2012年8月15日は要芽さんと沖の白石でシライシカワニナ採集です(命懸け)。
昨年はカワニナ丸で極めて危険でしたが、それに懲りず、また行こうとするのは、
根っからの冒険家気質でしょうか。いいえ、シライシカワニナが捕りたいだけです(真)。
一昨年と昨年は、大きな個体が僅かで、数も少なかったので、納得できませんでした。
今回の目標は、でっかいのを捕りたい、そして浦B先生への進呈用に数も必要だ。
要芽(かなめ)さんは、沖の白石へ行き、シライシカワニナを1個体で良いので捕りたいと。
8月13日夜。14日夜遅くに名古屋から琵琶湖へ向い、夜明けから沖の白石へ出航するため、
ある程度は起きて、寝る時間をずらさないといけない。仮にベッドへ入ったとしても、
昨年の怖い記憶が蘇って、直ぐに寝られないのは、これまでの経験から明らかだった。
晩酌を普段より多く長く呑み、8月14日06時30分頃に就寝。これで夕方頃に起床するはずだ。
確り寝て体調万全で行くぞっ。右腰の肉離れも完治していないので、寝て安静にしよう。
8月14日11時15分。maikyさんから電話。おもっきり沖の白石の話をしてしまう(笑)。
5時間近く寝たので、微妙に眠たくなく、興奮もあって、もうぜんぜん眠れないよぉ…。
酒が抜け切る前に、起きてしまい、完全に二日酔い。より悪い体調の出来上がり(あぅ)。
8月14日23時頃に要芽さんと電話する。天気予報だと夜明け頃に小雨がありそう。
レーダー画像を見ると、ご飯にゴマでも掛けたかのように、雨雲があちこちに見られる。
でも一番問題なのは風。04~11時は南東4m以下。12時以降は南東4~7mという感じ。
風向は北西(彦根から出航)、南東(北船木から出航)と考えていたので、北船木に決定。
風速は0~3m(決行)、4m(検討)、5m以上(中止)と考えていたので、12時までには戻ろう。
要芽さんには、これまで私が散々、沖の白石の危険性を伝えた上での決行なので、
死んでも恨みっこなし。天国で会っても、文句言わないことを、約束してもらいました。
8月14日23時40分頃。要芽さんが西村宅に到着。要芽さんのお車に荷物を積み込む。
私は寝不足で、二日酔いがまだ抜けないまま、琵琶湖へ向かうことになりました…。
途中で水と食料を買い、Mドナルドを腹に入れ、北船木へ15日03時15分頃に着きました。
湖岸の防風林では、小雨の中にバーベキューしているグループがいたため、
これで車上荒らしには遭わないなと、ほっとしました。さぁゴムボートに空気を入れます。
空気を入れていると、短時間に感じるのですが、完成まで1時間15分も掛かりました。
先日に要芽さんの宿題になったゴムボートの命名ですが、これがどうもしっくり来ないので、
私の提案で「シライシ号 0.16t」にしました。シライシ号の意味は、沖の白石へGO!です。
0.16tは耐荷重量が160Kgだからです。2人の体重合計145kg+荷物なので余裕がないっ。
シライシ号は8,575円と安価なので、文句は言えません。安物買いの命儲け狙いです。
航行予定は 北船木→沖の白石→北船木 (片道5.5kmで往復11km)です。
これはカワニナ丸で行ったときと同じです。写真の沖の白石が見えるでしょうか。
めっちゃ遠いんです。これからあの見失いそうな、灰色の点に向かって漕ぎ続けるのです。
湖面は凪ではありません。向かい風です。私の装備は、長袖・海パン・ライフジャケット・
パジャマの長ズボン・スリーフィンガーレスグローブ・麦わら帽子・スニーカーです。
昨年は日焼けで、かなり苦しめられたので、なるべく肌の露出を防ぐ格好にしました。
まず、私が後部座席に乗ります。そして前部座席へ要芽さんが乗り込みました。
05時14分出航です。気合が入ります。いくぞ!ぜってえ、またここに戻ってきてやるっ!!
まずは要芽さんの漕ぎ方を見たかったので、1人で漕いでもらいます。
前に不死鳥島で一緒に乗ったときは、無難に漕げそうだなと思っていました。
しかし、5分もしないうちに、非常に不安になりました。ちゃんと漕げないやん!
これは風波が来たら終わりだな。私はこのとき今日が2人の命日だと確信しました(爆)。
基本的な漕ぎ方(パドリング)は大きく分けて2つあります。前進漕ぎと回転漕ぎです。
前進漕ぎは、船体の外側と平行に漕ぎ、それを交互にすることで前進させます。
回転漕ぎは、船体の外側を弧のように漕ぎ、回転させたり、船首の向きを変えます。
船体左側を、強く回転漕ぎすれば左回転し、弱く回転漕ぎすれば、船首は左へ向きます。
要芽さんは、沖の白石へ船首が向いているときに、右側は前進漕ぎで良いのですが、
左側は回転漕ぎになるのです。それを私が何度も注意しても、全く直りません(苦笑)。
特に力を込めて左側を漕ぐと、強い回転漕ぎになって、シライシ号が1回転するほどです…。
船首は目的地である沖の白石へ、常に向いているべきですが、左へ左へと進みます。
写真を見て下さい(06時08分)。パドルのグリップの上にある点が、沖の白石なのですが、
シライシ号の船首と要芽さんは、沖の白石より左向きです。どこへ行くんだぁ(笑)。
沖の白石の向こう側は荒神山です。出発前の写真と比べると、沖の白石が右に位置します。
これはシライシ号が左方へ進んだことによって、沖の白石が右へずれて見えるのです。
何とかせねばと考えて、要芽さんは右側だけを漕ぎ、私は左側だけを漕ぐことにします。
しかし、要芽さんは右側だけを漕ぐ場合も、数回に1度は回転漕ぎになります。
力強く回転漕ぎされたときには、シライシ号は回転するだけで、ぜんぜん進んでいません。
とにかく風波が弱いうちに、覚えてもらうしかないため、結局は1人ずつ交代で漕ぎ、
要芽さんが左へ進ませたのを、私が右へ漕ぎ戻すという、何とも虚しい作業の繰り返し。
ミシンのジグザグ縫いのように進みます。1km移動するのに1.5kmは漕いでいる感じです。
私はパワーと方向は問題ないけど、持続性がないため、人のことは言えないのですがね…。
ジグザク走行でも、沖の白石はだんだんと近付く。もう何百漕ぎしただろうか(しんどい)。
沖の白石まで500mを切る。数羽の鳥がシライシ号の存在に気付き、飛び立つのが見えた。
何か要芽さんの様子が変だ。下を向いて「涙が出て来た」と言って、泣いている(爆)。
まだ着いてもいないのに、男泣きするのは早いよ。私は北船木へ無事に戻ることが、
真のゴールだと思うので、ここで気を抜いたら、死に直結すると考え、気を引き締める。
そうは思っても、要芽さんの感情はよくわかる。夢に出るほどの岩島が目前にあるのだ。
昨年から行きたかった。でも命懸けで不安も一杯。そんな気持ちが爆発したのだろう。
どうやら沖の白石の周辺は、湖流が発生しているようで、水面に泡やゴミが流れている。
シライシ号も湖流に流されそうになる。とりあえず、昨年にカワニナ丸を置いた場所へ。
要芽さんが岩へ乗り移る。そして私が乗り移る。同じ状態だったので、足がふらふらする。
シライシ号を2人で持ち上げて、沖の白石へ立て掛ける。横に置けるところは無いのです。
07時18分に沖の白石へ上陸(ヤッター!!)。2時間4分も掛かりました。やっぱり遠いわ。
程なくして、遠くの方から、高速でバスボートが近付いて来た。うわぁ。嫌だなぁ。
邪魔しちゃ悪いかな感を出そうと思い、急いでデジカメを出して、撮影したのが上の写真。
慌てているので、左手のグローブが写っちゃっています。それに気付いてバスボートも、
去ってくれました。ありがと~う。という気持ちを込めて、バスボートに手を振ると、
向こうも手を振ってくれました。優しくてマナーのある人たちで良かったです。
上陸したからこそ分かる真実を記します。明治42年「新撰近江名所図会」によると、
白石島「全石鳥糞を以て白色と去れるが故に俗に沖の白石と云ふ」と書いてあります。
沖の白石は鳥の糞で白く見えるという意味です。原典は文化12年「近江名所圖會」だと
想像していますが、「沖の白石 鳥の糞」でネット検索すると、たくさんヒットします。
ようするに、文化12(西暦1815)年から200年近く、鳥の糞説が信じられているわけです。
鳥はそんなに多く見られません。少しでも居れば、鳥の糞があるのは当然ですが、
沖の白石へ3回行って、鳥の糞が岩の色を変えるほどある、という記憶は無いです。
そもそも、沖の白石の岩質は湖東流紋岩で、元々が白っぽいのです。写真を見て下さい。
青白くて鳥の糞みたいに見えるところは、地衣類(菌類)が着生している色なのです。
結論を言うと、白い岩に地衣類が着き、それを遠目で鳥の糞と思った、見間違えです。
おっとっと。下らない糞ネタを書いちゃった。これから、いよいよ、素潜り採集です!
(後編へつづく)