ウナギの蒲焼(6)





味の違い

蒲焼の味は部位によって4つに大別できます。 前腹は内臓がある分だけ身が薄く、腹骨は硬さを感じます。 後腹は前腹よりも少し身が厚く、腹骨も少し軟らかいです。 前尾は身が厚くて脂が多く、小骨が気にならず、軟らかくて最上の部位です。 後尾は前尾ほど脂は多くなく、身が薄いため皮の味が強くなります。

●天然 vs. 養殖
全長(cm)304050607080以上
天然
養殖
天然
養殖
天然
養殖
味(点)0102030405060708090100
天然
養殖
「天然ウナギと養殖ウナギはどっちが美味しい?」という比較をよく目にします。 養殖は雄がほとんどで、全長40〜50cmで太くて揃っています。天然は雌雄いて、全長30〜80cmで細〜極太とばらばらです。 身の厚みや骨の太さなどが異なり、公平な比較ができません。 仮に同程度を比較すれば、確実な違いは皮だけで、天然が厚くて硬く、養殖が薄くて軟らかいです。 脂は量が同じ場合、養殖の方が濃くてしつこく、天然は薄くてあっさりが多いです。 総合的な判断の味は、養殖は70〜80点で安定していますが、天然は20〜100点と幅が広く、洗剤臭などで食べられない0点までいます。 ただ、養殖で100点やその近くを食べたことがありません。 ようするに、養殖は全体的に美味しく、天然は不味いから絶品までいる。 どっちが美味しいかは一概に言えません。


煙を何とかする

悪い例 良い例
換気扇をあちこち回して、給気口が定まっていない。 換気扇をキッチンだけ回して、給気口が定まっている。
蒲焼を作ると多くの方法で煙が出ますが、スモーキーな風味が加わる良い味付けです。 煙は壁などに付着して、1〜2日は臭いが残り、酷い場合は1週間ほど消えません。 防ぐには換気扇と給気口の使い方が大事です。 悪い例は普段の生活では良いですが、空気の流れが広く移動して、煙もそれに乗って全体が臭くなります。 更に換気扇近くの窓を開けると、外へ出た煙が戻って循環し、最悪な状況になります。 良い例のようにキッチン(レンジフード)以外の換気扇を止めて、対角線上の窓だけを開けることで、 空気の流れがほぼ一方通行になり、他の部屋を煙から守ることが出来ます。 但し、空気が入れ替わらないため、蒲焼を作る1〜2時間だけ停めて、終わったら元に戻しておきます。

●煙の臭いを取る
上記の良い例を行っても、キッチン周辺は臭います。消臭スプレーはその臭いが気になることもあります。 そこでペットボトルの濃いお茶を、500mlほど鍋などへ入れて沸騰させます。 それを臭いが強い場所の床へ置きます(鍋敷きや丼鉢などに乗せる)。 3〜5分ほどで湯気が出なくなります。この間だけ換気扇は止めて窓は閉めます。換気扇を回すと効果はとても弱くなります。 再び沸騰させて(ガス火は換気扇を回す)別の場所へ置きます。これを繰り返して3〜4箇所で使えます。 費用は(ペットボトル2Lのお茶約160円÷4)+(ガス代約10円)=約50円です。この方法は焼肉後の消臭にも使えます。 普通の緑茶や緑茶ティーバッグは消臭効果が弱く、緑茶をフライパンで炒ったものは、ほとんど効果が無かったです。


味だけランキング

関東風
身崩れし易くて骨抜きは大変だが、上品で豆腐食感が最高!
1位

■オーブントースター
+焼き鳥台+金串+蒸す
2位

■フィッシュロースター(扉型・両面)
+グリルプレート+金串+蒸す
3位

■フィッシュロースター(蓋型・両面)
+魚焼きホイル+蒸す
ねっとりとした脂と上質な旨みだが、焼き加減が難しく、非常に軟らかいため、身崩れが避け難い。 口で脂が溶けて美味だが、焼ける量が少なく、非常に軟らかいため、身崩れに気を遣う。 ご飯の一体感が良くてふわほわ食感だが、蒸し時間が長く、非常に軟らかいため、身崩れに気を遣う。
どちらでもない
蒸し焼きやたれで煮る無難な方法だが、硬軟の調和があって最高!
1位

■鉄フライパン
+焼き網+蓋
2位

■フィッシュロースター(扉型・両面
・網無し)+魚焼きホイル
3位

■オーブントースター
+魚焼きホイル+飯蒸し
関東風と関西風のいいとこ取りで、総合評価も100点だが、煙はとても酷く、身崩れに気を遣う。 食感が非常に良く、ガツンと来る味だが、関西風としては中途半端。総合評価は高い。 脂が混ざって力強い味だが、皮は軟らかいが関東風としては中途半端。総合評価は高い。
関西風
煙は酷くて焼き加減は難しいが、スモーキーで濃い味が最高!
1位

■七輪+焼き網+フライパン
2位

■バーベキューコンロ(中・網無し)
+金串+両手鍋
3位

■ステーキ皿(中)+焼き網
野性的な味の最高峰だが、面倒な炭火起こし、狼煙を全身に浴びる。網に張り付いて焦げ易い。 野性的な強い味が衝撃的だが、面倒な炭火起こし、狼煙を全身に浴びる。炭の火力が均一ではなくて焦げ易い。 パンチが効いて非常に美味だが、煙はとても酷い。初心者は確り焼かず、臭みが残る可能性がある。
食感を含む味のランキングで、臭みは完全に消えるが大前提です。サンプル(ウナギ)の質は考慮せず、蒲焼の作り方による味です。 関東風、どちらでもない、関西風は別物なために分けました。 餃子を想像して下さい。水餃子は軟らかくてやさしい味、焼き餃子は硬軟が調和する味、揚げ餃子は硬くて強い味。 水餃子が硬かったり、揚げ餃子が軟らかかったら、不味いと感じると思います。同じ餃子でも加熱方法で味の基準は異なるものです。 それと同じで、関東風は軟らかくてやさしい味、関西風は硬くて強い味が良い基準です。


Q & A

ありがち 本当のこと
まずはウナギの眼に千枚通しを打ってと(目打ち)。 眼に打つと不安定になります。眼と胸鰭の間くらいに打ちます。
ウナギを捌くのは無理かも。でも焼くのは出来るよ。 ウナギは3匹も捌けば何とかなります。焼くのは比較にならないほど難しいです。
私は関東なので蒸してから焼くぞ。 関東は焼いてから蒸してたれ焼きが一般的です。
炭で焼けば絶対にうまいに決まってる。 絶対に臭いです。下茹でしましょう。
竹串を2本刺して、魚焼きグリルで焼くよ。 網に乗せる場合は、竹串を刺す意味がないのと、焦げて掴めなくなります。

捌き方

ガタガタにならないようにするには?
【包丁】 出刃包丁など分厚いものを使っていませんか。慣れないうちは薄いカッターナイフが良いです。
【まな板】 幅の狭い(10cm程度)まな板を使っていませんか。捌く際にウナギがずれるため、ある程度(20〜30cm)の幅が必要です。 そのずれを力で押さえつけると、切る方への注意が散漫になります。
【生きたウナギ】 生体はまな板の上でよく動き、慣れないうちは力で押さえつけても、綺麗に捌くのは難しいです。冷凍庫へ1時間くらい入れてから捌きましょう。
【背鰭を意識】 刃が中骨に当たり、背鰭のすぐ上を切っていたのに、だんだん上へ離れる場合は、背鰭の位置を見ながら切ります。
【慎重すぎる】 刃先が身から皮まで突き抜けるのではないかと心配になって、同じ場所に何度も切れ目を入れる方がいます。 少しくらい突き抜けても良いですので、奥まで入れて刃先を戻すことなく引き続けます。修正は開いてからにしましょう。
参考:「ウナギの捌き方」


皮のぬめりは取らなくていいの?
【取らなくて良い】 臭みの原因ではないです。ぬめり(粘液)は熱に一番近く、最も早く焼けて、臭みが消える場所です。
【勝手に取れる】 ウナギをホイルなどに置く焼き方だと、勝手に剥がれ落ちます。串打ちすると焼き付きますが、味や臭みに影響はありません。
【どうしても取りたい】 冷凍すると水洗いで取れます。生体に熱湯を掛けても取れますが、大暴れするため、あまり掛からなかった部分は取れず、 掛かり過ぎた部分は皮が割れます。ウナギは熱湯後も生きているため、包丁でぬめりを削ぎ取るのは、手を切りそうになります。 そのために捌いた後で、まな板に皮側を上へ向けて置き、熱湯を掛けて包丁で削ぎ取ります。熱湯を掛け過ぎると、皮が破れたり丸まったりして、 焼き上がりがボロボロになりやすいです。ぬめりは取りはなるべく止めましょう。


保存方法

泥抜きはどうやればいいですか?
【不要】 臭み消しには無意味で、味を落として、費用・場所・手間・時間が掛かります。
【井戸水】 鰻屋さんの常套句「うちの鰻は綺麗な井戸水に、2〜3日さらしているので臭みが無い」これは泥抜きではなく餌抜きです。 焼いた際に臭みが残りやすいのは、粘液や皮ではなく、皮と身の間にある脂です。半年くらい新陳代謝させれば変化するかもしれません。
参考:「ウナギの保存方法」


たれ

たれは注ぎ足しほど良い?
【差別化】 100年注ぎ足しのたれと、今日作ったたれ、どちらが食べたいですか。これは味の比較ではなく、鰻屋さんの宣伝と差別化です。
【腐ります】 一般家庭では鰻屋さんのように毎日使いません。特に焼いたウナギの頭や骨を入れたり、 蒲焼に使ったたれを戻すと、酸化して腐るのが早まります。冷蔵庫で保管しても1週間と持ちません。 それを非加熱でご飯に掛けると体を壊します。シンプルに作ったたれであれば、数箇月は冷蔵庫で保管できます。
【10年以上注ぎ足し】 実験的に2008年頃から10年以上も、注ぎ足しているたれを使っていますが、出来立ての方が良いです。たれは古くなると醤油の風味が飛びます。
参考:「うなぎのたれ」 「創業時のタレは残っていない」


頭と骨を入れると美味しくなる?
【生臭くなる】 たれに生の頭と骨を入れるのは、臭みが溶け出して、気持ち悪くなります。適当に焼いた場合も同様です。確り焼くと臭みは消えますが、焦げかすが入って苦くなります。 身・皮・骨・粘液・血などのかすがたれに浮いて、食感を邪魔して見た目も悪いです。 たれにウナギの出汁が出て、より美味しくなるというのは、容易に想像できますが、現実は違います。たれに頭と骨を入れると不味くなります。また、酸化して腐るため、長期保存が出来なくなります。
参考:「うなぎのたれ」


焼き

臭みを取るのに一番重要なのは?
【確り焼く・蒸す・蒸し焼き・下茹で】 ウナギは普通の魚ではないです。
参考:「臭みを消す4つの方法」 「Yahoo!知恵袋 2016/5/21 11:55」
No. 確り焼く(関西風) 蒸す(関東風) 蒸し焼き 下茹で
臭み消し ○経験と技術がいる ○たいてい簡単に消せる ◎簡単に消せる ◎簡単に消せる
時間 ○素焼き+確り焼く30〜60分 ○蒸す15〜30分 ◎蒸し焼き15〜25分 ◎下茹で5〜15分
小骨 ◎焼き切れて気にならない △大きめは小骨取り必要 ○少し焼き切れる ○だいたい焼き切れる


フィッシュロースターなんて持ってません。おすすめの焼き方は?
フライパン+アルミホイル 動画有。臭みを茹でて気化させる方法。65cm以上の大型個体は小骨が気になる恐れはある。
フライパン+蒸す 動画有。フライパンで下茹で・素焼き・蒸し・たれ焼きをする。関東風の箸で切れる軟らかい蒲焼になる。
オーブントースター+魚焼きホイル+霧吹き 動画有。家庭に1台はある。後で食パンを焼いても、臭い移りはあまりないです。
ステーキ皿(中)+焼き網 鋳鉄に網を乗せて焼くだけで非常に美味しい。屋外でカセットコンロを使えば煙も気にならない。


失敗しやすい焼き方は?
【魚焼きグリル】 最弱でも高温加熱で、焦げやすく、ゴムのような食感、臭みが残りやすい。魚焼きホイルなどで温度を下げ、じっくり焼けるように工夫が必要。
【魚焼き網】 火が出る、煙が酷い、丸まる、焼きむら、焦げ付き、時間が掛かる、たれが焦げて苦味、臭みが残る、洗い物が大変。
【炭火】 超高温加熱で臭みを閉じ込める。食べた後も気持ち悪さが残る。下茹ですると解決するので試して下さい。
参考:「関西風の炭火焼きは臭い!!」 「生うなぎを蒲焼きに調理した結果・・・失敗しました」