ウナギの蒲焼(5)





臭みを消す4つの方法

よくある失敗風 時間(分)024681012 141618 臭い
臭み
工程 素焼き たれ焼き
確り焼く
(関西風)
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840臭くない
臭み
工程 素焼き 確り焼く たれ焼き
蒸す
(関東風)
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840 4244臭くない
臭み
工程 素焼き 蒸す たれ焼き
蒸し焼き 時間(分)024681012 14161820222426 臭くない
臭み
工程 蒸し焼き たれ焼き
下茹で 時間(分)024681012 1416182022242628 303234臭くない
臭み
工程 茹でる 素焼き たれ焼き
ウナギは臭い魚です。都市河川だけではなく、綺麗な伏流水で捕れたウナギも臭いです。 その臭みを関東風は蒸す、関西風は確り焼くことで消しています。 養殖ウナギよりも天然ウナギは臭い個体が多く、皮が厚いために、より長い時間の加熱が要ります。 上の模式図はウナギ全長50〜55cmを焼いた場合です。 初心者は簡単に臭みが消せて、失敗の少ない下茹で方法をおすすめします。

●確り焼く(関西風)
時間(分)0510152025303540455055606570
45〜50cm
50〜55cm
55〜60cm
60〜65cm
65〜70cm
70〜75cm
75〜80cm
80〜85cm
生  確り焼けた  たれ  完成
ウナギは適当に焼いて、たれを付ければ、良いと思っていませんか?
サケ・サバ・サンマなどを焼くのとは全く違います!

全長45〜85cmのウナギで、完成までの目安時間は、
素焼き25〜60分+たれ焼き5〜10分
完成まで35〜70分(冷凍は+5〜10分)は掛かります。
複数個体を同時に焼くと、より時間が掛かります。

火力が強くて、早く出来そうな場合は、弱めてじっくり焼きます。
臭いは時間を掛けるほど、気化して臭くなくなります。
段階 A B C D E
時間 0分 5分 16分 23分 32分
状態 生期 不安定期 安定期 焼けた気がする期 確り焼けた期
解説 生の状態から、確り焼けるまで、約60%くらいに縮みます。 丸まりやすく、頻繁に引っ繰り返して、真っすぐ安定させます。 身が白くなって、形が安定し、水分が飛び、粘液が焦げて、かすが出ます。 焦げ目と脂が薄く出て、確り焼けたと、間違われやすい頃です。 脂が落ち、身割れが始まり、焦げる寸前。ここから更に焼いても良いです。
臭みはだいたい「確り焼く」で8割、「たれ焼き」で2割を消せます。小骨は「確り焼く」だけで、気にならなくなります。 逆に言えば、確り焼かないと、臭くて小骨が気になって不味いです。C〜D段階でたれへ進む方が多い印象です。 これ以上に焼くと、焦げるのではないかと、不安になるかもしれませんが、まだ全く焼けていません。 尾鰭付近を除いて、簡単には焦げないため、我慢して焼き続けます。 関西風は確り時間を掛け、焦げる寸前まで焼くのが、臭みを消して、味を向上させる、最も重要な工程です。

●蒸す(関東風)
関東風の鰻屋さん(養殖ウナギ99%以上)は「蒸してから焼く」のではなく「焼く(素焼き)→蒸す→たれ焼き」で、15〜60分ほど蒸されています。 極希に「蒸す→焼く→たれ焼き」や「焼く→茹でる→たれ焼き」もありますが「蒸す→たれ焼き」ではありません。 工場生産は「蒸す→焼く→蒸す→たれ焼き」と2回蒸すこともあります。 蒸すのは余分な脂を落とすためではなく、焼きで取りきれない臭みや、ゴムの様な皮を処理しています。 蒸すが無い関西風は「焼く→確り焼く→たれ焼き」で処理しています。 生から「蒸す→焼く→たれ焼き」の場合は、せっかく蒸して軟らかくしたのに、焼きで水分が飛んでしまい、ふわふわにはなりません。 関東風は確り焼く工程が無いため、鰭(背鰭・臀鰭)や小骨(特に腹骨)が焼き切れません。 鰭は切除しないと箸で切り分けられません。大型個体は蒸してから小骨取りした方が安心です。

●蒸し焼き
鋳鉄・黒皮鉄・土鍋に蓋をして焼く方法です。 ウナギから出る水分だけで、蒸し焼き状態になり、蓋からの熱も加わって、短時間(25〜35分)で臭みが消えます。 更に関西風のスモーキーで濃い味と、関東風の水分の多い軟らかさを併せ持つ、理想的な焼き方にも思えますが問題点はあります。 焼き始めは水分が多いため、網にやや張り付きやすく、身崩れに注意が必要です。煙はとても酷いです。たれ焼きからは焦げ易くて目が離せないです。 関西風のように確りは焼かないため、小骨や鰭が焼き切れておらず、大型個体はやや気になります。 確り焼く工程を追加すると、水分は飛んで時間も掛かり、関西風とほぼ変わらなくなります。

●下茹で
下茹で無し 臭み消し 下茹で有り 臭み消し
七輪+焼き網 ×臭くて気持ち悪い 七輪+焼き網+フライパン ◎完全に消える
バーベキューコンロ(中) ×臭くて気持ち悪い バーベキューコンロ(中)+フライパン ◎完全に消える
バーベキューコンロ(小) ×残って臭い バーベキューコンロ(小)+フライパン ◎完全に消える
スキレット(中)+焼き網 △少し残る スキレット(中)+焼き網+フライパン ◎完全に消える
インスタントコンロ △僅かに残る インスタントコンロ+雪平鍋 ◎完全に消える
炉端焼き器(串)+金串 △僅かに残る 炉端焼き器(串)+金串+フライパン ◎完全に消える
魚焼き網 △僅かに残る 魚焼き網+レンジ ◎完全に消える
フライパン・両手鍋・雪平鍋などに、水とウナギを入れて、中火で8〜15分ほど茹でるだけで、臭みはほとんど消えます。 また、器に水とウナギを入れてラップし、電子レンジ(600W)で5〜7分ほど加熱でも同様です。 臭みは湯気(臭い)として気化し、茹で汁(臭い)に溶け出します。そこから取り出して焼けば、臭みは完全に消えます。 確り焼く工程が無いため、小骨が焼き切れず、残ることがあります。 大型個体は確り焼く工程を追加した方が良いです。


小骨が気になる

全長(cm)455055606570758085
よくある失敗風
確り焼く(関西風)
蒸す(関東風)
蒸し焼き
下茹で
安心  注意  喉に刺さる
蒲焼を食べたら骨が喉に刺さって嫌いになった。そうした方が食べた蒲焼のほとんどが関東風です。 関東風は確り焼く工程が無いため、骨が焼き切れていません。 焼き切るとはウナギが持つ脂で、骨を揚げたようになる状態です。 骨せんべいが喉に刺さらないのと同じで、簡単にバラバラと噛み砕けます。 売られている関東風は、小さめのウナギを使っていますが、それでも刺さることはあります。骨抜きするお店もあります。 それを大きめの天然ウナギで、骨抜きすることなく作れば、どうなるかは想像が付きます。 小骨が気になるようでしたら、関西風をおすすめします。

●関東風と関西風が頭でごちゃ混ぜになっていませんか?
工程 関東風 関西風(串) 関西風(網) よくある失敗風
1ウナギ 養殖(小さめ) 養殖(大きめ) 養殖(大きめ) 天然(小〜特大)
2開き 背開き 腹開きが殆ど 腹開きが殆ど 背開き
3切分け 2つ又は4つ切り 切らない 切らない 2〜3つ切り
4 短い竹串か金串4〜5本 長い金串4〜15本 無し(トング) 竹串2〜3本
5素焼き 焼き台で浮かせる 焼き台で浮かせる 網に乗せる 網に乗せる
6臭み消し 蒸す 確り焼く 確り焼く 確り焼かずに消えない
7小骨 大きめは小骨取り 焼き切る 焼き切る 焼き切れない
8ご飯に乗せる 串を抜くだけ 3〜5cm幅に切る 3〜5cm幅に切る 強引に串を抜くだけ
9尾鰭近く 食べられる 焦げるので切り落す 焦げるので切り落す 生焼けのまま
10丼箱の単位 1匹(1/4匹単位で増量) 一切れ 一切れ 1/2匹か1/3匹
11 黄色ぽい 茶色ぽい 黒茶色ぽい 淡黄色ぽい
12粉山椒 ふりかけることが多い 使わないことが多い 使わないことが多い 両方ある
13軟らかさ 箸で切れる(ふわっ) 箸で切れない(パリッ) 箸で切れない(パリッ) 箸で切れない(ゴム)
14 ◎上品で薄い味 ◎野生的で濃い味 ○焦げの味が強い ×臭くて不味い
15その他 スーパーや牛丼屋に多い 頭付き販売も多い 臭みが少し残りやすい 泥抜き不足だと責任転嫁
東京にあるテレビ局は、関東風を放送することが多く、竹串に刺さったウナギを、何度も引っ繰り返す映像を目にします。 こうした場合に関東風か関西風なのかを、認識せずに記憶すると、東西の焼き方が混ざった状態で、蒲焼を作ろうとして失敗します。 竹串で刺してBBQコンロに乗せて焼くのは典型的な誤りです。 竹串で確り焼くことも出来ず、素焼き後に蒸すことなく、東西どちらの必要工程も飛ばして、臭くて不味い蒲焼になります。


関西風の炭火焼きは臭い!!

関西風の七輪やBBQコンロは、表面が焦げやすく、身と皮の間まで、確り焼くことが困難で、臭みが残ります。 一口目に煙による香ばしさで、味は良く感じますが、後から来る臭みで、全て台無しになります。 煙が酷いため、屋外でしか使えませんし、全身が燻されて、しばらく臭いが取れません。ようするに、臭いウナギを食べて、全身も臭くなります。 魚は炭火が良いに決まっている。そう思う方はサンマを七輪で焼いてみて下さい。 網に皮が張り付いてぼろぼろ、焼きむらが酷い、中まで火が通らない、想像と違うものになると思います。 サンマで失敗するのですから、焼きの難しいウナギではなおさらです。

●ベリーウェルダンまで焼けないので臭い
関西風の鰻屋さんは、養殖ウナギを金串で浮かせて、遠火で焼きます。七輪やBBQコンロは、天然ウナギを網に乗せて、近火で焼きます。これは全く違うものです。 浮かせると均一の熱で、全体をゆっくり焼けます。 網に乗せると、高温の網に触れた場所から、すぐに焦げ始めますが、周りは焼けていません。 網目模様の付いたステーキを想像して下さい。ウナギはレアやミディアムだと臭いため、ベリーウェルダンまで焼かないといけません。 しかし、網に乗せてベリーウェルダンまで焼くと、表面が焦げて苦くて食べられません。 そのため七輪やBBQコンロで作る蒲焼は、レアやミディアムになりがちで臭いのです。

●炭火などの高温加熱は臭みを閉じ込める
七輪
炭火
超高温(700〜1200℃)
魚焼きグリル
ガス火
やや高温(300〜400℃)
フィッシュロースター
遠赤外線ヒーター
適温(220〜280℃)
オーブントースター
遠赤外線ヒーター
適温(200〜250℃)
蒸す
蒸気
低温(50〜120℃)
臭みの主因は、身と皮の間にあるコラーゲンで、天然ウナギは皮が厚いため、養殖ウナギよりもじっくり確り焼かないと融解しません。 適温は150〜250℃程度だと思います。炭火は超高温なため、すぐに表面を焼き固め、水分と一緒に臭みも閉じ込めます。 臭みがあって皮の厚い天然ウナギに、炭火を使った関西風は不向きです。

●ウナパーは下茹で串焼き
屋外でBBQコンロを囲んで、みんなで蒲焼を作るのは楽しいです。関西風(生から焼く)ではなく、下茹で方法(串焼き)をおすすめします。 下茹でしたウナギは、串が刺しやすく、食べやすい大きさに切るため、屋外でまな板や包丁を使う必要がありません。 ご飯に直接乗せて串を抜けば出来上がりです。初心者が適当に焼いても、美味しく出来ますし、臭みが無いために、嫌なを思いをしません。 一例として、前日に家で下茹で→切って串打ち→ジッパー袋に入れて冷凍保存→翌日にクーラーボックスへ入れてBBQ会場→凍ったままのウナギをBBQコンロで焼く→たれを塗る→誰でも作れる臭くない蒲焼の完成。


串打ち

関東風「素焼き→蒸す→たれ焼き」は短い竹串(希に金串)、関西風「素焼き→確り焼く→たれ焼き」は長い金串です。 串打ちは浮かせて焼く場合で、網に乗せる場合は不要です。 串打ちして網に乗せる場合は、串で身が千切れたり、焼きむらが出来たり、抜く際に身崩れするなど、問題の方が大きいです。 串打ちすることなく網へ乗せる場合は、焼き初めに丸まりやすく、トングで頻繁に引っ繰り返す必要はありますが、その後に大きな問題はありません。

●蒲焼はバーベキューではない
形状は東西どちらも丸串か角串が良く、平串は綺麗に刺せずに抜け難いです。 関東風は竹串で身の中心を通し、場所による厚みの違いで、縫うような刺し方をします。 関西風は確り焼けて来ると、金串が身を割って外れやすく、 それを防ぐためにやや皮に近い場所へ刺します。 皮側に少し突き出しても問題はないですが、身側に串が見えるようならばやり直します。


皮を軟らかくしたい

飯蒸し
手順最も熱々で軟らかくなる方法 補足
1 丼鉢にご飯とを少し入れる。 丼鉢は深くて広い物。水は蛇口シャワーに2回潜らせる程度。
2 ラップをして電子レンジで熱々にする。 オート温めではなく、最大出力でご飯から泡が出て、手で触れられないほど。
3 完成した蒲焼の皮側を、ご飯に張り付けるように乗せる。 皮が少しでも浮いたところは軟らかくなりません。
4 隙間の無い様にラップをする。 完全に隙間が無いと、ラップは凹みますので、程よい加減にします。
5 保温バッグへ入れて閉める。 弁当箱用の保温バッグ(100均)。無い場合は乾いた布巾を被せる。
6 10〜12分ほど待つ。 8分以下は軟らかくする効果が弱い。14分以上はご飯が冷め始める。
7 たれを耐熱計量カップに入れ、電子レンジで温める。 急に沸騰するため、注意深く見続けて、良い加減で止めて下さい。
8 保温バッグから丼鉢を取り出してラップを外す。
9 たれをウナギにまんべんなくかける。 ご飯にはウナギから落ちた量で十分です。
10 熱々で皮は軟らかく、身はサクッと感も残って美味しい!!
蒲焼の多くは「皮は硬く、香ばしくて強い味」か「皮は軟らかく、物足りない味」のどちらかに成りがちです。 飯蒸しは「皮は硬く、香ばしくて強い味」として作った蒲焼を、「皮は軟らかく、香ばしくて強い味」に変えられます。 方法は上記の手順通りで、硬くなった皮が熱々ご飯に触れて軟らかくなり、身へたれをかけることで、強い味が戻ります。

●霧吹き
確り焼けた後は、臭みは無くなり、味は良くなりますが、ウナギの脂で揚げられて硬くなり、水分は抜けてパサパサになります。 霧吹きすることで水分を戻して、皮を軟らかくすることが出来ます。 水ではなく酒を使うと、軟らかくする効果は弱まり、身に酒の臭いが残って、表面に焦げが出来るため、失敗の原因になります。