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和名クロダカワニナ
学名Semisulcospira (Semisulcospira) kurodai Kajiyama et Habe, 1961
分類カワニナ科 カワニナ属 カワニナ亜属 クロダカワニナ種
写真
分布本州(静岡県〜岡山県)及び四国(徳島県)。 文献8では、広島県にも記録はあるが、誤同定の疑いもある。
環境下流域に多く、希にそこへ注ぐ水路にも生息する。 同所的にチリメンカワニナがよく見られる。 汽水域の干潟の砂泥上に、シモフリシマハゼやヤマトシジミと一緒に見られる場所もある。
食感は良いが、青臭さが強く、美味しくない。
形態 殻底肋4〜8本、たいてい次体層より上方に縦肋がある。螺状脈のある個体、 体層から弱い縦肋のある個体、それらが交わる個体も見られる。胎殻は他のカワニナ科と比べてやや白色が強い。
備考 本種とヤマトカワニナ亜属は、胎殻の色と殻底肋数の違いはあれど、 形態上は非常に近い関係にあると思われる。 記載論文の文献10でも、 本種を「琵琶湖水系のカワニナ群の1種」としている。 しかし、カワニナ亜属に分類されていることは疑問である。 本種は琵琶湖淀川水系を横断する広域分布から、ハベカワニナ類の原種ではないかと想像される。

殻底肋4〜6本で胎殻が確認できない場合は、ハベカワニナ類との区別は困難を極める。 また、本種とハベカワニナ類の形態的特長が漸移していた場合や、 交雑や遺伝子浸透によって、中間型が存在しても、それを判断することは極めて難しい。 更に、本種の分布域にハベカワニナ類の人為的な移入があった場合、 それを本種と誤同定することも考えられる。

写真Ca009012(木曽川産)は殻底肋4本で螺層角が狭い。 写真Ca010009〜010(豊川産)は殻底肋8本で螺層角が広く、 フトマキカワニナに良く似ている。 殻底肋は木曽川産4〜6本、豊川産6〜8本が多い。 この産地差が何に支配されているか不明だが、 こうしたことがハベカワニナ類で起こっても不思議ではなく、 その違いが別々の種として記載された疑いを持つ。

写真Cb047004の下方にある2つの胎殻は、 右側が通常の右巻き、左側は逆旋の左巻きであった。

文献13文献14によると、 琵琶湖では北湖東岸と南湖で採集され、他での報告は無いが、 北湖北岸写真Cb096001〜010でも確認した。

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