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■ ウナギの保存方法 ■
●冷蔵保存(1日)

ウナギの夜釣りから帰って、捌いて蒲焼にすると、未明から明け方になり、眠気と翌日が辛くなります。
翌日に捌いて蒲焼にするために、ジッパー袋へウナギを入れ、製氷機の氷と少量の水を入れ、冷蔵庫で保存します。
元気に動いていたウナギは静かになり、数時間〜1日ほど生きます。たいてい半日ほどで氷が融け、ウナギも死ぬことが多いです。
釣ったウナギはバケツへ入れて、玄関先やベランダにでも置けば、1日くらいは生きていると思われがちです。冬場であればそれでも良いと思います。
夏場に死んだ場合は、高水温で水漬け状態になり、腐敗が進みます。そのために低温で腐り難い、冷蔵保存をおすすめします。
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●冷凍保存(1箇月)

ウナギが一度に食べきれないほど釣れたときは、
捌いてからジッパー袋へ入れ、冷凍庫で保存します。
写真は全長74.5cmを6月27日に釣り、6月28日に捌いて冷凍庫へ入れ、
7月15日(18日後)に取り出し、凍ったままフィッシュロースターで50分ほど焼いて、
蒲焼にしたものです。味は97/100点(脂度数5+美味度数5)でした。
このように冷凍しても美味しく頂けます。
冷凍は0〜5日ほどは新鮮な風味が残って美味しく、6日〜1箇月ほどは普通に食べられます。
1箇月以降は冷凍焼けで、霜が出来て変色し、味もはっきり落ちたと判ります。
こうしたウナギは蒲焼に向かないため、甘露煮などにすると良いです。
一般の冷凍庫(-20℃)ではなく、超低温冷凍庫(-60〜-80℃)であれば、年単位の保存が可能だと思います。
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ウナギを捌かずに冷凍すると、解凍作業とその時間が必要になります。
また、解凍したつもりでも、内部がまだ凍っていたりすると、
捌く際に凍った部分と骨の区別が難しくなり、誤って中骨を切ったりするなど、失敗の原因になります。
逆に解凍が過ぎると、身の腐敗が進んで、味が落ちます。
捌いた状態だと、冷凍庫から取り出して、すぐに焼き始められます。
そのために捌いてから冷凍する方が望ましいです。
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●泥抜きは気持ちの問題
自然で釣れたウナギは、綺麗な水でしばらく飼うと、泥臭さが無くなると、真しやかに信じられています。
食物を吐き出したり消化して、腸は綺麗になりますが、肝吸いや肝焼きを食べるのであれば、水で洗えば良いことです。
蒲焼にする部分は主に身のため、腸が綺麗になっても意味がありません。生きた魚の身に泥が入っていたら、
有明海など干潟の生物は泥まみれですが、泥抜きして売っているわけではありません。
泥中で捕られたコガネチワラスボを、捕った翌日に味噌汁で食べましたが、全く泥臭くなかったです。
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↑ 必 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 不 要 ↓ |
生物 | 抜き | 備考 |
アサリ | 必要(砂抜き) | 海水で数時間〜1日ほど砂を抜く。 |
シジミ | 必要(砂抜き) | 汽水(ヤマトシジミ)や淡水(マシジミなど)で数時間〜1日ほど砂を抜く。 |
ハマグリ | どちらでも良い(シルト抜き) | 砂よりも細かいシルトがある。気になる人は汽水で数時間〜1日ほどシルトを抜く。 |
テナガエビ | どちらでも良い(食抜き) | 丸ごと食べるため、3日ほど食抜きをして、腸(背わた)を空にする。 |
サワガニ | どちらでも良い(食抜き) | 丸ごと食べるため、3日ほど食抜きをして、腸を空にする。 |
モクズガニ | どちらでも良い(食抜き) | 蟹味噌だけならば不要。丸ごと食べるならば、3日ほど食抜きをして、腸を空にする。 |
ドジョウ | どちらでも良い(食抜き) | 内臓を取り除けば不要。丸ごと食べるならば、3日ほど食抜きをして、腸を空にする。 |
コイ | どちらでも良い(食抜き) | 洗いは不要。丸ごと食べるならば、3日ほど食抜きをして、腸を空にする。 |
スッポン | 不要 | 腸を食べるのであれば綺麗に洗う。捌く際に腐敗臭の心配があれば3日ほど食抜き。 |
ウナギ | 不要 | 腸を食べるのであれば綺麗に洗う。捌く際に腐敗臭の心配があれば3日ほど食抜き。 |
ナマズ | 不要 | 腸を食べることは通常ない。捌く際に腐敗臭の心配があれば3日ほど食抜き。 |
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海に棲むマダイの刺身は塩辛くありません。
生きた魚は取り込む塩分などを、体で調節しているからです。これが死ぬと塩漬けになります。
生きたウナギを水道水へ入れて、1〜2週間という短期間で、身まで変わるものではありません。
野菜を糠に漬け込むような感覚で、生きた魚を捉えることは出来ません。
冬場に泥中で潜むウナギを引っ掛けるウナギ掻き、やすで刺して捕ることもあります。
ウナギが刺さって死ぬため、泥抜きは出来ません。この場合は泥抜きが出来ないから臭いでしょうか。
そうであれば、こうした採集方法は、消えていることでしょう。
泥抜きはアサリの砂抜きなどからくる先入観だと思います。
泥抜き迷信説は「天然うなぎ釣り!」にも記述があります。
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私は臭いに敏感です。ウナギを釣った日に蒲焼にしても、臭いことは滅多にありません。
臭みが気になるのは、焼き足らない(全長50cmであれば25分以上は焼く)ことが大半だと想像します。
昔ながらの鰻屋さんは、注文して30〜60分も待つことがあります。
本職は割き・串打ち・飯を装うは5分と掛からないため、時間を掛けて焼いて、臭みを消しているのです。
焼き足らない鰻屋さんで、臭い蒲焼も食べましたし、養殖ウナギを生で買って焼きましたが、焼きが甘いと臭くなります。
泥抜きしても臭みが抜けない個体がいるという方もいます。
それは泥抜き不足や、ウナギの個体差ではなく、ほとんどが焼きの失敗だと思います。
確り時間を掛けて、じっくりと焼けば、臭みは抜けます。逆に半年以上かけて泥抜きしても、焼きが甘いと臭くなります。
焼き一生という格言があるように、ウナギはサンマと同じ感覚で焼いて、美味しく食べられるものではありません。
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ウ ナ ギ の 臭 み | 種類 | 解説 | 消臭 |
生臭い | ウナギの臭いが主因。泥の臭いと間違われることが多い。 時間を掛けて、確り焼けない、七輪やBBQコンロに多い。 特に身と皮の間のコラーゲンが、確り融解していないと臭う。 |
5〜15分ほど下茹で。15〜30分ほど蒸す。 20〜30分ほど蒸し焼き。25〜60分ほど確り焼く。 この4つの方法の何れかで消える。 |
青臭い | 藍藻の臭いが脂に蓄積される。 汚い川から漂う、苔の腐ったような匂い。 汚水雨水合流式の放流河川は下水臭もある。 |
短期的にはどうすることもできない。 半年以上は藍藻の少ない環境で飼育して、 藍藻を食べない餌を与えて新陳代謝させる。 |
洗剤臭 | 下水処理が不十分だったり、垂れ流しの場所で、 風呂、洗濯、食器洗い洗剤の香料が染みついた臭い。 こうした臭いのする場所は希です。 |
短期的にはどうすることもできない。 半年以上は洗剤の少ない環境で飼育して、 洗剤を食べない餌を与えて新陳代謝させる。 |
腐敗臭 | 捌く際に腸を傷つけ、未消化の捕食物(特にカキやエビ)、 糞(腹部を強く押すと出る)が身に付着した臭い。 付着部分だけが臭くなる。 |
綺麗に洗っても臭いは取り除けない。 付着した部分を捨てるか臭みを諦める。 捌く際に気を付ける。3日ほど食抜き(吐出と消化)。 |
不明臭 | 生臭いと腐敗臭を合わせたような臭い。 生きた状態から臭う。水域の汚染程度は無関係。 捌いても全体が匂う。下茹で・確り焼く・蒸すは無効。 |
短期的にはどうすることもできないだろう。 臭い捕食物を食べ続けた疑いがある。 半年以上は飼育して新陳代謝させる。 |
これまで様々な場所の天然ウナギを食べました。洗剤を多量に含む温泉排水の小河川で釣れた個体は、少し洗剤の臭いがしました。
ウナギの表面に洗剤の香料が付着浸透したり、同産地の捕食物の影響もあると思われます。
こうした泥ではなく、化学物質による臭いが、流れ続ける場所は、下茹で・蒸す・蒸し焼く・確り焼くでは解決できない個体も希にいます。
当然ですが、泥抜きやぬめり取りを行っても、同じことだと思います。
そうした汚染度の高い場所は、初めから釣っても食べられないと見なすべきでしょう。
特に検査データの乏しい、都市河川やドブ川の個体(青臭いことが多い)は、健康を害したり発癌性のある、
重金属(鉛・水銀・カドミウムなど)、ヒ素、ダイオキシン類、有機フッ素化合物、放射性物質(2011年3月以降)など、
有害物質を過剰摂取する危険性もあります。多量や継続的に食べることは避けた方が良いでしょう。
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上画像の場所では、これまで何度もウナギを捕って食べていますが、こうした臭い個体は希です。
完成まで50分(茹で6分+焼き7分+蒸し25分+たれ焼き7分+その他5分)で、臭み抜き方法を十分に行っていますが、完全には消せませんでした。
原因は不明ですが、腐った甲殻類や貝など、臭い捕食物を食べ続け、体全体から臭いを出している疑いを持っています。
同じ方法(フライパン+蒸す)で別個体(同日に琵琶湖で捕獲)を試したところ、臭みは全くありませんでした。
水の綺麗な場所で捕れたから、臭くないというのは間違いです。清冽な場所で捕ったウナギでも、完全に臭いが消せない個体は希にいます。
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自宅で泥抜きする場合は、釣り場から元気な状態で持ち帰る必要があり、
弱ったり死んだ個体は、食べられずに逃がすしかありません。
また、衣装ケースなどで泥抜きする場合は、費用・場所・手間・時間が掛かります。
ケースから逃げ出して道路に出たり、部屋を動き回って、床に毒の粘液が付いたり、
死んで腐敗して食べられなくなる恐れもあります。1〜2週間も絶食すれば身は痩せて味が落ちます。
ミミズなどの餌を与えて長期飼育する方もいますが、それはもはや天然ウナギではなく養殖ウナギです。
ウナギに愛着が湧いて食べられなくなるかもしれません。
泥抜きは意味が無いどころか、臭みが消える保障もないのに、マイナス面だけは増えることになります。
これだけ書いても慣例や儀式として、
泥抜きしないと気が済まない方もおられると思います。
それは個人の自由ですし、食べ物には気持ちも大事なため、私は泥抜き行為を完全には否定しません。
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