36条に全長等の制限があり、そこには「いけちよう貝」が含まれていますが、
同項には「びわます」と「あまご」もあります。ビワマスとアマゴは両方ともサケ属です。
同属だから同じ扱いという理屈であれば、「びわます」とだけ書いておけば事足ります。
更に「あまご」はヤマメの亜種です。属や種どころか、亜種まで絞って指定しています。
すなわち、イケチョウガイとあれば、イケチョウガイ種を指定しているに過ぎず、
イケチョウガイ属とは社会通念上からも、読み取ることが出来ない、拡大解釈だと言えます。

「しじみ」の場合は、シジミという標準和名の種はおらず、セタシジミとマシジミを、
指すことは理解できます。しかし、イケチョウガイ属は数年前まで、イケチョウガイ種しか、
日本では知られておらず、2014年時点で琵琶湖にヒレイケや交雑個体の存在の報告は無いです。
生息確認が無いものを指定しています。同属なのでという解釈は無茶苦茶です。

交雑個体はイケチョウガイの遺伝子が含まるので、それで違反だと拡大解釈すれば、
罰則は半分で済むのでしょうか。それもおかしな話で、指定しているのは種なのです。
この記事を見て下さい。オオサンショウウオ×チュウゴクオオサンショウウオは、
国の特別天然記念物という扱いはされません。指定はオオサンショウウオ種だからです。

第50条に水産動物の移植の禁止項があり、17種類が記されています。これは逆説的に、
指定した17種類以外は、移植しちゃダメですよということです(移植はそもそも問題ですが)。
この中にイケチョウガイはなく、もちろんヒレイケや交雑個体も指定されていません。
現状では移植してはいけないものが、霞ヶ浦経由で琵琶湖へ移植されちゃっています。
移植した人には罰則があります。まずここから何とかするのが、当局の役割でしょう。
このままでは、琵琶湖のイケチョウガイの全てが、交雑個体へ置き換わる可能性も高いです。
滋賀県としては外来生物を容認し、詭弁で拡大解釈して、捕るなというのでしょうか。
誰かが法令違反した外来生物を、私達は自然から取り除き、駆除しているとも言えます。

これらの理由によって、琵琶湖へ素潜りし、徒手によってヒレイケ及び交雑個体は、
採捕が可能だと解釈しています。私的見解なため、採捕される際は、自己責任でお願いします。
イケチョウガイ属で逮捕されたら、判例は無いと思われ、裁判所で争う案件かもしれません。
その場合は第51条(イケ属を徒手採捕した)だけではなく、他の条項にも注意が必要です。
第35条の5~7月、第36条の殻長10cm以下は採捕禁止です。私達は12月の10cm以上です。
委員会指示によって、西の湖(近江八幡市・安土町地先、西の湖および同湖から
琵琶湖に通ずる水路ならびに同湖周辺の水路)は、貝類の採捕が禁止されています。
この貝類という括りには、社会通念上もヒレイケや交雑個体が含まれると思います。
この指示で西の湖水系はカワニナ採集が出来ません。いつか解除される日を待ち望んでいます。

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琵琶湖で採集(後に逃がした)したイケチョウガイ×ヒレイケチョウガイです。
文献1を参考に、成貝なのに翼状突起があるため、雑種(改良母貝)だろうと判断しました。
文献2文献3によると、雑種は養殖場でしか、確認されていないようですが、
写真の個体は養殖場ではなく琵琶湖なため、自然界への逸出が始まってるのでしょう。

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潜って目の前にあった、見慣れない形の貝。掴むと重さと硬さで、すぐにわかりました。
浮上してから、翼状突起がヒレ状に確りあるのを見て、あーあと思いました。

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非常に薄っぺらいです。タガイを押し潰した感じ。

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下2つは要芽さん採集。左下はイケチョウガイに近い感じですが雑種でしょうね。
いつか本物のイケチョウガイを琵琶湖で捕りたいです。もう諦めた方がいいのかな…。

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三重県の水路で採集したオバエボシです。
この記事の続きです。捕ったとき、オバエボシだっ。とは口に出せませんでした。
ヨコマハシジラガイで驚愕中に、オバエボシまで捕れたという、何とも言えない恐怖感。
帰りの運転は普段よりも気を付けました。ハマグリは最大火力で長く茹でました(笑)。

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オバエボシは3個体。ヨコハマシジラガイ7個体に、1個体くらいの割合で捕れました。
両種類とも飼育中ですが、オバエボシは足をよく出して、動いています。
3月に岡山県で探そうと思っていたくらいなのに、これで別の採集に時間を使えます。

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これでイシガイ類は、イシガイタテボシガイオトコタテボシガイヨコハマシジラガイ
ニセマツカサガイトンガリササノハガイ(ササノハガイ含む)カタハガイマツカサガイ
オバエボシタガイヌマガイマルドブガイオグラヌマガイ(メン)カラスガイを採集。

残すはカワシンジュガイ、コガタカワシンジュガイ、イケチョウガイ、フネドブガイ、
ドブガイモドキの5種類だけです。このうちカワシンジュガイとコガタカワシンジュガイは、
山にいるようなので興味が無いです。フネドブガイとドブガイモドキ(在来ならば)は、
捕りたいですが、分布的に気軽に行ける地域ではなく、ちょっと遠い感じです。
イケチョウガイ(琵琶湖固有種)は、琵琶湖ではヒレイケチョウガイとの遺伝子汚染で、
純系は移植の青森県にしかいないとか。そうなると、粗方のイシガイ科は捕ったかも。

ただ、イケチョウガイは雑種も捕ったことがないので、今夏は狙ってみたいと思います。
残存していることが知られている某内湖ではなく、本湖に潜って捕ってみたいです。

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三重県の水路で採集したヨコハマシジラガイです。
10年余り前に、岐阜県の小河川で何種類かイシガイ科が捕れ、その中にそれっぽい個体を、
捕った記憶があり、その場所で昨年も狙いましたが、イシガイ科は何も捕れませんでした。
前と環境はそれほど変わっていないですが、雑誌に貝がいることが載せられてしまい、
更に前よりも川へ入り易くなり、たぶん乱獲で消えたのだろうと推定しています。

先日、うなたろうさんに、ヨコハマシジラやオバエボシの捕れるところを、聞いてみました。
すると、何貝かはわからないが、何種類かの貝が捕れるところを知っていると。
蛤捕りを終えて、うなさんと別れた帰りに、maikyさんと行ってみることにしました。

教えられた場所に着きました。ビニール手袋は蛤捕りで濡れてしまっていたため、
素手で気温-1℃の中、胴長を履き、水路の中へ入りました。そして数回たも網を入れると、
ヨコハマシジラガイがざくざく、更にオバエボシまで混じる、夢のような場所でした。
要芽さんとは琵琶湖へ潜って、漕艇部に怒られてまで、真剣に探していたオバエボシが、
こんなにあっさり。2種類とも捕れるなんて。どんだけ苦労して探したことか(感慨無量)。

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一掬いで5個体くらい捕れるので、採集は狭い範囲をしただけで、すぐに終わりました。
maikyさんと捕れた理由を分析しました。まずmaikyさんと私の2人だけで採集へ行くと、
目的の物が捕れる確率が非常に高い。そこにどなたか加わると、確率が下がります。
そして、うなさんから聞いた、ぼやっとした情報は、たいてい当たりが多い。
更にハマグリが不漁で、他で挽回したいという、やる気力がまだ残っていた。
しかも、昨年にtさんだけが胴長で入った水路でした。私が二枚貝は捕れませんか?
と聞いたら、捕れないと答えが返って来ました。tさんが捕れないと答えた場所は、
捕れる確率が高い場所です(爆)。様々な好条件が重なって、採集するに至りました。

ちなみに、三重県RDBでは↓のようにあります。本冊も確認しています。
「既知の生息地は5地点以下で健全な個体群が維持されているのは1地点のみである」
この場所は地図にプロットされた場所ではありません。kondo先生のサイトで確認しても、
プロットされていませんでした。しかも健全な個体群。次記事のオバエボシも同じです。
うなさん、maikyさん、要芽さん、そして忘れてはいけないtさん、ありがとうございます!!


追記 2020年01月25日
Y氏にご教示して頂きました(感謝)。当産地はニセマツカサガイ三重県中部型(暫定名称)で、
三重県の他産地や愛知県・岐阜県などは、ヨコハマシジラガイだそうです。

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