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先日、さわだ君が学園祭の展示で、来場者からタニシとカワニナの違いを聞かれ、
うまく答えられなかったそうです。ネット検索しても、タニシの方が丸っこくて、
カワニナの方が細長いなどの様な記述が多く、あまり明確な回答が見つかりませんでした。
本来はタニシ科とカワニナ科を、形態から分類した論文が存在するはずですが、
それを確認するまでもなく、両者には違いがあるため、出来るだけ簡単に記しました。

タニシとは一般にタニシ科の総称で、タニシという標準和名を持つ種類はいません。
日本にはヒメタニシ、マルタニシ、オオタニシ、ナガタニシの4種類がタニシと呼ばれています。
カワニナは一般にカワニナ科の総称ですが、カワニナという標準和名を持つ種類もいます。
ここでは総称として使います。日本には19種3型(21種類)がカワニナと呼ばれています。

まず、タニシとカワニナを識別する場合、必ず殻口(蓋のある方)を手前へ向けます。
そして赤線で囲った部分を確認し、横筋がない場合はタニシ、ある場合はカワニナです。
この横筋は貝殻が僅かに盛り上がり、殻底肋と呼ばれます。カワニナは2~12本ほどあります。
しかし、カワニナの中には、付着汚れや摩耗などで、希に消えかかっている個体もいますし、
タニシ(特にヒメタニシ)の中には、毛(殻皮毛)が生えて、殻底肋と間違えやすい個体もいます。
そうした紛らわしい個体は、下記の蓋を確認してみましょう。

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殻口をふさぐ蓋が、タニシはきっちり閉まり、カワニナはきっちり閉まりません。
そのため体(軟体部)が、タニシは見えず、カワニナは見えます。
特にカワニナの殻口上端と蓋は、合わずに隙間が出来きます。

横筋の有無、殻口と蓋の状態、この2つを知れば、これがどちらかわかるはずです。
問題は殻口を手前に向けていない場合です。これは急に高度な識別能力が要求されます。
些細な違いから識別は可能ですが、面倒がらずに殻口を手前にしてご確認ください。