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琵琶湖でヤマノカミ君が採集したイケチョウガイです。
形態的に交雑を思わせるところが無い、純系イケチョウガイだと思われます。
過去に記事にしたイケチョウガイ×ヒレイケチョウガイ(改良母貝)ではありません。
イケチョウガイで画像検索すると、ヒットする多くは改良母貝で純系ではありません。
バケツ蓋2900mm÷バケツ蓋1217pixel×殻長798pixel=1901.56...殻長約19cmです。

2020年5月30日13:38~14:15に、琵琶湖北湖でヤマノカミ君と私が一緒に潜りました。
ヤマノカミ君は魚、私はカワニナを狙い、一定の距離を取って、採集をしました。
私が先に岸へ上がって待っていると、ヤマノカミ君が網袋に何かを入れて戻って来ました。
20mほど離れたところから話しかけると、大きな貝を拾ったのだと言います。
あぁドブガイ類とかかな。その網袋がだんだん近づいてくると、眼を見開きました。
もしかして、もしかして、いやそんなことはない。なんか薄っぺらいぞ。ヤバイヤバイ。

網袋から出されたその貝は、イケチョウガイでした!! マジカヨまじかよ。凄い!!!
ヤマノカミ君は素潜りの経験が浅く、あまり深くには潜れず、二枚貝は種類もわからない。
どうしてこの貝を拾ったのと聞くと、大きな貝だったからという単純な理由でした。
ビギナーズラックの無自覚は最強でーす。私は2010年から琵琶湖の貝を全て見たいなと思い、
琵琶湖淀川水系は350(潜水158)箇所でカワニナを採集し、プロットだけで琵琶湖が描けるほど。
しかも、イケチョウガイを狙って、何度か採集に行ったが、1個体も捕れなかった。

捕れた場所は水深1.6mほどで、水管も見られたので、確実に生きているそうです。
撮影後はヤマノカミ君の手で、元の場所へ戻されました。採捕許可があれば…。
ここに記していますが、滋賀県でイケチョウガイは、事実上採集禁止なのです。
写真を撮って逃がすくらいはOKだそうです。ヤマノカミ君はイケチョウガイという認識はなく、
漁業調整規則も知らず、逃がしているため、法令や倫理的な問題は無いと思っています。

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イケチョウガイは琵琶湖淀川水系固有種(レリック)で、日本産淡水貝類図鑑(1)によると、
淀川最後は1986年と推定され、大阪府RDB2014では絶滅(EX)とされています。
京都府RDB2015では「過去20年以上、発見記録がない」とされています。
滋賀県RDB2015では「近年...生息に関する情報は極めて少ない」とされています。
大阪府と京都府と違って、滋賀県は含みを持たせていますが、具体的な記述はありません。
「近藤高貴コレクション 日本産イシガイ目標本目録 (2015)」によると、滋賀県は
2000年9月7日(琵琶湖)の2個体を最後に集録が無く、その後は2007年に移入の姉沼です。
移入を除く確実な記録としては、2000年が最後だと思われます。20年未確認に等しいです。

2000年以降の記録もあります。凄い方はいるものです。2007年1月にkochibi氏が採集。
この石積みの場所は、すぐに特定できたので、何度か潜りましたが、捕れませんでした。
そして同氏が2019年10月10日に採集。2007年以来の発見だったようです。

まとめます。私が知り得た情報だけですが、在来純系イケチョウガイは、
大阪府は絶滅(1986年)、京都府は絶滅寸前(1995年以上前にしか記録が無い)、
滋賀県は2000年2個体、2007年1個体、2019年1個体、そして今回2020年1個体です。
20年間で5個体目を拝むことが出来ました。これらは全て殻長18cm以上ある成貝です。

成貝の殻は湖岸や漁港で見られるため、細々と生き続けているのだろうとは思いますが、
殻長15cm以下のものはほぼ見られません。改良母貝が琵琶湖に侵入しているため、
それらとの交雑によって、今後に生まれて育つものは、純系が少なくなることでしょう。
最悪は今いる成貝が居なくなった後は、琵琶湖でも絶滅するかもしれません。
実態把握と保護が急がれます。採捕許可があれば貴重な生体を残すことも出来たのに…。