
揖斐川と養老山地に広がるデルタ地帯です。
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川魚は昔から重要な食材として用いられてきました。
例えばサケ、アユ、ワカサギ、ウナギ、コイ、マハゼなどは現在も我々の重要な食材です。
またカワヤツメ、エツ、ウグイ、アジメドジョウ、シロウオ、イサザ、カマキリなどは郷土料理として欠かせません。
岐阜県海津市にある「お千代保稲荷神社」の
界隈には川魚を扱った店が17店舗もあります。写真のような海も山もない平野部に住む人々にとって、
昔から川魚は重要なたんぱく源であり、独特の食文化を発達させてきました。
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●川魚食文化

私が生まれた岐阜県大垣市もモロコの佃煮やフナの甘露煮は故郷の味です。
うなぎ屋に入れば品書きに鮒の刺身(写真左)と書かれていて驚かれるかもしれませんが、
こうした地域に住む方々にとって川魚料理は理解あるものです。 右側の写真は滋賀県で買ったつくだ煮で、
アユ、ハス、ウグイ、ホンモロコ、ヒガイ(ビワヒガイ型)、ブルーギル、イサザ、ヌマチチブ、ビワヨシノボリ、ウツセミカジカ、
スジエビ、ネジレモ、藻類の13種類が入っていました。
飼育者から見ればなんて残酷なのだと映るでしょうか。
それでは飼育は残酷ではないのでしょうか。
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雑魚の唐揚げ |
(1) 採集した雑魚を布巾に包んで冷凍庫に10〜15分ほど入れる。
※死魚にすることが目的なため冷凍させない。
(2) 鍋にサラダ油を入れて180度前後にする。
(3) 冷凍庫から魚を取り出して、塩とコショウをふりかけて薄力粉に軽くつける。
(4) 油に入れて1〜3分したら油切紙の上に乗せて出来上がり。
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私のように料理が下手で簡単に済ませたい方は唐揚げが一番です。
10cm以下の魚であれば腸を取る必要はありません。
それ以上の魚は腸を取って場合によっては二枚や三枚に開く必要もあります。
ほとんどの小魚は唐揚げで美味しく食べられますが、
タナゴ類のように腸が苦い魚は避けたほうが無難です。
活魚をそのまま油に入れると魚が跳ねて危険なため、
冷凍庫に10〜15分ほど入れてから料理されることをおすすめします。
中骨が硬い魚は長めに揚げたり2度揚げすると気にならなくなります。
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●料理の注意点

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当然ですが汚濁が著しい水域で捕獲した川魚の料理は避けたほうが良いでしょう。
クサフグやツムギハゼなど肉に毒のある魚は食べられません。
毒棘を持つアカエイやアカザなどを扱うのは危険ですので、
熟知された方に手伝ってもらった方が無難です。
ナマズなど歯の鋭い魚に噛まれると怪我をします。
写真はマハゼの腸から出した寄生虫です。
生食は寄生虫病の恐れがあるため避けたほうが良いでしょう。
刺身にしたい場合は2日以上は冷凍して寄生虫を殲滅させる必要があります。
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●料理した川魚
当ページに掲載している料理は見栄えが悪く粗雑ですが、
食べられるかどうかの検証として記しているつもりですのでご容赦ください。
真似をされて問題が起きても一切責任は取りません。
味は星の数が多いほど美味しいという判断です。
ただ私の味覚ですので人によって異なることでしょう。
食材としてあまり思われていない魚や一般的ではない料理法を載せています。
理由として飼育者は魚を観賞用として見ますが、そうではない方は見方が異なるためです。
普通は食べられるかどうかによってその魚に対する興味が大きく違います。
今まで見過ごされていた魚が美味しいとわかれば、魚に興味が湧きますし色々と知ろうとします。
それにより魚に馴染みのない方でも、少しでも距離が縮まるのではないかと考えたのです。
これらの料理を特に飼育者の方は残酷に感じる気持ちもわかりますが、
人間は他の生き物の命を奪って生きているという事実には逆らえません。
絶滅危惧種などの肩書きのある魚も料理しています。
それらを食べることに問題意識のある方がおられるのは承知しています。
私の意見としては、資源管理されている場合と同様に、その魚の生息水域に見合う量だけであれば、
食用として問題ないと考えています。ここで食用にした魚は
「絶滅危惧種」
に示した理念に基づいて採集した個体のみを使用しています。
また悪戯に魚を悪食しているわけではありません。
「琵琶湖博物館でオフ会!」と
「さいたま水族館でオフ会!」
でも川魚を食しました。
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