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■ うなぎのたれ ■
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うなぎのたれ(蒲焼のたれ)の基本は、みりんと醤油を混ぜて加熱したものです。
そこに酒、砂糖、たまり醤油、水あめ、蜂蜜、出汁、片栗粉など、様々(市販品は増粘剤の添加が多い)なものを加えて、独自の味にします。
私は蒲焼に自作のたれを使っていますが、たれ作りは時間と手間が掛かり、自分が納得できる味にするまで、2万円程度も掛かりました。
たまに蒲焼を作る程度であれば、市販品の購入をおすすめします。
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●失敗は全捨て

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たれ作りの失敗例として、灰汁取りを入念に行ったところ、
深みの無い甘いだけのたれになり、糖分として一部だけを使って他は捨て、作り直したことがあります。
たれを中火で煮詰めたとき、醤油が焦げて苦くなり、全て捨てたことがあります。
確り焼いたウナギの頭部を、たれへ混ぜたところ、全体が生臭くなって、加熱や酒で薄めても臭いが残り、全て捨てたことがあります。
より確り焼いたウナギの頭部を、たれへ混ぜたところ、焦げかすが入って苦くなり、再び全て捨てることになりました。
焼いたウナギをたれへ直接入れて使い、長く冷蔵庫へ入れていたら、ウナギの脂が酸化して腐りました。
また、細かい焦げかすが入り、たれ全体へ混ざり、ご飯へ掛けると、苦くなってしまい、9割(約5000ml)くらい捨てたことがあります。
失敗は全て捨てる必要性があるためハイリスクです。
たれ容器が1つだった場合に、失敗した注ぎ足し用のたれを混ぜると、
これまでに作った容器のたれを、全てかそれに近いくらい捨てることになります。
作り置きの場合は、徐々に醤油の風味が失われ、味が落ちてくるため、
濃口醤油を注ぎ足しますが、その分だけ塩分が高くなり、風味は戻るが塩辛くなります。
鰻屋さんは回転率が高いため、次々と新鮮なたれが注ぎ足され、こうした問題は起き難いと考えられます。
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●うなぎのたれの作り方
用意するもの
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酒 | 2(200ml)。安価なもので十分。 |
みりん | 6(600ml)+0.5(50ml)。 本味醂。みりん風調味料は不可。 |
濃口醤油 | 3(300ml)+1(100ml)。 |
たまり醤油 | 1(100ml)。 |
中ザラ糖 | 2(200g)。 |
水あめ | 1(100g)。 |
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鍋 | 普通の鍋。蓋は使いません。 |
ボウル | 鍋のたれを冷ます。 |
じょうご | ペットボトルにたれを注ぐ。 |
杓子 | お玉やレードルとも呼ぶ。灰汁を掬う。 |
器 | 灰汁を入れる。 |
計量カップ | 調味料の分量を量る。 |
ペットボトル | 作ったうなぎのたれを保存する容器。 |
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上述したように、たれ作りは割に合わないため、市販品の購入をおすすめしますが、
自作したい方のために、私が使っている、たれのレシピを記します。
たれの粘度を高くしたい場合は、みりんや水あめの割合を増やして下さい。中ザラ糖を増やすのも良いですが、みたらし団子や佃煮の味に近くなります。
なお、糖分が高くなるほど、蒲焼が冷めると、飴状に硬くなります。
蜂蜜は結晶化して底に溜まり、容器を振ったくらいでは混ざりません。
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余計な味の添加は、ウナギ本来の美味しさの邪魔になります。
極端に言えば、みりんと濃口醤油だけで作った、シンプルで素朴なたれの方が、ウナギの美味しさが引き立ちます。
焼いたウナギの頭部や中骨の投入は、上述した失敗例からも、止めたほうが無難です。
ご飯にはウナギの味がするたれも合いますが、鰻丼はウナギと一緒にご飯を食べる料理ですし、
アルミホイルを使った蒲焼だと、ウナギから落ちた脂がたれへ混ざり、それをご飯に掛けるため、鮮度の悪い頭部や中骨の味は不要です。
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(1)鍋にみりんと酒を入れる
鍋に酒2(200ml)とみりん6(600ml)を入れる。
強火にします。
| 0分 |
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(2)アルコールを燃やして飛ばす
鍋から火が出たら弱火にします。
火が出なくなったら、徐々に火力を強くして、再び強火にします。
※火柱は30〜50cmほどの高さになります。火災に気を付けて下さい。
| 2分 |
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(3)煮切る
量が減らなくなるまで煮切ります。
だいたい3〜4(300〜400ml)程度になります。
火を止めます。
| 10分 |
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(4)濃口醤油、たまり醤油、中ザラ糖を入れる
鍋に濃口醤油3(300ml)、たまり醤油1(100ml)、中ザラ糖2(200g)を入れ、弱火にします。
※中火にすると醤油が焦げて苦くなります。
※中ザラ糖は好みで2〜4(200〜400g)でも良いです。
| 11分 |
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(5)灰汁を少し取り除く
灰汁は醤油が焦げた苦味で、ある程度は取り除きますが、味の深みも含まれているため、取り過ぎない程度にします。
※灰汁が多量に出たり、何度も吹き零れそうになる場合は、火力が強くて醤油が焦げ過ぎた失敗なため、残念ですが全て捨てて作り直します。
| 32分 |
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(6)水あめを入れる
水あめ1(100g)を入れて、一煮立ちしたら、火を止めます。
※(4)から水あめを入れるまで、煮詰める目安は20〜40分で、醤油の尖りが弱まる頃です。
| 36分 |
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(7)冷ます
氷水をボウルへ入れ、そこへ鍋が浸かるようにし、30℃程度になるまで冷まします。
※箸や杓子で混ぜるようにすると、より短時間で冷めます。
| 38分 |
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(8)追い醤油みりんを入れる
新鮮な濃口醤油1(100ml)とみりん0.5(50ml)を入れて混ぜます。
| 44分 |
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(9)ペットボトルにたれを入れる
醤油の空容器などに、じょうごを刺して、たれを注ぎ入れます。
冷蔵庫へ入れて数時間〜1日ほど寝かせます。
| 45分 |
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(10)完成
半年に1度くらい鍋へ入れ、弱火で一煮立ちさせ、殺菌と味を調整します。
※冷えると甘味が弱く、塩味が強く感じるように、味覚は変わります。
| 翌日 |
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完成時の理想は甘辛いです。甘さが勝っていたら、濃口醤油を足します。辛さが勝っていたら、鍋でみりんを煮切って足します。
スーパーなどで買った蒲焼に付ける場合は、粘度が高い方が接着は良いですが、
生から蒲焼にする場合は、糖分が高いために、飴焼き状態になり、焦げやすくて硬くなります。
どろどろのたれを目指して、無理に煮詰め過ぎず、少し薄い程度が良いです。
たれ作りのメリットは、完成時の達成感と、自分好みの味に出来て、楽しいところにあります。
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