ペットボトル釣法





はじめに

当ページはペットボトル釣法(ペットボトルが竿です)で、ニホンウナギ(以下ウナギ)全長45cm以上を釣り、蒲焼にして食べることを目的に記しています。 ウナギ釣師のベテランは日没後に竿を出し、1時間半ほどで帰ってしまいます。 時合(じあい)と呼ばれる最も釣れる時間帯があり、それを逃すと朝まで粘っても釣れないことが多く、 時合に如何にして釣るかが釣果に大きく影響します。 ウナギ釣りは根掛りが頻発し、仕掛けを作り直して、餌を付けて投げるという時間が必要です。 それが何本もの竿に発生したら、手間取っているうちに時合は終わります。 竿を5本10本と出せば良いですが、竿立には通常3本しか並べられず、 竿を寝かしていたらウナギの強い引きで、川へ持ち去られたこともあります。 これらを解消して尚且つ手軽で安価なのがペットボトル釣法です。

●うなぎ
和名学名国内分布
ニホンウナギ(ウナギ) Anguilla japonica 全国(福井県以東の日本海側と北海道は希)
オオウナギ Anguilla marmorata 利根川以西の太平洋側・長崎県以南
ニューギニアウナギ Anguilla bicolor pacifica 屋久島以南
ウグマウナギ Anguilla luzonensis 沖縄島(稚魚のみ)
ヨーロッパウナギ Anguilla anguilla ほぼ全国(外来)だが近年は希
日本の陸水域に生息するウナギ属はニホンウナギ(ウナギ)、オオウナギ、ニューギニアウナギ、ウグマウナギの4種類です。 ウナギは最大全長150cm(70cm以上のほとんどは雌)程度になる降河回遊魚で、各地で漁業対象として放流され、 生態系への悪影響や外来魚問題(ヨーロッパウナギやオーストラリアウナギなど)もあります。

●漁業調整規則
採捕制限全長都道府県
なし 北海道
13cm以下 静岡県(佐久間湖は30cm以下)  沖縄県
20cm以下 宮城県  愛知県(佐久間湖は30cm以下)  
三重県(熊野川水系は30cm以下)  大阪府  
兵庫県  岡山県  山口県  徳島県  香川県  大分県
21cm以下 福島県  高知県  福岡県  佐賀県  長崎県  熊本県
鹿児島県
23cm以下 茨城県  千葉県
24cm以下 神奈川県  山梨県
25cm以下 栃木県  新潟県  愛媛県  宮崎県
26cm以下 埼玉県  東京都
30cm以下 青森県  岩手県  秋田県  山形県  群馬県  富山県
石川県  福井県  長野県  岐阜県  京都府  奈良県
和歌山県  鳥取県  島根県  広島県
35cm以下 滋賀県
 
呼名全長備考
クロコ20cm以下通常は釣れない
エンピツ21〜30cmハリスと絡みやすく厄介
メソ31〜44cm45cm未満はウナギにあらず
絶品の甘露煮で食べましょう
ウナギ45〜64cm鰻丼1人前に相当
65cm以上鰻丼1人前以上に相当
ウナギは(内水面)漁業調整規則により、北海道を除いて全長による採捕制限があります(左表は2022年6月2日参照)。 近年は漁業調整委員会指示によって、10〜3月に採捕禁止とされている都道府県も増えています。違反者には罰則もあるため確認しておきましょう。 ペットボトル釣法は、ペットボトルを竿(+竿立・糸巻・鈴・ケミホタル)として使う「釣り」です。規則に抵触する都道府県はありません。 埼玉県は置ばり(夕方に道糸・針・餌を川へ入れ、木や石に括って、翌朝に回収する漁)の使用が実質禁止なため、 ペットボトル釣法を仕掛て、釣り場を離れることは、規則に抵触する恐れがあります。 漁業法の改定によって2023年12月1日以降は、シラスウナギ(全長13cm以下)が採捕禁止になるため、漁業調整規則で規制の無い北海道でも、全長13cm以下は捕ることが出来ません。 右上表は木曽三川(濃尾平野)辺りの呼称です。当ページでは45cm以上(これ未満は蒲焼に向かない)をウナギとして扱っています。


作り方

(1) 用意するもの
ペットボトル500ml容器(絶対にラベルは取らない)。角型がおすすめ。
ライン道糸。ナイロンの3号(安価なもので十分)。4号以上は投げ難くて糸よれし易いので使えない。
おもりなす型6号。重いと小型ウナギの当たりではペットボトルが倒れなくなる。
ウナギ針針とハリスのセット。餌によって違うが13〜15号くらいが無難。
ハサミラインを切るために使う。
(2) ペットボトルに水を5〜7割ほど入れ、首部分にラインを結びます。過って川に落としても空気があるため浮きます。
(3) 首部分に結んだラインを、ペットボトルの中央よりやや上に、まとめて150〜200周ほど巻き付けます。 1周が約20cmです。20cm×150周=約30mです。巻き終えたらラインを切ります。
(4) おもりとラインを結んでから、ウナギ針をハリス15〜20cmになるよう結び、 余分なラインを切って出来上がりです。
(5) 針が絡まないように巻き付けたラインに引っ掛けておきます。製作時間2〜3分、材料費約67円でした。
ペットボトル0円+300ml水道水0.1円+(おもり680円÷44個)+(ウナギ針473円÷30本)+{ライン398円÷500m×(1周0.22m×200周)}=66.345...切上げ約67円
(6) 徒歩の移動で重い時は、川で水を入れて、帰るときに地面へ捨てれば楽です。 ペットボトル内の微小生物を移植しないように、水は川へ戻してはいけません。


●良い形と悪い形の比較
 
ライン
太さ
1号 2号 3号 4号 5号〜
× ×
ライン
巻く
中央やや上 中央 全体 くぼみ
× × ×
ラベル はがさない はがす
×
おもり なす型 六角型 中通し
×
■ペットボトルの選び方  ■ラインと針の場所  ■おもりはナスロク
2001年から150本以上を作って色々と試し、左画像の結論に辿り着きました。 最初から改良を試みると失敗するため、初めての方はまずこれを作ってみて下さい。 逆に右画像のようなものは避けて下さい。間違えやすい注意点を記します。 ライン4号以上は投げ難くて絡み易いです。太いほど指を切りやすく、ライン8号で深くえぐられて出血し、数日ほど痛みが続きました。 ライン3号でも十分に釣れます。maruさんは百均のライン2号を使い、 ペットボトル釣法2回目でウナギ全長90cmを釣っています。 ラインは中央より上にまとめる。猿環は不要です。中通しおもりは不向きです。 ペットボトルのラベルは光を反射するため、懐中電灯や薄明かりでも見られるため、ケミホタルは不要です。 どうしてもラベルを取りたい場合はこちらを参照。 ウナギは向こう合わせで釣れ、掛かってしばらく放置でも問題ないため、鈴などの取り付けは不要です。鈴は投げるときや回収時に引っ掛かりやすくて邪魔になります。 ようするに、ペットボトル釣法はシンプルが一番扱いやすく、余計なことは合理的特性を失うため無用です。


必要な道具

ペットボトル仕掛け5〜20本。1人で管理できる限界は30本程度。
かご洗濯籠や買い物籠が持ち運びに便利。濡れた道具も乾きやすい。
ヘッドライト普通の懐中電灯でも良い。水面を照らさないように気をつける。
蓋付き容器コマセバケツなど。氷やエアレーションは不要。
たも網川に物を落とした際に掬って拾える。釣れたウナギを掬うとばらしやすい。
ハサミラインを切る。ウナギが釣れた時にハリスを切る。
ウナギ針針とハリスのセット。根掛かりしやすい釣りのため多めに用意。
おもりなす型6号。根掛かりしやすい釣りのため多めに用意。
時合しか釣らないのであれば、1〜2回の交換で済むため、少なめで良い。
タオルウナギを掴んだり餌付けで汚れた手を拭く。
ウナギの粘液は絡み付くとなかなか取れず、毒があるために傷口に入ると非常に痛みます。水を通さない絆創膏などで予め保護しておきましょう。 釣れる日はあちこちで当たりがあって大忙しになり、容器の蓋を空けたままにしがちですが、ウナギは簡単に逃げて行きます。 また、持ち帰る際は蓋付き容器に、ウナギが浸かる程度(水深2〜3cm)の水を入れるだけで、半日程度であれば生きています。 水を多く入れてエアレーションすると、粘膜が広がって呼吸困難で死ぬことも多いです。 死んだウナギは腐った水漬け状態になるため、水を抜いて氷などで冷やして保管します。 クーラーボックスは直接ウナギを入れると、毒のある粘液や血液が付いて、ウナギ以外で使う際に熱湯消毒が必要になり、 高温で壊れる恐れがあります。容器はウナギ専用にするか、捨てても良い物がおすすめです。


釣り方

ペットボトル釣法の投げ方は、針に餌を付けてペットボトルの底付近を片方(右利きの方は左手)の手に持ちます。 投げる方向にキャップを向けます(飛ばない方の多くが、上や左に向けています)。 もう片方の手でラインを25〜50cm(手からおもりまでの距離)ほど垂らし、 おもりを振り子のように下投げ(やや斜め上方にホームランのような軌道)すれば、20〜30m(慣れると40m以上)は飛びます。 動画のようにすぐ前が深い場所は、真下でも釣れるため、遠投する必要はありません。 水面をゴミが流れているところは、ラインに引っ掛かって、ペットボトルが倒れるため避けます。 風の強い日は、ペットボトルの水量を増やすと、倒れ難くなります。

●置く
投げ終えたらラインが確り張るまで巻き戻し(確り張らないと針掛かりが悪くてペットボトルも倒れません)、 ペットボトルを立て、首部分に1〜4周ほど巻いて(キャップをつまんで地面にネジをはめるように回す)置きます。 こうすることで当たりがあると、倒れてその場に留まります。 川からは30cm(ペットボトルの高さの1.5倍)以上は離します。ペットボトルの間隔は1m以上離して置きます。 近投と遠投の交互に置けば、仕掛けが絡み難くなり、より短い間隔で置けます。 橋の上に置くのは道路交通法違反になるため避けましょう。

●当たり
針に確り掛かるとペットボトルが倒れて「パタン」と音がします。 ロックされていないリールのように、ラインが吐き出されるだけになり、 巻き付けた残りのラインがある限り、ペットボトルごと持って行かれることはありません。 ウナギがペットボトル方向に移動したり、小物が掛かるとラインが緩むだけになることもあります。 ウナギは前触れなく一気に強く当たるか、何度か細かく当った後に強く引きます。 水槽で観察すると、大きい餌は首を大きく振って噛み切ろうとしたり、 小さな餌は口で転がして食べやすい位置にして、飲み込む傾向がありました。 この時にペットボトルが揺れることもありますが、たいてい飲み込んでいないことが多く、 引き上げても餌が千切れていたり、齧った跡があるだけです。 細かい当たりは慌てず、向こう合わせにして、倒れるまで待ちます。

●仕掛けを回収
仕掛けを回収する際は、ラインを足元へ集め、それからペットボトルに巻きます。 ペットボトルにラインを巻きつけながら回収すると、根掛りしやすくて腕も疲れます。

●釣り上げる
当たり後はラインを引いて釣り上げます。 ペットボトルにラインを巻き付けるのは後回しです。 そうしないとウナギが障害物に絡み付いたり、潜って根掛かりします。 針に掛かった状態のウナギを、蓋付き容器へ素早く入れます。 容器の蓋をしたまま、ハリスをハサミで切り落とします。 容器が近くに無い場合は、レジ袋を携帯し、そこに入れて硬く結ぶと、一時的に保管しておけます。 それも無い場合は、おもり部分を握って、ラインを歯で噛みきり、それを持って容器まで走りましょう。 ウナギが飲み込んだ針は、捌くときに取り除きましょう。


餌は様々

ウナギ釣りに付き物なのが外道です。ゴカイ類を餌にするとマハゼやウロハゼなどが食いつき、 タカノケフサイソガニなどが障害物の隙間に持ち込んで根掛かりし、 臭いを頼りに餌まで辿り着く、本命のウナギより先に食べられてしまいます。 カメジャコやスジエビを使うとアカエイが釣れ易くなり、 釣り上げるのに手間取る間に時合が終わります。 他の釣り以上に外道対策は重要です。

●太いゴカイ

一気に飲み込まない 
私がウナギ釣りで最もよく使う餌です。食い込みが良く、手に入り易く、安価な餌ですが、外道が多くなります。 水生カニ類が多い場所は、餌を穴に持ち込まれて、根掛かりが頻発します。 ゴカイ類は出来るだけ太いものを選び、通し刺しにして針先から1.5cmほどはみ出す程度で切ります。 針先を出さないと餌だけ食われることが増えます。 ゴカイ類を長く付けると、針のない部分だけ食い千切られ、 ペットボトルが倒れても釣れないことが増えます。 細いゴカイ類は大型のウナギがほとんど食いついてきません。 なお、アオイソメ(アオゴカイ)は外来生物なため放流しないで下さい。 頭部を切れば再生しないため、過って逃げても自然への定着は防げます。

●太いミミズ

ハゼ類などの外道が掛かり難く、自分で捕れるため餌代が不要です。 釣餌屋さんの太いミミズは、1匹50〜70円とやや割高です。 太いミミズ(フトミミズ類)は落葉樹の根元あたりや、落ち葉で埋まったU字溝にも多いです。 捕れたらジッパー袋などに入れて、泥などの湿ったものは避け、 乾いた砂利や落ち葉などを入れます。そうすることでミミズの粘膜による窒息死を防ぎます。 また、ミミズは暑さに弱いため、夏場はクーラーボックスなどへ入れ、氷で5℃前後にすると長持ちします。 細いミミズは針に刺すと餌持ちが悪く、房掛け(2〜3匹をまとめて針に刺す)でも不向きです。 釣餌屋さんのシマミミズは、2本付けると丁度良いですが、手返しの悪さが、時合という短い時間に、得策ではありません。

●その他

ウナギは基本的に肉食性で口に入ればどんな動物でも食べます。 餌は地域によって様々で、伊勢湾や三河湾に注ぐ河口域では、 カメジャコ(アナジャコ・ヨコヤアナジャコ)とアケミガイ(イソシジミ)を使う方も多いですが、 投げる時に餌が外れやすいという欠点があります。 ドジョウを使う方もいますが、逃げられると放流行為と同じなため、扱い方によっては問題が残ります。 ウナギを捌くと腸からケフサイソガニ類やマガキがよく見られ、 時にはホトトギスガイが殻のまま出てきたこともあります。 飼育下では魚介類のみならず、豚のレバーやハツなども食べ、肉系は一様に好き嫌いないようです。 この餌以外は釣れない様なことはないため、色々と試す楽しみもあります。 安価で手に入りやすく適度な大きさ、臭いが強くて外道が寄り難く、餌持ちの良いものが理想だと思います。


釣果を上げるために

ウナギ釣りの絶対3条件
場所障害物の多い巣穴を時合の前に探しておきましょう。
時合この時間帯を逃したら粘っても大型はまず釣れません。
濁り晴天続きで透明度が高いときは諦めて大雨後に期待。
土曜の夜に天然ウナギを釣りに行こうと計画し、夜になってから出かけても釣れないでしょう。 それはウナギが釣れるには条件があるからです。運以外に「場所・時合・濁り」が揃わないと釣れません。 これが合えばペットボトルがパタンパタンと倒れて大忙しになることでしょう。 晴天続きで川が濁っておらず、時合を過ぎてから釣りを始めたら、坊主は間違いないでしょう。 逆に昨夜から昼過ぎまで確りと雨が降り、夕方に晴れてきた日は、行く前から釣れるとわかります。 こうした日の時合前に釣り場へ行き、確実に釣るのがベテランです。 翌日では遅いのです。ウナギ釣りは予定が立て難い釣りです。

●場所は河口が良い

ウナギは上流から海まで広く生息していますが、その中でも河口域(汽水域)はよく釣れます。 特に太平洋側の水生甲殻類(テナガエビやケフサイソガニ類など)が多い場所は確率が高く、 秋にマハゼ釣りで賑う河口域も、夜にはウナギ釣りポイントへ変わります。 コンクリート護岸の割目・蛇籠・捨石の隙間など、 隠れる場所が豊富な付近は、夜にそこから餌を食べに出て来るため狙い目です。 そうした場所は根掛りし易いですが、泥深い場所は密度が低い印象です。 写真右のように川に竹が刺してあったり、ウキのある場所は、鰻筒が仕掛けてあることが多く、 この付近はウナギがいることを意味します。釣果に潮汐はさほど関係ないですが、 満潮直後の下潮は当たりやすく、干潮時は釣り難い場所が多いです。

●時合は10〜40分間
(時)1718        ↓日没192021
■■■■■■ ■■■■■■
通常                    ├──────┤
                  ├────┤
期待範囲                    ├────────────────┤
上は日没が18時30分の時合です。 日没時間は「全国の潮汐」で調べられます。 通常の時合は日没30分後から40分間。曇天で暗い場合は日没25分後から20分間。 街灯などで明るい場所は時合が随分と遅れます。 汽水域で時合に懐中電灯で覗くと、あちこちにウナギが見られ、 終わる頃になると隠れて見られなくなります。 時合の極端な日は10分間ほど入れ食いで、その後は当たりすらなくなる事もあり、 聞いた話では良型ウナギが約10分間で12尾も釣れたが、その後に何時間も粘ったが1尾も釣れなかったそうです。 こういう日は僅か約10分間で、どれだけ多く釣り上げるかが勝負で、 投げ竿よりも一度に多く仕掛けられるペットボトル釣法が効果を発揮します。 不思議なことに釣れるウナギの大きさは、時合開始から終了まで小→大→中→小になることが多く、大型を釣るには数分も無駄に出来ません。 時合以外の期待範囲(日没15分後から2時間)は、ウナギの近くに餌が落ちて、たまたま釣れるような運頼みです。小型は期待範囲の2時間前後でも釣れることがあります。 夕方は昼行性の外道に餌を捕られ易いため、 日没に釣り場へ行き、時合の5分前に一気に仕掛け、1時間ほど釣るのが効率的です。 時合から約6時間後の深夜1時前後も、第二時合と言える時間帯はありますが、釣れる確率は低く、釣れてもぽつぽつです。

●濁り
名称期待度ポイント
透明坊主を覚悟。外道も多い。10月頃だけ下りウナギが釣れることもある。
ささ濁り★★小型が少し釣れて終わることが多い。
濁り★★★★★最高の状態で大型の期待が出来ます。
泥濁り★★★何とも言えない状況。小型ばかり釣れることが多い。
カフェオレ濁り過ぎて釣れない事が多い。出来るだけ深いところで釣る必要がある。
藻濁り藻類が増えて濁っている状態で、水が停滞していてあまり良くない。
川の濁りは重要で、濁らないとウナギは釣れない、と言う方もいるほどです。 激しい濁流では釣りになりませんが、適度に濁った時はよく釣れます。 家庭排水などで汚く濁っているのではなく、土砂が巻き上がって泥っぽい濁りです。 午前11時に小型のウナギを釣ったこともありますが、この時も濁っていました。 濁りによってウナギの警戒心が低くなり、活発に移動して食物を探すため、釣れ易くなるのだと思います。 私は確り雨が降った日か、その翌日に行くことが多いです。 台風通過の翌日は最適なことが多く、ウナギ釣師も増えます。 特にベテランは晴天続きだとめったに現れず、 雨の後に水が濁ると、示し合わせたように集まり、釣る場所がなくなるほどです。 過去によく釣れたり、有名な場所であっても、透明度が高い時は坊主の確率が高くなります。 但し、10月頃は濁りがなくても釣れることがあります。 その多くは産卵のために海へ向かう、下りウナギと呼ばれるタイプです。

●陸投げ

大型ウナギが掛かったとき、そのまま引き抜いて水面でばらしたり、 取り込み直後に針が外れて、冷や冷やしたことが何度もありました。食いが浅くて針が外れたと考えていましたが、 実際は水面へ上がるとき、大型ウナギの重さと引きで、針から上顎が裂けて外れていたのです。 それを避けるために、たも網で掬いますが、都合よく近くにないことも多く、 たも網に針が引っ掛かって、外すのに時合を無駄に使うこともありました。 試行錯誤を重ねて、水面にウナギが上がる直前に、一本背負いのように陸側へ放り投げると、 水面ばらしがほとんどなくなりました。当然ですが投げる方向に問題ないか確認は必要です。 但し、1m級の超大型ウナギは、大きなたも網で掬う方が、無難だと思います。

●4〜10月がシーズン

ウナギは低水温時(13℃以下)に餌をあまり食べないため、釣れる時期はだいたい(3)4〜10(11)月です。 ペットボトル釣法で全月(1〜12月)に釣った経験はありますが、手堅く釣るには暖かい時期が良いです。 特に4中旬〜5月中旬に水が濁るとよく釣れます。梅雨明けから1ヶ月くらいは釣れないことが多く、 土用の丑(7〜8月)の直前は、多くの太公望で賑いますが、釣れているとは限りません。 ウナギは9月中旬〜11月中旬頃が旬で、脂が乗って最高に美味しく、養殖ウナギとの差は歴然です。 焼くだけでウナギから出る脂で揚げたようになり、 たれを付けても脂ではじくほどです。それなのにサクっとして、脂も上品でしつこくありません。 脂の乗りは個体差が大きく、パサパサで硬く不味いこともあります。


蒲焼


↑ウナギの捌き方、ウナギの保存方法、うなぎのたれ、蒲焼以外の料理、蒲焼の作り方など。↑


まとめ

  ペットボトル釣法 投げ竿
価格 ペットボトル(0円、仕掛け100円以下) リール竿(1500円以上)
竿立 不要。傾斜のある地面以外は置ける。 必要。竿3本しか立てられない。
当たり 倒れてパタンと音。薄明りでも見える。 鈴(煩い)やケミホタル(100円)が必要。
耐久性 雑に使っても壊れない。踏んでも平気。 雑に使うと壊れる。踏んだら折れる。
速い水流 ペットボトルが倒れても川に落ちない。 竿立ごと倒されて川に落ちることもある。
頭上に木 投げられて置けて釣り上げられる。 横投げで飛距離が短くて竿は立てられない。
心配 悪戯されても安価のため諦めがつく。 悪戯されないように場を離れられない。
人目 釣りに気付かれ難い(過去?)。 釣りに気付かれて釣場を知られる。
飛距離 慣れれば40m以上投げられる。 竿とおもりによっては100mほど投げられる。
落とし込み 腕の伸ばせる範囲(0.5m)に直下。 竿の長さの範囲(2〜5m)に直下。
小物外道 水量を減らせば良いが風でも倒れる。 穂先を見れば小物が掛かってもわかる。
ペットボトル釣法と投げ竿を比較しました。 手軽さで言えばペットボトル釣法ですが、投げ竿の引きを楽しみたい方もいると思います。 しかし、ウナギは当たりの後にゆっくりリールを巻いていると、障害物に絡んで逃げられることも多く、 結局は投げ竿の引きを楽しむ余裕はありません。 ペットボトル釣法は数多く仕掛ければ、釣れる確率は高くなりますが、釣り場のマナーは守りましょう。

●釣りから自然環境を知ろう

私の釣りパターンは確り雨が降った後に汽水域へ出かけ、 途中の釣餌屋さんでアオイソメ(極太)1杯(540円)を買い、 時合の少し前に釣り場へ到着します。川が濁っていたら、 時合開始の5〜10分前に、ペットボトル10〜30本を一斉に仕掛け、釣れるのを待ちます。 時合が終わったら片付け(釣れなくても粘らない)て帰宅し、 ウナギを捌いて蒲焼を晩飯にして終了です。疲れているときは捌いて冷凍します。 その間に汽水域は色々なことを教えてくれます。 外来ガニが釣れたり、地元の人が川にゴミを捨てに来たり、 劇薬を使ったゴカイ類の乱獲で警察が見回りに来たり、 地球温暖化で潮位が異常に高くなったり、 ウナギ釣りを通して多くの方が、汽水域の現状に関心を持つことは、 問題解決の第一歩として大切なことだと思います。

●嬉しい反響

■ペットボトル釣法の考案雑話  ■ウナギ以外も釣れる  ■ウナギは絶滅しない種
ペットボトル釣法は2001年6月頃に考案し、2001年7月14日に「採集漁具」でペットボトル釣りとして紹介しました。 現在はインターネットで検索すると、ペットボトル釣法される方を多く見かけます。 なお、ペットボトル釣法の紹介は構いませんし、当ページへの直リンクもご自由にどうぞ。


※ウナギ属に関して情報と撮影をご協力下さったよしつぐさん、 モデルや釣行などにご協力下さったうなたろうさん、 T.Nagaさん、さわださん、ささきさん、その他にも多数の方々にご協力を頂きました。心から感謝致します。
参考・引用文献 ※不備がある場合は改めますのでお手数ですがご連絡ください。
生物多様性センター
Search FishBase
□ 原色淡水魚類検索図鑑 8版 中村守純 著 北隆館 1993.3.20
□ 2005年度日本魚類学会講演要旨 日本魚類学会 2005.9.23
□ 日本産魚類検索 全種の同定 第三版 中坊徹次編 東海大学出版会 2013.2.26
□ Kita et al. (2021) Species Diversity 26: 31-36.
□ 日本水産学会誌 (2019) 85, 150-161.