蒲焼の味は部位によって4つに大別できます。
前腹は内臓がある分だけ身が薄く、腹骨は硬さを感じます。
後腹は前腹よりも少し身が厚く、腹骨も少し軟らかいです。
前尾は身が厚くて脂が多く、小骨が気にならず、軟らかくて最上の部位です。
後尾は前尾ほど脂は多くなく、身が薄いため皮の味が強くなります。
●天然 vs. 養殖
全長(cm) | 30 | 40 | 50 | 60 | 70 | 80以上 |
天然 | | | | | | |
養殖 | | | | | | |
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味(点) | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 | 70 | 80 | 90 | 100 |
天然 | | | | | | | | | | | |
養殖 | | | | | | | | | | | |
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「天然ウナギと養殖ウナギはどっちが美味しい?」という比較をよく目にします。
養殖は雄がほとんどで、全長40〜50cmで太くて揃っています。天然は雌雄いて、全長30〜80cmで細〜極太とばらばらです。
身の厚みや骨の太さなどが異なり、公平な比較ができません。
仮に同程度を比較すれば、確実な違いは皮だけで、天然が厚くて硬く、養殖が薄くて軟らかいです。
脂は量が同じ場合、養殖の方が濃くてしつこく、天然は薄くてあっさりが多いです。
総合的な判断の味は、養殖は70〜80点で安定していますが、天然は20〜100点と幅が広く、洗剤臭などで食べられない0点までいます。
ただ、養殖で100点やその近くを食べたことがありません。
ようするに、養殖は全体的に美味しく、天然は不味いから絶品までいる。
どっちが美味しいかは一概に言えません。
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悪い例 |
良い例 |
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換気扇をあちこち回して、給気口が定まっていない。 |
換気扇をキッチンだけ回して、給気口が定まっている。 |
蒲焼を作ると多くの方法で煙が出ますが、スモーキーな風味が加わる良い味付けです。
煙は壁などに付着して、1〜2日は臭いが残り、酷い場合は1週間ほど消えません。
防ぐには換気扇と給気口の使い方が大事です。
悪い例は普段の生活では良いですが、空気の流れが広く移動して、煙もそれに乗って全体が臭くなります。
更に換気扇近くの窓を開けると、外へ出た煙が戻って循環し、最悪な状況になります。
良い例のようにキッチン(レンジフード)以外の換気扇を止めて、対角線上の窓だけを開けることで、
空気の流れがほぼ一方通行になり、他の部屋を煙から守ることが出来ます。
但し、空気が入れ替わらないため、蒲焼を作る1〜2時間だけ停めて、終わったら元に戻しておきます。
●煙の臭いを取る
上記の良い例を行っても、キッチン周辺は臭います。消臭スプレーはその臭いが気になることもあります。
そこでペットボトルの濃いお茶を、500mlほど鍋などへ入れて沸騰させます。
それを臭いが強い場所の床へ置きます(鍋敷きや丼鉢などに乗せる)。
3〜5分ほどで湯気が出なくなります。この間だけ換気扇は止めて窓は閉めます。換気扇を回すと効果はとても弱くなります。
再び沸騰させて(ガス火は換気扇を回す)別の場所へ置きます。これを繰り返して3〜4箇所で使えます。
費用は(ペットボトル2Lのお茶約160円÷4)+(ガス代約10円)=約50円です。この方法は焼肉後の消臭にも使えます。
普通の緑茶や緑茶ティーバッグは消臭効果が弱く、緑茶をフライパンで炒ったものは、ほとんど効果が無かったです。
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食感を含む味のランキングで、臭みは完全に消えるが大前提です。サンプル(ウナギ)の質は考慮せず、蒲焼の作り方による味です。
関東風、どちらでもない、関西風は別物なために分けました。
餃子を想像して下さい。水餃子は軟らかくてやさしい味、焼き餃子は硬軟が調和する味、揚げ餃子は硬くて強い味。
水餃子が硬かったり、揚げ餃子が軟らかかったら、不味いと感じると思います。同じ餃子でも加熱方法で味の基準は異なるものです。
それと同じで、関東風は軟らかくてやさしい味、関西風は硬くて強い味が良い基準です。
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ありがち |
→ |
本当のこと |
まずはウナギの眼に千枚通しを打ってと(目打ち)。 |
→ |
眼に打つと不安定になります。眼と胸鰭の間くらいに打ちます。 |
ウナギを捌くのは無理かも。でも焼くのは出来るよ。 |
→ |
ウナギは3匹も捌けば何とかなります。焼くのは比較にならないほど難しいです。 |
私は関東なので蒸してから焼くぞ。 |
→ |
関東は焼いてから蒸してたれ焼きが一般的です。 |
炭で焼けば絶対にうまいに決まってる。 |
→ |
絶対に臭いです。下茹でしましょう。 |
竹串を2本刺して、魚焼きグリルで焼くよ。 |
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網に乗せる場合は、竹串を刺す意味がないのと、焦げて掴めなくなります。 |
捌き方
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ガタガタにならないようにするには?
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【包丁】 出刃包丁など分厚いものを使っていませんか。慣れないうちは薄いカッターナイフが良いです。
【まな板】 幅の狭い(10cm程度)まな板を使っていませんか。捌く際にウナギがずれるため、ある程度(20〜30cm)の幅が必要です。
そのずれを力で押さえつけると、切る方への注意が散漫になります。
【生きたウナギ】 生体はまな板の上でよく動き、慣れないうちは力で押さえつけても、綺麗に捌くのは難しいです。冷凍庫へ1時間くらい入れてから捌きましょう。
【背鰭を意識】 刃が中骨に当たり、背鰭のすぐ上を切っていたのに、だんだん上へ離れる場合は、背鰭の位置を見ながら切ります。
【慎重すぎる】 刃先が身から皮まで突き抜けるのではないかと心配になって、同じ場所に何度も切れ目を入れる方がいます。
少しくらい突き抜けても良いですので、奥まで入れて刃先を戻すことなく引き続けます。修正は開いてからにしましょう。
参考:「ウナギの捌き方」
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皮のぬめりは取らなくていいの?
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【取らなくて良い】 臭みの原因ではないです。ぬめり(粘液)は熱に一番近く、最も早く焼けて、臭みが消える場所です。
【勝手に取れる】 ウナギをホイルなどに置く焼き方だと、勝手に剥がれ落ちます。串打ちすると焼き付きますが、味や臭みに影響はありません。
【どうしても取りたい】 冷凍すると水洗いで取れます。生体に熱湯を掛けても取れますが、大暴れするため、あまり掛からなかった部分は取れず、
掛かり過ぎた部分は皮が割れます。ウナギは熱湯後も生きているため、包丁でぬめりを削ぎ取るのは、手を切りそうになります。
そのために捌いた後で、まな板に皮側を上へ向けて置き、熱湯を掛けて包丁で削ぎ取ります。熱湯を掛け過ぎると、皮が破れたり丸まったりして、
焼き上がりがボロボロになりやすいです。ぬめりは取りはなるべく止めましょう。
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保存方法
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泥抜きはどうやればいいですか?
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【不要】 臭み消しには無意味で、味を落として、費用・場所・手間・時間が掛かります。
【井戸水】 鰻屋さんの常套句「うちの鰻は綺麗な井戸水に、2〜3日さらしているので臭みが無い」これは泥抜きではなく餌抜きです。
焼いた際に臭みが残りやすいのは、粘液や皮ではなく、皮と身の間にある脂です。半年くらい新陳代謝させれば変化するかもしれません。
参考:「ウナギの保存方法」
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たれ
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たれは注ぎ足しほど良い?
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【差別化】 100年注ぎ足しのたれと、今日作ったたれ、どちらが食べたいですか。これは味の比較ではなく、鰻屋さんの宣伝と差別化です。
【腐ります】 一般家庭では鰻屋さんのように毎日使いません。特に焼いたウナギの頭や骨を入れたり、
蒲焼に使ったたれを戻すと、酸化して腐るのが早まります。冷蔵庫で保管しても1週間と持ちません。
それを非加熱でご飯に掛けると体を壊します。シンプルに作ったたれであれば、数箇月は冷蔵庫で保管できます。
【10年以上注ぎ足し】 実験的に2008年頃から10年以上も、注ぎ足しているたれを使っていますが、出来立ての方が良いです。たれは古くなると醤油の風味が飛びます。
参考:「うなぎのたれ」
「創業時のタレは残っていない」
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頭と骨を入れると美味しくなる?
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【生臭くなる】 たれに生の頭と骨を入れるのは、臭みが溶け出して、気持ち悪くなります。適当に焼いた場合も同様です。確り焼くと臭みは消えますが、焦げかすが入って苦くなります。
身・皮・骨・粘液・血などのかすがたれに浮いて、食感を邪魔して見た目も悪いです。
たれにウナギの出汁が出て、より美味しくなるというのは、容易に想像できますが、現実は違います。たれに頭と骨を入れると不味くなります。また、酸化して腐るため、長期保存が出来なくなります。
参考:「うなぎのたれ」
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焼き
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臭みを取るのに一番重要なのは?
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【確り焼く・蒸す・蒸し焼き・下茹で】 ウナギは普通の魚ではないです。
参考:「臭みを消す4つの方法」
「Yahoo!知恵袋 2016/5/21 11:55」
No. |
確り焼く(関西風) |
蒸す(関東風) |
蒸し焼き |
下茹で |
例 |
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臭み消し |
○経験と技術がいる |
○たいてい簡単に消せる |
◎簡単に消せる |
◎簡単に消せる |
時間 |
○素焼き+確り焼く30〜60分 |
○蒸す15〜30分 |
◎蒸し焼き15〜25分 |
◎下茹で5〜15分 |
小骨 |
◎焼き切れて気にならない |
△大きめは小骨取り必要 |
○少し焼き切れる |
○だいたい焼き切れる |
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フィッシュロースターなんて持ってません。おすすめの焼き方は?
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失敗しやすい焼き方は?
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【魚焼きグリル】 最弱でも高温加熱で、焦げやすく、ゴムのような食感、臭みが残りやすい。魚焼きホイルなどで温度を下げ、じっくり焼けるように工夫が必要。
【魚焼き網】 火が出る、煙が酷い、丸まる、焼きむら、焦げ付き、時間が掛かる、たれが焦げて苦味、臭みが残る、洗い物が大変。
【炭火】 超高温加熱で臭みを閉じ込める。食べた後も気持ち悪さが残る。下茹ですると解決するので試して下さい。
参考:「関西風の炭火焼きは臭い!!」
「生うなぎを蒲焼きに調理した結果・・・失敗しました」
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