琵琶湖で採集したヤマトカワニナです。
過去に記事化していますが、チクブカワニナぽいので、改めて新記事にしました。
ヤマトの模式産地は「Hab. Lake Biwa, near Kiyoto.」とされています。
京都の近くの琵琶湖は大津市中心部あたりだろうと思います。この個体は浜大津産です。
2010年11月28日に撮影したものですが、この頃はまだ試行錯誤中でした。
黒背景か白背景か。これは白背景の方が良さそうだということがすぐに分かりました。
平な場所へカワニナ類の殻口を手前にして置くと、殻頂が奥へ倒れてしまい、
下からのあおり効果で、殻口が大きく、殻頂が小さく見えます。
そこでタオルの上へ置き、殻口(体層)を少し押し込み、殻頂をふんわり乗せることで、
正面から見た形態が正確にわかるよう、撮影ができるようになりました。
胎殻はカワニナ類を1分ほど茹でて、爪楊枝でサザエのように回しながら取り出します。
胎殻が見られたのならば、白色の小皿に軟体部を置いて、爪楊枝のこけし飾りの部分で、
かき出すようにします。そして親殻を左側へ置いて、撮影するようにしました。
文献で胎殻の写真はたいてい大きめの1個体だけです。この場合は執筆者の選択が生じます。
自説に都合が良い胎殻が選ばれ、例外的な胎殻は無かったことにされる疑いがあります。
私の撮影方法は全ての胎殻が確認でき、数や親殻と比較した大きさが一目瞭然です。
軟体部の栄養状態や寄生虫なども、ある程度はわかります。情報が格段に増えます。
ただ、軟体部が気持ち悪い、胎殻の写真が小さい、という問題点もあります。
近江八幡市で見られるヤマトは、変な個体が多い印象があり、例を3つ出します。
胎殻はヤマト系。螺層角はハベよりも広いが、顆粒はほとんど痕跡程度。交雑かな。
ヤマトの殻底肋は2~3本が最頻値だと思っていますが、この個体は4~5本あるような。
次体層は縦肋よりも螺肋が強く、顆粒の数も多めです。胎殻の暗色帯もやや細くて薄い。
同様な個体は複数が見られます。割と典型的なヤマトも同所的に見られます。
螺塔は縦肋、次体層は顆粒、体層は螺肋という、全部の乗せの豪華な個体。
他にこれも近江八幡市産です。これらは奇形や変異幅の端なのかは気になるところです。