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■ ペットボトル釣法の考案雑話 ■

●うなぎ釣り歴(1996年〜現在)

私(西村)は1995年に図書館で、何気なく釣り新聞を読みました。
そこには、夜に木曽三川の某所で、ぶっこみ釣りでウナギが釣れたという記事がありました。
「ウナギ釣りなんてする人いるんだなぁ」と思いました。
当時はウナギ釣りする人が少なく、ウナギ針すら手に入り難かった時代でした。

1996年に友人T君と遊んでいたとき、釣り新聞のことを思い出し、軽い気持ちでウナギ釣りへ行くことになりました。
適当な竿と仕掛けをT君の車へ積み込み、木曽三川の近くにある釣具屋さんへ、22時半過ぎに入りました。
私が「ウナギ釣りの餌は何がいいんでしょうか?」と店員に尋ねたら、
「こんな時間からウナギ釣りはダメ。11(23)時過ぎたらもう釣れないよ。」と言われ意気消沈。
折角なのでミミズだけは買いました。

23時前に木曽三川の某所へ到着。辺りを見渡すけれど、広大な場所に私とT君の2人だけ。
釣り新聞に場所が出ても、当時は深夜にウナギを釣ろうという奇異な人は希でした。
私は3本の投げ竿にミミズを付けてぶっこみ釣り開始。T君は延べ竿とウキとミミズという、
底物を釣るには、あり得ない釣り方を始めたので、私が投げ竿を貸そうとしても、これで釣ると言い張ります。

    T君は釣りの天才だと私は思っています。海釣り公園へメバル(シロメバル)釣りに行った時も、
    私は無難にアオイソメを持って行きましたが、T君はシマミミズを持って来ました。
    海にシマミミズはあり得ないので、私がアオイソメをあげようと言っても、これで釣ると頑なでした。
    時合みたいなのが終って、私を含めて周りの釣り人たちも、ほとんど釣れなくなりました。
    しかし、T君はシマミミズで次々と釣っているのです。驚いた私はシマミミズを分けてもらい、
    半信半疑で海へ入れたら、すぐにメバルが釣れました。理由は釣りをしてみて判りました。
    アオイソメの動きは弱いのに対して、シマミミズは海水に落とされて激しく動くため、
    そのアピールの強さに、メバルは見て見ぬ振りが出来ず、本能的に食いつくようでした。
    アオイソメよりも餌持ちは悪いですが、ほぼ入れ食い状態だったため、関係ありませんでした。

2時間経っても釣れません。数回ほどアカエイと思われる強い引きで、ラインが切れたくらいでした。
引き潮と川の流れが合わさって、仕掛けが下流側へ流され始め、釣りどころではなくなりました。
もう帰ろうと思った01時半頃。T君が全長35cmくらいのウナギを釣ったのです。信じられない。
延竿ウキ釣りでウナギを釣るT君はやっぱり天才でした。その後にT君は川原で睡眠。
私は朝まで粘るも坊主という結果でした。このウナギは持ち帰ることにしました。

このサイズのウナギ(メソ)は、過去に元川漁師Oさんから、捕り方・捌き方・焼き方などを教えてもらい、
何度か小さめのウナギを頂いては、自分で蒲焼や佃煮にして、多少の経験はありました。
そのため、下手ながら捌けると思いましたが、T君が釣った貴重なウナギ。捌きで失敗は許されません。
安全策で腸だけを出して、鍋で佃煮にしました。それを2人で箸で突いて食べてみました。
目を見張りました。非常に美味しい。私とT君はあまりの美味さに、眠気が吹っ飛びました。
私は坊主でしたが、これが最初にウナギ釣りをした日でした。その後に美味しいウナギを釣ろうと、
ウナギ釣りへ嵌ったのは、言うまでもありません。それが現在へと続きます。

●2001年06月頃に考案
ウナギを釣るのに、いくつもリール竿を買い、高価なスパイクおもりなどを使っては、
根掛りで切られ、不経済なウナギ釣りをしていました。この釣りはそれが当り前だと思っていました。
2001年06月頃にウナギ釣りへ彼女と出かける際に、彼女のお父さんが仕掛けを持たせてくれました。
それは、なす型7〜8号・サルカン・ウナギ針の3つを繋いだもので、同じ仕掛けがたくさん作ってありました。
失礼ながら半信半疑で使わせてもらったら、こんなに単純な仕掛けでも、根掛りが減ってウナギが釣れる。
彼女のお父さんは、いつもウナギの投げ釣りをする前に、ライン・仕掛け・餌を川に投げ入れて、
近くの木などに縛って置くそうです(昔からある置き針)。そして帰り際に引き上げると釣れるそうです。

その話を聞いたとき、3年前のテレビ番組を思い出しました。企画は河口域でのハゼ釣り。
タレントが彼女のお父さんと似たような仕掛けを川へ投げ入れ、砂地で縛るところが無かったため、
近くで拾ったと思われる、牛乳瓶の首部分にそのラインを結び、木や石の代用として砂に埋めたのです。
しばらくして、牛乳瓶が砂から出て川へと移動。慌てて引き上げると、小さいウナギが掛かっていました。
それを見た当時の私は、昼間もウナギが釣れるんだな、という印象しか頭に残りませんでした。

彼女のお父さんの仕掛けと置き針、そしてテレビ番組の砂に埋めた牛乳瓶。何かを作ってみよう。
おもりはなす型が無かったため六角型にしました。とりあえず似たような仕掛けは出来ました。
さて、ラインはどこに巻きつけておこう。近くにあった空の500mlペットボトルに結んで巻いてみました。
釣り場で砂や石でも詰め込めば、重しになると考えました。軽いのでとりあえず水を一杯に入れました。
このペットボトルを木に縛ったり、砂に埋めたりすれば、釣れるかなと、何気なくいじっていました。

ラインを引いみたら、ペットボトルが倒れて、その場へ留まり、移動しなかったのです。
引いても引いても留まっています。もしかしたら、木や重しは必要ないのかもしれない。
ペットボトルを立てて引いてみました。倒れて少し転がりました。その後は引いても留まっています。
きちんと倒れれば留まる。その場に倒れるようにするには、どうすれば良いかと試行錯誤します。
ペットボトルの首に少し巻いてみました。すると倒れてすぐに留まった。それを何度も繰り返す。
ちゃんと留まる。作り始めて1時間も経たないうちに、ペットボトル釣法の原形が出来上がりました。
ちなみに、牛乳瓶、空き缶、コップだと重しの水がこぼれ、川へ引き込まれ、尚且つ浮かびません。

数日後に実釣です。おもりを手に掴んで、川へ投げ入れました。投げ難いが5〜10mくらいは飛ぶ。
ラインを確り張ってペットボトルを立てます。パタンと倒れました。そしてウナギが釣れたのです。
これは使える。ペットボトル釣法が出来た瞬間でした。その後に水の量を減らすなど改良して完成しました。

●2001年07月14日に公開

完成後もウナギ釣りに出かけて試し、2001年07月14日に「採集漁具」に「ペットボトル釣り」として紹介しました。画像は当時のスクリーンショットです。 画像は無いですがWayback Machine(2001年08月14日)でも閲覧できます。 現在は公開時よりも経験を積み、変更している内容があります。

●2004年08月19日にペットボトル釣法として独立ページで公開
ペットボトル釣法をするようになってから釣果は鰻上り。一緒にウナギ釣りへ行った方に教えると、たいてい驚いて誉めて下さいました。 しかし、公開後もインターネット上での反応はほとんど無し。私と仲間だけが楽しめれば良いと思い、なるべく掲示板などにも書かないようにしていました。 質問掲示板(2004年06月11日)にとうとう反響がありました。 それがきっかけで、2004年08月19日に「ペットボトル釣法」として、単独ページを公開しました。 その後はインターネット上で急激に使用者が増え、雑誌に取り上げられ、テレビの釣り番組からの企画相談もありました。 日本淡水魚類愛護会は3200ページを超えますが、ペットボトル釣法の閲覧数はほぼ年中トップです。 今では海外でもペットボトル釣法をしている方がおられるようです。

●2010年代前半
ウナギの代用魚であるヨーロッパウナギの輸入も規制され、 養殖ウナギは年々高騰する傾向にあり、ウナギは高級魚として確立しました。 一部には幼魚(シラスウナギ)が減った原因を、成魚の乱獲と捉える方もおり、将来的にウナギ釣りが規制される恐れもあります。 ウナギの価格が上がるのと比例するかのように、ペットボトル釣法をされる方は増えています。 考案者としては嬉しい反面で、置き針禁止の埼玉県で、ペットボトル釣法を置き針として使うなど、法令・マナー・モラルの問題もあります。 この先もペットボトル釣法が続けられるよう、どうしたら良いか考えて行動したいものです。

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