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2018年3月に新種記載された化石5種を実見することが、2018年5月12日の主目的です。
さわだ君が記載された松岡館長にアポを取ってくれて、11時にお会いすることが出来ました。

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記載論文の写真と実物は、殻口の位置などの違いによって、ナカムライが僅かに細く、
シュードムルチグラノーサのモコモコ感が弱いなど、若干違うようにも見えましたが、
基本的には想像範囲内でした。現生種も展示されていましたが、イボはカゴメでした。
松岡館長の解説を拝聴し、いくつか形態差異などについて質問をさせて頂いて、
このページも見て頂き、私見もぶつけましたが、やはり全て現生種に酷似すると思います。

仮に5種を新種と認めて従う場合は、現生の酷似個体をどう扱うか問題が残ります。
現生にはいないと主張しても、酷似個体とどう違うかを、説明する必要があるでしょう。
化石種と思われていた種が、現生していたとする場合は、現生種が5種増えることになります。
現在でも混乱しているのに、中間型もいますから、ますます混乱することでしょう。

カワニナ類の世界では「若干違う=同種」で、その違いは変異幅と呼びます。
記載論文にある変異幅だけではなく、産地や個体数を増やすと、実際はもっと広いと分かります。
それが実際の変異幅で、化石の専門家である松岡館長に、現生種をもっと知って調べるべき、
というのは違うと思います。限られた時間と予算で、異分野の奥底まで知ることは不可能です。

化石種と同形態のものが、本当に現生種に存在しないか、照合する作業において、
形態のプロやスペシャリストに巡り合えなかったことは、とても残念だと思いました。
そこで私は、まだアマでありながら、スペシャリストのさわだ君を、プッシュしておきました。
これで化石種と現生種という異分野の接点において、慎重さと正確性が向上した、
新展開が期待できると、今から楽しみです。私もサンプリング等で、協力出来たら幸いです。

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松岡館長にお願いして、貴重なパラタイプも、拝見させて頂きました。厳重な管理でした。
ホロタイプとパラタイプの一部を拝見した感想は、5種全てシノニムだろうと思いました。
但し、現生種の祖先かどうかは判然としません。例えば形態的にナカムライは、
ホソマキと同種と見なせることは出来ても、ナカムライは絶滅していて、別系統から新たに、
ナカムライに酷似した形態が誕生し、それをホソマキとして認識する可能性もあるためです。

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この場合に類縁関係はないが、平行進化や収斂進化などと呼ばれる現象によって、
ホソマキ祖先種が、たまたま絶滅したナカムライに、そっくりに進化して現生する場合、
分子系統学的には異種でしょうが、形態重視の分類学的には同種ということになります。
そのため形態差異が変異幅に収まる場合は、祖先は無視してシノニムと言えます。
希にホロタイプ(及びパラタイプ)が全てで、それと違えば別種だという意見もありますが、
カワニナ類の場合は、実際の変異幅が広くて、実態とかけ離れていると思います。

気が付けば2時間20分も話していました。長くなってすみません。勉強になりました。
松岡館長は人望が厚く、相反する意見にも耳を傾ける、とても良い方だと思いました。
更に貴重な標本を、快く拝見させて頂き、長時間にわたって、意見交換させて頂きまして、
本当に感謝しています。豊橋市自然史博物館では5月27日まで展示され、
その後は金庫で厳重保管されるそうですので、ご興味のある方はぜひ行ってみて下さい。
松岡館長とさわだ君に感謝です。今後ともよろしくお願いいたします。

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日本産カワニナ科貝類は1995年以降に、23年も新種記載はされていませんが、
先月に化石種(絶滅種†)が5種も記載され、このブログで触れないわけにはいきません。
論文のFig. 2.を見たときに、現生種とあまりに似ていて、あぁと思いました…。
これはS君の的確な指摘ですが「現生の変異幅を理解せずに記載した」感がします。
Fig. 2 1. Semisulcospira (Biwamelania) nakamurai に似ていませんか。

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Fig. 2, 3. S. (B.) pseudomultigranosa に似ていませんか。

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Fig. 4-9. S. (B.) spinulifera に似ていませんか。

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Fig. 10-13. S. (B.) kokubuensis に似ていませんか。

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Fig. 14-17. S. (B.) pusilla に似ていませんか。

胎殻形態がやや異なる種類もいますが、私はそもそも胎殻で同定できるとは思っていません。
ちなみに、ムカシイボカワニナはヤマトカワニナによく似ているなと思っています。

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2017年11月24日にokfish中村さんから大変に貴重な物を頂きました(感謝)。
左上がナカセコカワニナ(死殻)。右上がオガサワラカワニナ(死殻)、下が生体です。

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オガサワラカワニナは中村さんが繁殖させた個体だそうです。
小笠原諸島の固有種で、殻にしても、ましてや生体は、簡単に見る機会はありません。
ただ、私は日本産のカニモリガイ上科カワニナ科には強い興味があっても、
オニノツノガイ上科トウガタカワニナ科には、ほとんど興味がありません。
両者は上科で異なる似て非なるものですが、混同されていることが多いです。
例えばこちらのオガサワラカワニナ。カワニナ科にしています。属名も異なります。
更に写真はヌノメカワニナです。検索上位に来るので、誤情報が拡散しているかも。

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okfish中村さんは「日本産淡水貝類図鑑(1) 2003年」が出版された直後に、
宇治川の模式産地近くでナカセコカワニナを採集されて、それを現在(2017年)まで、
流れのあまり強くない水槽で、累代飼育されているそうです。そこの死殻です。
5世代は経過しているそうです。これはナカセコの特長をそのまま有しています。
奇しくも丁度1年前に「ナカセコとタテヒダ」という記事を書きました。
簡単に言うと、ナカセコとタテヒダは遺伝的に見たら同種という説があります。
ナカセコを流れの弱い水槽で累代飼育すれば、そのうちタテヒダ形態になるはずだと。

累代飼育は最低3世代以上が必要です。ざっくり胎児→稚貝→成貝→交接の4段階あります。
捕って来たばかりのナカセコ成貝雌には、宇治川で作られた胎児が入っている可能性が高く、
それが産み落とされても、その稚貝の形態は、宇治川の影響が色濃く出ます(2世代目)。
しかし、稚貝→成貝→交接は水槽内で行われます。その次の世代(3世代目)は、
4段階の全てが水槽内で行われ、宇治川の環境的な影響は無くなると言えます。

この個体は5世代は経過しているというお話でしたし、現在も生存している個体も、
同様な形態をしているそうですから、ナカセコは流れの弱い水槽で累代飼育しても、
タテヒダに近くなることはなく、ナカセコ形態を保つと言えると思います。
私が飼育していたシライシカワニナも、3世代目で大きく形態が変わることはなく、
むしろ形態的な多様性が減って均一化し、典型的なシライシ形態が増えました。
おそらく生態型や表現型可塑性よりも、別の何か(遺伝子?)の方が、
形態決定に対する影響力が強いようです。更にカワニナ類が難解になった気がしました。

これらは私が持っていても、あまり役に立たないため、okfish中村さんの了解を得て、
さわだ君へ送りました。研究の一助になれば幸いです。むしろ解決を遅らせるかも。

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先日、さわだ君が学園祭の展示で、来場者からタニシとカワニナの違いを聞かれ、
うまく答えられなかったそうです。ネット検索しても、タニシの方が丸っこくて、
カワニナの方が細長いなどの様な記述が多く、あまり明確な回答が見つかりませんでした。
本来はタニシ科とカワニナ科を、形態から分類した論文が存在するはずですが、
それを確認するまでもなく、両者には違いがあるため、出来るだけ簡単に記しました。

タニシとは一般にタニシ科の総称で、タニシという標準和名を持つ種類はいません。
日本にはヒメタニシ、マルタニシ、オオタニシ、ナガタニシの4種類がタニシと呼ばれています。
カワニナは一般にカワニナ科の総称ですが、カワニナという標準和名を持つ種類もいます。
ここでは総称として使います。日本には19種3型(21種類)がカワニナと呼ばれています。

まず、タニシとカワニナを識別する場合、必ず殻口(蓋のある方)を手前へ向けます。
そして赤線で囲った部分を確認し、横筋がない場合はタニシ、ある場合はカワニナです。
この横筋は貝殻が僅かに盛り上がり、殻底肋と呼ばれます。カワニナは2~12本ほどあります。
しかし、カワニナの中には、付着汚れや摩耗などで、希に消えかかっている個体もいますし、
タニシ(特にヒメタニシ)の中には、毛(殻皮毛)が生えて、殻底肋と間違えやすい個体もいます。
そうした紛らわしい個体は、下記の蓋を確認してみましょう。

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殻口をふさぐ蓋が、タニシはきっちり閉まり、カワニナはきっちり閉まりません。
そのため体(軟体部)が、タニシは見えず、カワニナは見えます。
特にカワニナの殻口上端と蓋は、合わずに隙間が出来きます。

横筋の有無、殻口と蓋の状態、この2つを知れば、これがどちらかわかるはずです。
問題は殻口を手前に向けていない場合です。これは急に高度な識別能力が要求されます。
些細な違いから識別は可能ですが、面倒がらずに殻口を手前にしてご確認ください。

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2年半前に中二病でも恋がしたい!とカワニナの関係については記しました。
放送が終わって、熱はだいぶ冷めましたが、京アニでまだ続いていることを最近知りました。
現在放送中の響け!ユーフォニアムという京アニの最新作で、舞台は京都府宇治市。
普通は宇治市と言えば宇治茶や平等院。私は宇治橋が模式産地のナカセコカワニナです。

ネットで検索すると、宇治橋付近の背景画が多く、OPの最後は名古屋市のセンチュリーホール。
何か興味がわいて、公式サイトのキャラクターのページを見ると、びっくりしました。

中世古香織(なかせこかおり)
中瀬古川蜷(なかせこかわにな)

しかも、ナカセコカワニナの特徴は、丸っこい感じなのですが、ショートヘアで似ている。
これはどう考えても、ナカセコカワニナからの献名だ。写真は宇治橋付近の立て看板ですが、
これを見てキャラクター名にしたのではないだろうか。真相は京アニのみが知るところですが…。

このアニメを見ていない私としては、正直どうでも良いのですが、ネットで検索しても、
中世古香織とナカセコカワニナについて、ピンと来ている人はいないようです。
そのためカワニナファンとしては、アニメファンの人にも、知ってもらう目的で記しました。
放送がまだ2回くらい残っているようなので、ちょっと見てみようかなと思いました。

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この記事から半月も過ぎましたが、それは超難解で困っていたからです(笑)。
以下に小難しいことを、なるべく簡単に書きますが、たぶん伝わらないと思います。
ブログなので出典は省略し、カワニナ図鑑で記す際は、ちゃんと載せようと思います。
一昨年にU先生から頂いた記載論文とご助言は、大変に参考になりました。感謝申し上げます。

日本産カワニナ亜属は定説だとカワニナチリメンカワニナクロダカワニナの3種がいます。
クロダカワニナは遺伝や形態から、ヤマトカワニナ亜属だと思われるため、ここでは省きます。
カワニナとチリメンカワニナは、ほぼ全国に分布し、その違いは貝殻に縦肋が有るか無いかです。
つるつるしていたらカワニナ、ひだひだがあればチリメナカワニナ。実際は例外だらけですが…。
そのひだひだがあるグループのチリメンカワニナは、1種ではなく3種だったという話です。
そこで問題になるのが、そのうちどれが1874年に命名された、チリメンカワニナなのかです。
更に他の2種は何なのかです。そのあたりを頭に入れて頂いて話を進めますね。

チリメンカワニナは遺伝と胎殻(母体内の子)形態からA型とB型が知られています。
●チリメンカワニナA型 胎殻は殻長1.6mm前後/縦肋は弱い/螺肋は2本で強い
●チリメンカワニナB型 胎殻は殻長2.0mm以上/縦肋は顕著/螺肋は1本で強い
この胎殻を使って、A型とB型のどちらが、チリメンカワニナかわかれば良いのですが、
チリメンカワニナの模式標本や模式図には、胎殻がないため、どちらかわかりません。
貝殻から遺伝子は調べられず、模式産地の横浜は、2種が生息するそうで、分布も使えません。
親形態の違いはわかっておらず、胎殻による同定は、成熟した雌しか同定が出来ません。

A型とB型の他にもう1種がいます。C型だったらまだ楽なのですが、そうは問屋が卸さない(泣)。
A型とB型は広域分布するようですが、もう1種は静岡県東部・長野県以東に分布するようです。
その中には、ひだひだがあるグループとして、チリメンカワニナにされちゃった種がいます。
それがキタノカワニナ(函館)、ハコネカワニナ(芦ノ湖)、ヒタチチリメンカワニナ(常陸)です。
これら3つはおそらく同種で、A型やB型ではない、C型とも言えるものです。
そのため日本産カワニナ亜属を、カワニナ、チリメンカワニナ、ヒタチチリメンカワニナ、
キタノカワニナ、クロダカワニナの5種とする分類も、一部ではまだ使われています。

ここで学名と命名年を見てみましょう。

●キタノカワニナ Semisulcospira (Semisulcospira) dolorosa (Gould, 1859)
●チリメンカワニナ S. (S.) reiniana (Brot, 1876)
●ハコネカワニナ S. (S.) trachea (Westerlund, 1883)
●ヒタチチリメンカワニナ S. (S.) hidachiensis (Pilsbry, 1902)

最も早く命名されたのは、1859年のキタノカワニナです。チリメンカワニナよりも早いのです。
これら4つをまとめて1種とする場合は、チリメンカワニナはシノニム(命名は先取優先)となり、
正しくはキタノカワニナです。しかし、定説ではチリメンカワニナとして扱われています。
これは間違いです。但し、キタノカワニナの分布域に、チリメンカワニナ?型は分布しています。

過去にキタノカワニナ、ハコネカワニナ、ヒタチチリメンカワニナのうち、
ハコネカワニナが最も命名が早いと教えてもらい、その模式産地である芦ノ湖で捕れば完璧だと、
思い込んでいましたが、実際はキタノカワニナでした。間違えて伝えた方々すみませんでした。
それでは函館で捕らねばと思うかもしれませんが、芦ノ湖と同種なので捕りに行きません(遠)。

関東のひだひだがあるグループを、ヒタチチリメンカワニナとすることもありますが、
ハコネカワニナの方が命名年が早いため、ヒタチチリメンカワニナはシノニムだと思います。
どう転んでもヒタチチリメンカワニナが、分類上で生き残る道は無いと思えるため、
キタノカワニナに改める方が無難だと思われます。ただ、北海道のキタノカワニナの中には、
ひだひだがない個体も、高い割合で含まれているようで、これが個体差によるものなのか、
カワニナと混生しているのか、ちょっと判然としません。同定にはひだひだが重要なのだから、
キタノカワニナとは違うんだと考えるのであれば、ハコネカワニナにしておくのが良いです。

まとめると、チリメンカワニナと呼ばれる種は、チリメンカワニナA型、チリメンカワニナB型、
キタノカワニナの3種です。A型とB型のどちらかが、真のチリメンカワニナで、どちらかが別種。
その上でA型とB型をまとめて、チリメンカワニナとすることは、問題ないと思われます。
チリメンカワニナA型とキタノカワニナは、胎殻形態も類似し、識別は困難に近いのが現状です。
キタノカワニナも含めて、チリメンカワニナとして良いかもしれないが、命名年に問題が残る。

チリメンカワニナはA型とB型という、確立したものがあるため、それに習って記すとすれば、
キタノカワニナは、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)が、一番無難なように思われます。
要はチリメンカワニナ(A型)、チリメンカワニナ(B型)、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)。
これら3種をまとめて記すのであれば、「チリメンカワニナ種群」が適当だろうと思います。

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写真は芦ノ湖の一地点で採集したチリメンカワニナ種群です。
成貝の殻形態は当てにならないですが、左16個体はチリメンカワニナA型かB型で、
右10個体はハコネカワニナことチリメンカワニナ(キタノカワニナ型)だと判断しました。

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左はチリメンカワニナA型かB型、右はチリメンカワニナ(キタノカワニナ型)の胎貝(胎殻)です。
左は胎殻が大きく、縦肋が顕著で、螺肋は1本で強いように見えるため、B型だと思います。
右は胎殻は普通で、縦肋が弱く、螺肋は2本で弱いように見えます。結節が強いです。

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問題はこの個体です。採集地ではカワニナとチリメンカワニナ種群の中間型に見えました。
ただ、芦ノ湖にカワニナは見られず、親貝に縦肋が弱くあり、胎殻はA型に近いようです。
ということは、芦ノ湖の一地点には、チリメンカワニナ(A型)、チリメンカワニナ(B型)、
チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)のチリメンカワニナ種群が全て分布しているのかも。

2011年の採集で、芦ノ湖はハベカワニナ(琵琶湖淀川水系固有種)がたくさんいたことから、
ホタルの餌や何かに混じって、カワニナ属が色々と放流されている可能性も高いです。
チリメンカワニナ種群3種のうち、チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)こと、
ハコネカワニナは1883年記載なので在来。A型とB型の両方かどちらかは移入の疑いも。

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チリメンカワニナ(キタノカワニナ型)と思われる個体を、茹でて醤油に付けて試食しました。
殻頂近くは青臭さがあって苦い。軟体部はまあまあ美味しい。他のカワニナ類と変わらない。
やっぱりカワニナ科は全て美味しくないです。だって未消化な苔も食べることになるからね。

この記事にある内容は、模式標本を確認していないなど、不備がたくさんあるので、
何とも言えない情報ですが、チリメンカワニナ種群が超難解なのは、伝わっていると良いな。
ちなみに、つるつるのカワニナも、遺伝的には2種いるので、もう頭が痛くなってきます(笑)。

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琵琶湖の湖岸でmaikyさんと採集したコセイカワニナ(新称)です。
今のところ高島市(湖西)の水深3~7m以外では見つかっていません。

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左がコセイ。難しいですね。真ん中のイボは、かなり少なくて、滅多に捕れません。

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ごちゃごちゃです。1つ1つ同定すると頭が痛くなります…。
今も寝不足で頭痛いですが、これ終ったら酒呑んでやるぞーっと気合を入れ直し。

さて、私のカワニナ病も悪化して、とうとうWebサイトまで作ってしまいました(乾笑)。
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/
まだ書きたい直したいところはあるけれど、2010年11月中という目標で作ったので、
ギリギリになってしまいましたが、とりあえず公開することにしました。
同定しやすいよう検索表を作ろうと試みるも、形態の多様性があり過ぎて断念…。

2010年4月から採集に協力してくれた11人、非常に大きな存在のS先生、
これまでの記事にコメントを下さった方々、皆様に心から感謝を申し上げます。
特にmaikyさんが何度も採集にお付き合い下さったことが大きかったです。
この未記載種と思われるコセイカワニナもmaikyさんが最初に捕りました(凄)。
私だけであればとっくに琵琶湖で死んでいました(笑)。命がけの採集多すぎっ!

今後はコセイカワニナを含めたカワニナ科の謎を、もっと科学的に解明されることに、
協力して行きたいと思っています。tさん宜しく! まだまだやることありそう…。
日本産カワニナ科図鑑の御感想・御意見・誤同定などはこの記事へお願いしますm(_ _)m

2010年9月1日の記事はあとがきを残して他は削除し、
日本産カワニナ科図鑑 http://www.tansuigyo.net/a_biwae/ を新設しました。



あとがき
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沖の白石(旧称:白石磯)は琵琶湖の秘境です!

「である調」は肩凝るわ(笑)。いつもの「ですます調」でテキトーなこと書きます。
4月10日にカゴメを捕ってから、カワニナに嵌ったけど、楽しくて仕方がない(笑)。
最近はカワニナ捕りばかりで、日淡会の更新がほとんど出来ていない(すみません)。

1.印象に残った採集。
やっぱり沖の白石。行って良かったです。最高でした。また行きたい(爆)。

2.危険だった採集。
間違いなくモリカワニナの採集。今になって考えても、実行するべきではなかった。
書けないことがたくさんあるのですが、ちょっと書くと警察に注意された(爆)。

3.採集が難しいカワニナ。
深場にいるカゴメカワニナ。沖の白石まで行かないと捕れないシライシカワニナ。
個体数が非常に少ないイボカワニナ。命がけの採集になるモリカワニナ。

4.好きなカワニナ。
飼育はモリカワニナ。殻はチクブカワニナ。思い入れはシライシカワニナ。

5.今後の目標。
カゴメを食べる。新種を見つける。コセイカワニナはタカシマカワニナに
しようと思ったのですが、タケシマカワニナと紛らわしいので止めました。

S先生がお相手してくれなかったら、ここまで嵌らなかっただろうし、
4ヶ月間でコンプリできなかったと思う。私にとっては大きな存在です。
また、採集は11人に協力して頂きましたが、全員が貝屋ではなく日淡屋で、
カワニナなんて興味なかったかもしれないけど、快く付き合って下さり、
本当に心から感謝しています。この図鑑も皆様のお陰で作れました。

諸事情で書けない面白エピソードがたくさんあって、
それを封印するのがとても勿体無く、続きは本でと言いたい気もするけど、
ひとまずこれで完とします。そろそろ汽水魚も捕りに行きたくなってきました。
でも琵琶湖は楽しいよ(笑)。土曜も潜ったけどまた潜る予定(切がない・笑)。

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琵琶湖の湖岸でmさんと2人で採集したモリカワニナです。
某島でモリを探したけれど、結局は見つからず、別の場所を探すことに。
この場所は、S先生から生息範囲について、ご助言を頂きました(感謝)。
と言っても、教えて頂いたのは、ピンポイントではなく、結構広い範囲です…。
そのDポイント(デンジャラスなので)は、沖の白石での採集よりも、
更に危険だと思われたため、成人男性で精鋭な方だけ、採集にお誘いしました。
結果的にはmさんと2人だけになりました。もう1人くらい付き合って欲しかった…。

決行日。Dポイント近くでmさんと落ち合います。
家を出る前に、高速道路の渋滞予測を見たら、私が予想していたよりヒドイ予測。
慌てて準備。朝飯なんか食べる暇もない。一般道は流れが悪く、高速はやっぱり渋滞。
時間に遅れてはいけないと急ぎましたが、結局は20分くらい遅刻しました(謝)。

車から降りると。風が強い。波がドバーン。こりゃ死ぬね。苦笑する2人。
とりあえず、Dポイントへ向かうことに。道がないことを想定していたため、
私は水の進入しない、蓋のできるバケツを持って来ていて、そこへデジカメなどを入れ、
それを浮き輪のようにして、Dポイントまで泳いで、移動しようと思っていましたが、
しばらく歩いて、mさんがここなら盗られないだろう言うので、そこへ荷物を置くことに。
ようするに、歩いて行ける限界まで来たので、この先は荷物を置き、泳いで移動です。

海パン・長袖・シュノーケル・マスク・足ヒレ・軍手・網袋を装着します。
とうとう琵琶湖へ入ります。嫌だなぁ…。泳ぐも波に煽られて、なかなか進まない。
しかも、船や水上バイク(どこでもおるな)が近くを通り、何度もこえ~っ。
更に、私は朝から何も食べておらず、お腹が空いて力が出ない。アンパンマ~ン。
S先生から水温変化も半端ではない、と教えて頂いたのですが、波で攪拌されて、
ほとんど変化なし。透視度は約4mくらいで、波の影響なのか、細かいゴミも多い。
水面に顔を出しても岸が見えず、波しか見えなかったことも。怖いよ。アンパン男。

何とかDポイントの中でも良さそうな場所へ到着。まずは岸へ避難です。はぁはぁ(疲)。
そこへ行くまで、水深1.5~3mあたりを、見て来たのですが、モリは全くおらず。
とにかく、ここまで来たらやるしかない。波に煽られながら、何度も潜水を繰り返す。
腹が減って力がでない。波に煽られる。岩にぶつかる。左足から出血(お待ちかね?)。
キズパワーバッドなんて近くに無い。怪我は無視して続ける。それでもモリがいない…。

岸にmさん上がっている。私も向かう。途中で尖った岩にお腹が当たった。と思ったら、
波の力でザーッとスライド(爆)。痛かったですが、ご期待に沿えず、怪我まで至らず。
長袖さえ着てなかったら、確実に怪我するチャンスだったのになぁ。それはいいとして、
mさんが気になる個体が捕れたと。見たい見たい。どれどれ。ワクワクテカテカ。
これは...モリ君(エロコジストの仮面を被ったエコノミストな奴ではなく・謎)だ!!
命がけなだけに感動も一入。mさんと座ったまま抱き合う(誤解なきよう)。ヤッター!!!

mさんにモリを捕った場所へ案内してもらうことに。岸から15mくらいも沖(しんどい)。
ここまで泳ぐだけで、波に煽られて、かなり体力を使った。とにかく腹減ったーっ。
底が見えない。めちゃ深いんです。潜ると水深5mほど。水圧でマスクが顔に食い込み、
耳が痛い、これ以上はヤバイ。水面にあがるまで遠い(苦しい)。それでも見つからない。
初めてこんなに深く潜った。ここで3回潜ったところで、完全に体力がなくなりました…。
狭い範囲に固まっているようで、mさんは一気に2個体も捕っています。そして計5個体。
私は捕れませんでした。これ以上は危険と考えて、一旦引き返して休憩(腹ごしらえ)です。
引き返すのも遠いし、波に煽られて、かなりヘトヘトになりました。

荷物は盗られていない。置きっぱなしは、とても気になる。財布も置きっぱだし。
さて、飯を口に詰め込んで、急に力が沸いて来た。これで万全だ。またDポイントへ。
今度は少し楽に到着できた。mさんが捕った場所で3回潜った。でもいない。岸で休憩し、
また3回潜った。やっぱりいない。mさんも潜るがもういない。個体数が少ないのだ。
おそらく5mより深い場所には、いるのかもしれないが、それは落命に直結する。
探しながら引き返すことに。5mくらいの深さも何度か潜りました。飯食うと違うね。
結局は、前半に1時間半(mさん5個体採集)、後半に1時間半(2人ともゼロ)、
計3時間も探しました。私はそれでも捕れませんでした。諦めて終了することに…。

これまで日本産カワニナ科は、モリを除いて、全て自ら捕って来ました。
モリは想像していた通り、捕るのは容易ではなかったです。最後に残るわけです。
モリだけが自分で捕れなかった悔しさと、mさんがモリを捕ってくれた嬉しさ、
両方の複雑な気持ちの中、海パンからジーパンへ、着替え終えました。はぁ~ぁ。
少し冷静になると、波が高くて、船や水上バイクが近くを通り、前半は朝飯も食わず、
水深5mに何度も潜って、2人ともよく死なずに済みました。運が良かったと思います。

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荷物を持って、私はとぼとぼと歩きます。実はDポイントへ行く前に、
視界に入った気になる場所がありました。ここではEポイントと名付けます。
波の影響が少ない地形で、何かピンと来たので、少し寄り道することにしました。
Eポイントに着いて覗き込むと、底が見えないほど深いですが、岸は垂直に近い状態で、
思ったとおり波の影響が少ない。水面から5cmくらいのところにカワニナ類がいたので、
おもむろに捕ってみました。それを見て。。。しばらく何も言えませんでした(-_-;)
そう! それは間違いなくモリカワニナでした!!! あまりの出来事にモリだ!とは声が出ず、
mさんを呼びました。まだ半信半疑なんです。私の目がおかしいのかとさえ思いました。
これっ…。mさんに見せました。これモリじゃないですか!! そうだよね!!!

3時間も死ぬかもしれないと思いながら潜り、移動と休憩を含めて6時間の採集。
着くなり、手の届くところで、しかも1個体目にして、モリがあっさり捕れました(爆)。
mさんが別の場所を探します。すぐにもう1個体のモリが捕れてしまいました(笑)。
その後に私がもう1個体を追加して、とても狭い範囲ですが、計3個体も捕れました。
採集した水深は5mどころか、水面から5~20cmですよ(爆)。ありえねーーっ。
「びわ湖の底生動物」には水深3~10mに生息するとあります。定説を覆したかも。
これまで命がけの苦労は何だったんだ。そう思うと自然と2人で大笑い。

こういう時に限って、着替えちゃってるし、たも網は車に置いたままという…。
それでも私はこの2個体を、自分の手で捕ることが出来て、幸な気分になりました。
最初にここでやれば5分で終ってました(苦笑)。最後の最後に奇跡が起きました(嬉)。
Eポイントは場所的に、漁師さんが選別で捨てた(そんなにおらんし)とは思えませんし、
深い場所なのに、水面近くに張り付いていたのですから、自ら移動したことが窺えます。

更に写真を見て下さい。上3つがEポイント産で、下5つがDポイント産です。
Eポイント産は、殻頂があまり欠けておらず、縦肋が弱く、細長いのに対して、
Dポイント産は、殻頂が欠けていて、縦肋が強く、太短いという、少し違いがあるのです。
これは生息環境の違いが、形に現れているのだと思います。かっこよさではD産かな。
EとDのポイントで共通する環境を考えると、モリは深いところにいるというよりは、
波の影響が少ない、安定した場所にいるということです。それが深場だったり、
地形的なものだったり、とにかくモリは、波の影響のある場所は、好まないようです。

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これは私が捕った2個体です。まるでオオウラカワニナとヤマトカワニナを混ぜた感じ。
どちらの種類にもない、弱い羅肋があるのと、縦肋があまりカーブせず直線的です。
胎殻も「びわ湖の底生動物」を見る限り、他の種類とはだいぶ違います。
同所的にタテヒダ系とヤマト系が確認され、これは間違いなく独立種だと思います。
S先生によると、何となくタテヒダ系に見えるが、モリはモリ系なのだそうです。
ただ、ヤマトカワニナ(チクブカワニナ)とモリカワニナの殻を比べてみたら、
とてもよく似ていました。ヤマトの親戚かと言うと、それよりは離れていると思え、
モリ系とも言えると思いますが、やはり大別すると、ヤマト系かなと思いました。

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軟体部です。縦肋を擦りながら移動します。
渋くていいっ。チクブカワニナ沖の白石産と同じくらい、私の好きな形状をしている。
これもネットオークションで、貝殻が1万円で売れていたけど、意外と適正価格かもね。
殻頂の欠けていない、生きたこの個体は、それ以上の価値がある気がする。
雌ならば雄から受け取って、ストックしている精子で、増えるかもしれないからね。

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そんな個体でも当然ですが食べます(爆)。価値は自分が決めるものだからです。
私は飼育や繁殖、貝殻集めより、その味に興味があります。胎殻も見たいですし。
塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻が出て来ない…。胎殻が見たい個体に限って雄。
食感は軟らかい。胎殻ではないが、小さく硬いものが僅かにあって、ジャリとした。
臭みが僅かにあるが気になるほどではない。苦味は微かにある程度。全体的に味が薄い。
ヤマトカワニナは弾力が強くて、苦味があるので、味による同定でも別種だね。
それから写真左の糞の色に注目すると、黄色から茶色が目立ちます。他のカワニナ類は、
より黒っぽい糞が多いです。主食が違うのかもと思いました。それが味に出ているかも。

さて、今回モリカワニナが捕れた事で、日本産カワニナ科全種のうち、
後はカゴメカワニナ種群(粒無)さえ捕れれば、コンプリート宣言ができます。
しかし、カゴメカワニナ種群(粒著)とカゴメカワニナ種群(粒無)は、
私がこれまでカワニナ類を捕って来た経験から、種内変異に見えて仕方がありません。
「日本産淡水貝類図鑑1」のカゴメの写真は、粒著と粒無の中間型に見えますし、
堅○漁港の貝山の多くは粒著でしたが、どちらか迷う中間的な個体もいました。
そこでS先生にもう一度、この件について私の意見を書き、ご教授頂きました(感謝)。
勝手に要約すると、両者の違いは20年以上も前に調べたことで、胎殻も違っていた
と記憶していますが、当時カゴメはイボと絡まって、ややこしい状態だったが、
現在の分類ではカゴメ1種ですから、コンプリートで良いのではないかと。

S先生ありがとうございます! これからは同種として扱うことにします。
日本産カワニナ科全20種類(ヤマトカワニナ肋型とチクブカワニナを含む)。
「コンプリート宣言」です!!! 今年4月にカゴメを捕ってから、達成まで4ヶ月でした。
今はタルカワニナやヒタチチリメンカワニナのような種内変異や地域変異が、
多くの研究者が認める種や亜種として、出て来ないことを願っています(笑)。
私にとって4ヶ月は長かったです。最後となった今回のモリ採集が一番危険でした。
今回の採集でS先生とmさんに改めて感謝致します。死なずに終れました。

今後は、カゴメだけまだ食べたことが無いので、それはまた捕って食べたいです。
また、日本産カワニナ科全20種類の、まとめ的な記事を近いうちに書くつもりです。
これまで付き合ってくれた方々への感謝と、私ごときが大変に痴がましいのですが、
新知見やあまり知られていない情報を書いて、長大な記事にする予定です。
実はこの一連のカワニナ記事は、多くの方から注目されているようで、
アホなことばかり書けんなと思うのですが、元々アホなので治しようが無くて(笑)。

すっかり季節は汽水魚シーズン。今夏にカワニナ類をコンプリートするまではと、
汽水の予定も入れていませんでした。これからは琵琶湖の水温チェックは止めて、
潮汐チェックして採集へ行きます。皆さん色々とありがとうございましたー(多謝)。

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沖の白石周辺の岩礁湖岸で9人で採集したシライシカワニナです!!!!!
この種は琵琶湖の沖の白石周辺の岩礁湖岸にしか分布しないため、
必然的に生息地公開になってしまい、隠せないので例外として書きました。
カワニナ類の中で、最も局所的分布で、極めて貴重な種類です。

15年くらい前。某テレビ番組で、沖の白石へカヌーで行く企画が、放送されていました。
一行はそこへ向かう前に、竹生島行きの乗船場で、琵○博のMさん(貝類研究者)に出会い、
沖の白石にはシライシカワニナという、沖の白石にしかいないカワニナがいて、
最近、新種記載されたばかりだから、見て来ると良いという話をされていました。
私は沖の白石がどんなところか、あまり深く知りませんでしたが、
一行が長時間カヌーを漕ぎ、沖の白石へ到着した画を見て、とても驚きました。
こんな狭い範囲の岩に、ここにしかいない新種がいるだとぉ!? 信じられませんでした。
テレビカメラが岩沿いに、水中へ入って行くと、僅かにシライシカワニナがいました。
この超~っ局所的分布のシライシカワニナとは何なんだろう。こんな岩で隔離され、
種分化したというのか、考えれば考えるほど、ありえなさが気になってきました。
そのテレビ番組の一行が羨ましく、シライシが捕りたいと思うようになりました。

「湖国びわ湖の魚たち」という本の表紙は沖の白石ですが、それを見る度に、
ここには、ここにしかいない、シライシカワニナがいるんだ。そう思って見ていました。
このモヤモヤ感は一時期は無くなりましたが、今年4月に湖岸でカゴメカワニナを捕り、
それがきっかけで、シライシカワニナのことを思い出し、貝類図鑑などを読み返すと、
だんだんカワニナ類を全て捕りたくなってきました。当然これまで夢だった、
シライシカワニナも狙おうと思いましたが、潜って捕るしかないと考え始め、
4月はまだ水が冷たいので真夏に行こう。それまでに湖岸で捕れるものは捕ろう。
そういう気持ちになりました。次第に日淡そっちのけで、カワニナ類へ嵌って行きました。

そして、多くの方の協力で、7月時点で残るのは、深湖シリーズのカゴメ(粒無)と、
離島シリーズ(シライシ・タケシマ・チクブ・モリ)だけになりました。
7月25日とうとう沖の白石で、夢のシライシカワニナを狙うことになったのです。

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色々ありましたが沖の白石の前へ来ました。海パンとシュノーケルと足ヒレを装着。
もう飛び込むしかありません。シュノーケリングは子供の頃に1度して、
使いこなせなかったので、非常に不安がありました。足ヒレは初めてです。
どぼーん。おもっきり湖水を飲みました。水泳やっていた癖で、沈みかけると、
足が勝手に平泳ぎしようとします。足ヒレの使い方としては全く駄目です。
何とか沖の白石にしがみ付き、pさんに死なないよう、見ておいてとお願いしました。
巣潜りに慣れた人は、我先にとシライシを探しています。そんな中でpさんには感謝です。
それから20分もすると、だんだん慣れてきて、潜ることも出来るようになりました。
湖流の怖さもS先生から伺っていたため、下手にあちこち大幅な移動は出来ません。
船から見守る役をして下さった方と、とりあえず交代することにしました。

皆さんなかなか見つからず、時間ばかり過ぎ、諦めるという選択も頭に浮かびました。
そんなときpさんが、これは何だろうと、私のいる船へ持って来ました。
小さなカワニナ類でした。私は見てすぐ、あれっ?ハベ系に見えるけど、
沖の白石にはハベ系はいないはずだけどなぁ。う~ん。なんだこれっと言いました。
でも、図鑑などと見比べると、なんとなくシライシにも見えるなぁと…。
十中八九シライシ。これはすごいかもっ。さすがpさん。テンションが上がりました。
そのすぐ後で、tさんが大きな個体を、狭い範囲で2個体も捕ったと言っています。
船で休んでいた私とuさんは、すぐ戦闘準備に入り、目の色が変わって、どぼーん。

tさんが捕ったあたりを探すことに。他の人も集まって、ぽつぽつと捕れ出しました。
私は何度か潜っても見つけられず、水深3.5mくらいで、闇雲に岩を触ってみました。
何か2つほど手に当たりました。その1つを確り掴んで、水面に顔を出して確認すると、
間違いなくシライシカワニナだったのです。それも立派な個体です。キター!!
そんなありふれた表現では、表せないほどの、満足感が充満してきました。
まさに夢が叶った瞬間です。このために色々と苦労し、命がけで挑みました。

しかし、そこは危険な場所だったので、すぐに安全な場所へ移動しました。
すぐに皆さんに捕れたものを見せると、一緒に喜んでくれました。本当にありがとーう。
これも多くの方にお世話になったお陰です。この1個体を捕ってから、
すぐ捕る気力がなくなり、捕れていない人への、サポートへ回る事にしました。
それでも捕れなかった人もいました。やっぱり簡単に捕れるものではなかったです。

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全16個体が捕れました。9人でこの数です。中には潜ることに長けた人もいます。
凪で湖流の弱い、とても良い条件下で、9人でほとんどの場所を探しました。
まとまっていたのは1箇所だけ。生息している水深は2.5m以上だと思います。
「日本産淡水貝類図鑑1」によると水深8.5mまでいるようですから、
我々はそこまで深く潜れていません。たぶん深いところに多いのかもしれません。

カワニナ類の繁殖力と成長の早さは、淡水魚とは比較にならないものがあるため、
今回の16個体が乱獲であったり、種の存続を脅かすものでは、無いと思っています。
また、琵琶湖は水中ボンペを使用しての採集は禁止されているのと、
素潜りはせいぜい5mの深さしか潜れませんし、体力的にも長時間は辛いです。
それと地図を見てわかったのは、沖の白石周辺は南北に細長い1.5kmほどの、
浅場(と言っても深い)があり、海綿などを主に食べていれば、そこでも生活して
いるのではないかと思えました。そもそも本当に沖の白石にしかいないのだろうか…。
とにかく、これからもシライシが生息できる、琵琶湖であって欲しいと願っています。

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軟体部の写真です。下の写真は中央シライシカワニナで、両脇タケシマカワニナです。
S先生によると、タケシマはハベ系だが、シライシはシライシ系だそうです。
ようするに、シライシは完全な独立種だそうです。事実であればより貴重です。
私が捕る前は、数少ない図鑑の写真などを見て、たいてい細長い個体が載っていたため、
タテヒダ系だと思っていました。確かに細長くてタテヒダ系な個体も捕れています。
更にカゴメ系のように、もこもとと各層が膨らんでいる個体もいました。
ハベ系もいます。この統一感の無いぶれは、まさにハベ系なのだと思いました。

それにシライシはタケシマと良く似ています。私は同種内の地域変異に見えました。
螺肋と顆粒が弱いタケシマ、螺肋と顆粒が強いシライシ。微妙な差です。
この関係は、肋のあるハベカワニナ、肋の無いフトマキカワニナに近いです。
これを独立種とするか、ハベ系の著しい多様性と捉えるか、まだまだ奥が深いです。

ファイル 422-5.jpg
塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻は外しました。
歯応えは良い。やや苦味があるが、不味くもなく、美味しくもなくという感じでした。
前にタケシマカワニナの貝殻1つが、1万2500円で売れていたと紹介しましたが、
これまでシライシが売られていた例はないと思います。想像すると3~5万円くらいか(怖)。

ひとまず、7月25日のネタは全て放出しました。これまで気を使ってもらって、
自分のブログなどに、このネタを書かずに待って下さった方には、お心遣いに感謝します。
とにかく命がけで捕れました。改めて多くの方へ感謝の気持ちを表したいです。
ありがとうございました。そして最後?に残ったモリカワニナ。これはまた狙います…。
シライシ捕った時点で、私の夢は叶ったのですが、ここまで来たらコンプリート狙います!

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