| 和名 | イボカワニナ (疣川蜷) |
| 学名 |
Semisulcospira (niponica) decipiens (Westerlund, 1883)
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Semisulcospira decipiens (Westerlund, 1883) ※略記
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| 分類 | カワニナ科 カワニナ属 ヤマトカワニナ集群 イボカワニナ種 |
| 写真 |
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| 原記載 |
模式産地
(ホロタイプ/Fig. 11a-c、写真)
は1878〜1880年に琵琶湖。南湖盆の北端で水深9m(現在推定水深8.3m)。 |
| 分布 |
琵琶湖・瀬田川及び余呉湖。琵琶湖疏水に記録はあるが現在は見られない。近年、琵琶湖疏水では生息報告が無い。 大阪府・長野県・山梨県・神奈川県などに移入。
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| 環境 |
浅場の石礫底に多い。深場の岩礁〜泥底でも見られる。
琵琶湖流入河川の河口付近や内湖など、有機物の堆積した場所で、カワニナと一緒に見られることも多い。
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| 形態 |
次体層の縦肋数は多様で、平滑な個体も見られる。
体層の膨らみが強い、殻口が大きく、螺層角が広い個体が多い。変異幅が多様で近似種との識別が難しい。
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| 備考 |
本種は2022年に分類が大幅に見直された。胎殻の大きいことが特徴のイボカワニナ S. (Biwamelania) multigranosa (Boettger, 1886) とされて来た種は、
ハベカワニナ S. (B.) habei Davis, 1969 の疑いが強く、
胎殻の大きいものは未記載種で、サザナミカワニナ S. davisi Sawada and Nakano, 2021 として新種記載された。
ハベカワニナは新種記載時に宇治川産のハベカワニナ(基亜種) S. habei habei Davis, 1969と、
ヤマグチカワニナ S. habei yamaguchi Davis, 1969 という1種2亜種に分けられていたが、
その後に亜種の分割は支持されなくなった。しかし、遺伝と形態の両面で両者は種レベルで異なると見直された。
イボカワニナ S. (B.) multigranosa (Boettger, 1886)、
ヤマグチカワニナ S. habei yamaguchi Davis, 1969、
フトマキカワニナ S. (B.) dilatata Watanabe and Nishino, 1995 は同種だと考えられ、
新種記載の早いイボカワニナが有効種となるはずだったが、タテヒダカワニナ S. (B.) decipiens (Westerlund, 1883) のホロタイプはイボカワニナと同種だと判明した。
そのため新種記載の3年早いタテヒダカワニナが本種となる。タテヒダカワニナという和名は従来の認識種と異なるため、ヤマグチカワニナやフトマキカワニナよりも古くから使われているイボカワニナが残された。
よって、イボカワニナ S. decipiens (Westerlund, 1883) とされた。
難解なために簡単に記すと、1995〜2022年に琵琶湖産のハベカワニナやフトマキカワニナは、和名がイボカワニナで学名はタテヒダカワニナ。
写真Hb162001を採集した小河川の脇には、
浚渫土砂と思われるものが積上げられ、そこに含まれる琵琶湖固有の死んだ貝類から、琵琶湖で掘削したと想像できた。
土砂の一部は小河川へ崩れ落ち、この個体は極端に肋が削れていることから、生き延びた個体だと考えられる。
こうした浚渫土砂による非意図的な移入は、同じ琵琶湖水系内であっても、何らかの配慮が必要だと思われる。
文献33のS. dilatata 大阪府(室池)産、
S. rugosa 山梨県(本栖湖)産、
S. habei 大阪府(長瀬川・室池)・長野県(木崎湖・農具川・中綱湖)・山梨県(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)・神奈川県(芦ノ湖)産は本種と見なした。
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