ありがち |
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本当のこと |
まずはウナギの眼に千枚通しを打ってと(目打ち)。 |
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眼に打つと不安定になります。眼と胸鰭の間くらいに打ちます。 |
ウナギを捌くのは無理かも。でも焼くのは出来るよ。 |
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ウナギは3匹も捌けば何とかなります。焼くのは比較にならないほど難しいです。 |
私は関東なので蒸してから焼くぞ。 |
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関東は焼いてから蒸してたれ焼きが一般的です。 |
炭で焼けば絶対にうまいに決まってる。 |
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絶対に臭いです。下茹でしましょう。 |
竹串を2本刺して、魚焼きグリルで焼くよ。 |
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網に乗せる場合は、竹串を刺す意味がないのと、焦げて掴めなくなります。 |
捌き方
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ガタガタにならないようにするには?
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【包丁】 出刃包丁など分厚いものを使っていませんか。慣れないうちは薄いカッターナイフが良いです。
【まな板】 幅の狭い(10cm程度)まな板を使っていませんか。捌く際にウナギがずれるため、ある程度(20〜30cm)の幅が必要です。
そのずれを力で押さえつけると、切る方への注意が散漫になります。
【生きたウナギ】 生体はまな板の上でよく動き、慣れないうちは力で押さえつけても、綺麗に捌くのは難しいです。冷凍庫へ1時間くらい入れてから捌きましょう。
【背鰭を意識】 刃が中骨に当たり、背鰭のすぐ上を切っていたのに、だんだん上へ離れる場合は、背鰭の位置を見ながら切ります。
【慎重すぎる】 刃先が身から皮まで突き抜けるのではないかと心配になって、同じ場所に何度も切れ目を入れる方がいます。
少しくらい突き抜けても良いですので、奥まで入れて刃先を戻すことなく引き続けます。修正は開いてからにしましょう。
参考:「ウナギの捌き方」
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皮のぬめりは取らなくていいの?
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【取らなくて良い】 臭みの原因ではないです。ぬめり(粘液)は熱に一番近く、最も早く焼けて、臭みが消える場所です。
【勝手に取れる】 ウナギをホイルなどに置く焼き方だと、勝手に剥がれ落ちます。串打ちすると焼き付きますが、味や臭みに影響はありません。
【どうしても取りたい】 冷凍すると水洗いで取れます。生体に熱湯を掛けても取れますが、大暴れするため、あまり掛からなかった部分は取れず、
掛かり過ぎた部分は皮が割れます。ウナギは熱湯後も生きているため、包丁でぬめりを削ぎ取るのは、手を切りそうになります。
そのために捌いた後で、まな板に皮側を上へ向けて置き、熱湯を掛けて包丁で削ぎ取ります。熱湯を掛け過ぎると、皮が破れたり丸まったりして、
焼き上がりがボロボロになりやすいです。ぬめり取りはなるべく止めましょう。
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保存方法
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泥抜きはどうやればいいですか?
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【不要】 臭み消しには無意味で、味を落として、費用・場所・手間・時間が掛かります。
【井戸水】 鰻屋さんの常套句「うちの鰻は綺麗な井戸水に、2〜3日さらしているので臭みが無い」これは泥抜きではなく、立場(たてば)での餌抜きです。
半年くらい飼育して新陳代謝させれば変化するかもしれません。焼いた際に臭みが残りやすいのは、粘液や皮ではなく、皮と身の間にあるコラーゲン繊維です。
参考:「ウナギの保存方法」
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たれ
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たれは注ぎ足しほど良い?
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【差別化】 100年注ぎ足しのたれと、今日作ったたれ、どちらが食べたいですか。これは味の比較ではなく、鰻屋さんの宣伝と差別化です。
【腐ります】 一般家庭では鰻屋さんのように毎日使いません。特に焼いたウナギの頭や骨を入れたり、
蒲焼に使ったたれを戻すと、酸化して腐るのが早まります。冷蔵庫で保管しても1週間と持ちません。
それを非加熱でご飯に掛けると体を壊します。シンプルに作ったたれであれば、数箇月は冷蔵庫で保管できます。
【10年以上注ぎ足し】 実験的に2008年頃から15年以上も、注ぎ足しているたれを使っていますが、出来立ての方が良いです。たれは古くなると醤油の風味が飛びます。
参考:「うなぎのたれ」
「創業時のタレは残っていない」
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頭と骨を入れると美味しくなる?
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【生臭くなる】 たれに生の頭と骨を入れるのは、臭みが溶け出して、気持ち悪くなります。適当に焼いた場合も同様です。確り焼くと臭みは消えますが、焦げかすが入って苦くなります。
身・皮・骨・粘液・血などのかすがたれに浮いて、食感を邪魔して見た目も悪いです。
たれにウナギの出汁が出て、より美味しくなるというのは、容易に想像できますが、現実は違います。たれに頭と骨を入れると不味くなります。また、酸化して腐るため、長期保存が出来なくなります。
参考:「うなぎのたれ」
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たれの前にみりんを使うのはなぜですか?
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【美味しくなる】 みりんに含まれるアルコールは、臭みを蒸発させて消します。
残った糖分はほのかな甘みと舌触りを良くし、焦げの苦味を包み込んで抑えます。
水分が飛んで空洞になった身へ染み込み、ジューシーさを加えて食感を豊かにします。
但し、付け過ぎると甘みが際立って硬くなるため、身側と皮側を1回だけ付ける程度が良いです。
【たれが付きやすい】 脂が多い個体は、たれを付けてもはじいて、流れてしまいますが、みりんの少し焦げた糖分は、たれが付着しやすくなります。
みりんは高温の調理器具に落ちると、フランベのように発火することがあります。
日本酒はみりんよりも臭いが残りやすく、ウナギの風味を邪魔するために使えません。
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焼き
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身と皮のどっちから焼けばいいですか?
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【身側から焼く】 焼き始めて形が安定するまでの収縮は、皮側が短時間で身側が長時間です。
下火で網や板で皮側から焼くと、すぐに縮んで丸まって、皮と身の両側とも焼きむらに成りやすいです。
串打ちすると皮の丸まりを抑えられるため、下火で皮側から焼いても良いですが、捻じれた状態で固まることがあります。
上火や上下火は身側を火力の強い方へ向けたが良いです。基本的には身側から焼いて下さい。
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臭みを取るのに一番重要なのは?
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【確り焼く・蒸す・蒸し焼き・下茹で】 ウナギは普通の魚ではないです。
参考:「臭みを消す4つの方法」
「Yahoo!知恵袋 2016/5/21 11:55」
作り方 |
確り焼く(関西風) |
蒸す(関東風) |
蒸し焼き |
下茹で |
例 |
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臭み消し |
○経験と技術がいる |
○たいてい簡単に消せる |
◎簡単に消せる |
◎簡単に消せる |
時間 |
○素焼き+確り焼く30〜60分 |
○蒸す15〜30分 |
◎蒸し焼き15〜25分 |
◎下茹で5〜15分 |
小骨 |
◎焼き切れて気にならない |
△大きめは小骨取り必要 |
○少し焼き切れる |
○だいたい焼き切れる |
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焼き網への張り付きを無くすには?
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【焼き物シート・魚焼きホイル】 どちらも安価です。
焼き物シートはたれ焼きの際は外した方が良いです。魚焼きホイルはウナギから油が多量に出る場合は、キッチンペーパーなどで除去した方が良いです。
両品とも炭火焼きの高温には耐えられません。食用油はフライパンなどの平面には、留まってくれるために役立ちますが、焼き網に塗ってもほとんど落ちて使えません。
道具 |
焼き物シート |
魚焼きホイル |
食用油 |
例 |
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張り付き |
◎張り付かない |
◎張り付かない |
×網に塗ってもすぐに落ちる |
油切れ |
◎網状の隙間から落ちる |
×溜まり続けて揚げ物になる |
耐久性 |
◎丈夫で何度も使える |
△破れやすく使い捨て |
形 |
△平面から変えられない |
◎器状に変形させられる |
たれの焦げ |
△ぐつぐつの焦げが付いて苦い |
○焦げが付き難い |
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フィッシュロースターなんて持ってません。おすすめの焼き方は?
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失敗しやすい焼き方は?
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【魚焼きグリル】 最弱でも高温加熱で、焦げやすく、ゴム食感、臭みが残りやすい。魚焼きホイルなどで温度を下げ、じっくり焼けるように工夫が必要。
【魚焼き網】 火が出る、煙が酷い、丸まる、焼きむら、焦げ付き、時間が掛かる、たれが焦げて苦味、臭みが残る、洗い物が大変。
【炭火】 超高温加熱で臭みを閉じ込める。食べた後も気持ち悪さが残る。下茹ですると解決するので試して下さい。
参考:「関西風の炭火焼きは臭い!!」
「生うなぎを蒲焼きに調理した結果・・・失敗しました」
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片付け
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鋳鉄・鋼板の焦げ付きはどうやって洗うの?
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【はがす】 たれの焦げ付きは硬くて、スポンジたわしは千切れ、金たわしは表面を削るだけで、とても時間が掛かります。
そこでステーキ皿ハンドル、金属スクレーパー、割り箸などで、鍋底からはがすようにすると大きな焦げは取れます。
その手順は、焦げ付いた鋳鉄・鋼板をシンクへ置き、水を入れて割り箸で大きな焦げをはがし、細かいところは金たわしで擦って落とします。
強火で空焚きして煙が出なくなったら完成です。煙が多く出る場合は、再び金たわしで擦って、強火で空焚きさせます。
参考:「ステーキ皿(中)+焼き網+飯蒸し」
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ここだけは抑えておこう |
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泥抜き | 不要、無意味、損する。 |
たれ | 頭や骨を入れない。新鮮な方が良い。 |
串 | 串に刺したら網に乗せない。 |
天然鰻 | 養殖よりも皮が厚いので焼き方が違う。 |
臭み消し | 確り焼く、蒸す、蒸し焼き、下茹で。 |
炭火焼き | 確り焼けないので、蒸すか下茹でする。 |
火力 | 炭火などの高温加熱は臭みを閉じ込める。 |
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世間やネットではありえない焼き方を目にすることがよくあります。
例えば、ひつまぶし専門店のWebサイトで、竹串の関東風(ムシ)画像が使われていました。調べたところ写真素材でした。
ひつまぶしは関西風なため、金串でしか確り焼けず、蒸して軟らかいと、細かく切れません。ひつまぶしが作れるはずがありません。
上画像はコンビニのチラシです。炭火の焼き台に直接蒲焼を乗せています。鉄久に乗った皮側はおそらく焦げています。
焼き台に対して蒲焼の向きが縦横逆で、串を刺していないので、通常は炭へ落下します。落ちていないのは何か仕掛けがありそうです。
こうした間違ったイメージが頭に残ってしまうと、真似をして失敗することは仕方が無いです。
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