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■ ウナギの捌き方 ■

●捌く前に氷

スーパーやコンビニで買える、チャック付きのかち割り氷(融けた水は捨てる)に、ウナギを入れて閉じる。 釣り場から家へ帰った頃には、仮死状態ですぐに捌くことが出来る。 クーラーボックスで釣り餌を冷やしていた氷を、納竿後に使うと経済的で良い。 氷から出して長く常温に置くと、蘇生して動き出すことが多い。

●捌く前に冷凍庫

ウナギを袋(ジッパー袋やレジ袋など)に入れる。冷凍庫へ入れると仮死状態で捌ける。 30〜60分は凍らないが、早く捌かないと、蘇生して動き出す個体も多い。60〜90分は尾鰭近くが凍ることもあるが、蘇生する個体は少なくなる。 90分以上は全体的な冷凍が始まって、融かしてから捌く手間がある。初心者は75分くらいが無難です。



●普通(中型・全長45〜69cm)の個体
ここでは一般家庭で素人が出来るウナギの捌き方(背開き・蒲焼用)を記します。
まな板棚板(91×20×2cm)。長さ1m程度の木の板。ウナギ専用で使うと便利。
三徳包丁牛刀。万能包丁。家庭にある包丁で良い。切れ味の悪い刃物と出刃包丁は使い難い。
千枚通しやや太めだと安定する。アイスピックなどウナギが固定できる物であれば良い。
ウナギを洗うために使う。
熱湯捌き終えてから道具を消毒するために使う。
上は用意するものです。普通のまな板は短いため、不要な新聞紙や雑誌を繋げて、延長すれば使えます。 但し、千枚通しで穴を空けた場所に、雑菌が繁殖しやすく、衛生的な問題が出ます。 ウナギの血や粘膜には毒があり、傷口のある手は酷く痛むため、 そうした場合は使い捨てのビニール手袋を装着すると防げます。 捌く最中に手で目を擦ったり、不用意に余計な物を触らないことが大事です。

(1) 準備
生きているウナギは仮死状態にします。

(2) 千枚通しを刺す
頭は右側、背は手前に置く。千枚通しを胸鰭の右側に突き刺す。まな板に確りと固定させる。

(3) 包丁を入れる
胸鰭のすぐ左側に包丁を入れる。中骨に当たったら、包丁の刃を左側へ向ける。

(4) 開く
ウナギを左手で動かないように固定する。 刃が常に中骨へ当たるよう、少しだけ包丁を傾ける。 その状態でノコギリのように、引いては戻すを繰り返し、左へ少しずつ進める。 切っ先(先端部)は腹側のギリギリを意識して、貫通しないように気をつける。 刃は背中線(背側の真ん中)を意識して、波形にならないように気をつける。 尾鰭まで無理に開かない(蒲焼にすると焦げて食べられない)。

(5) 内臓と中骨を取り除く
内臓(肝)を手ではがす様にして、身と繋がっている場所は、包丁で切って取り除く。
初めに包丁を入れた(3)にある中骨を切断し、包丁の刃を左側へ向ける。 中骨を包丁で持ち上げるように力を加えながら、 ノコギリを使うように、引いては戻すを繰り返し、左へ少しずつ進める。 左手はウナギが動かないように軽く固定する。尾鰭の手前で切り落とす。

(6) 血合を取り除く
内臓近くにある血合を、包丁で削るようにして取り除く。 中骨を食べる場合は、その血合も取り除く。
※全長70cm以上の大型ウナギは、腹骨を切るように、包丁で数本の切れ目を入れる。
包丁で頭を切り離し、身を半分に切る。
背鰭と臀鰭の切除は、関東風で焼く以外は省略する(後記)。

(7) 完成
身を水で洗う。染み込んだ血は気にしなくて良い。 粘膜(ぬめり)を取る必要はないが、砂やゴミが付いていれば洗い流す。 出来上がり。なお、キッチンペーパーなどで水気を取る必要はない。

最後にウナギの血と粘膜が触れた場所を熱湯消毒します。 手は熱湯に耐えられないため、ティッシュペーパーなどで血や粘膜をふき取って、出来るだけ毒を洗い流します。 開く際に内臓を傷つけないよう、意識しながら包丁を進めると出血は減らせます。 しかし、最後まで確りと開き切れず、何度も包丁を入れて、ガタガタになるという失敗に繋がりやすく、それなりの熟練が必要です。



●小型(エンピツ・メソ・全長21〜44cm)の個体

小型の個体は身が薄いため、厚みのある包丁だと捌くのが難しいです。 カッターナイフは薄くて、刃の長さ調節が可能で捌くのは楽です。 普通や大型の個体もカッターナイフで捌けますが、中骨を切断したり取り除く際に、三徳包丁よりも切り難いです。 ウナギは小刀、果物ナイフ、穴あき包丁、刺身包丁、出刃包丁、鰻裂き(関東型・名古屋型)などでも捌きましたが、 初心者には総合的に判断して、カッターナイフが向いていると思います。 逆に出刃包丁のように分厚い刃物は不向きです。

ウナギは3匹も捌けば要領が掴めます。ウナギは捌けないからと、逃がしてしまったり、 鰻屋さんに持ち込んだり、ぶつ切りにしたりするのは、もったいないです。 骨に身がたくさん付いてガタガタになっても、骨煎餅になる部分が増えたと思えば楽しいです。 ぜひウナギの捌きにチャレンジして下さい。



●関東風(素焼き→蒸す→たれ焼き)は鰭切りが必要

ウナギには胸鰭と連続した背鰭・臀鰭・尾鰭があり、上記の捌き方では胸鰭と尾鰭を切除しています。 背鰭と臀鰭は関西風で確り焼くと、美味しく食べられるため、基本的に切除しなくて良いです。 しかし、関東風は確り焼く工程が無いため、箸で切り難くなって気になります。 背鰭の切除は鰻裂き(関東型)の鰭引き部をまな板に固定し、尾鰭から背鰭を引っ張るように切ります。 一般家庭にある包丁には、鰭引き部は無く、上記の捌き方では既に尾鰭を切除しています。 ようするに、道具は無く、捌き方も異なり、技術も要ります。 それでも左上画像のように、三徳包丁で頑張れば切除することも可能です。 キッチンバサミでも良いですが、ぬるぬると滑って切り難いため、軍手などを使われると良いです。




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