|
写真のアクリルケース(N-1600F)は自由に奥行きが調節できます。
非常に使い勝手が良く、メダカ類、タナゴ類、ドジョウ類、ハゼ類、カレイ類など、小魚は何でも撮影できます。
私は納得の行くアクリルケースを2回目で作れました。接着剤の扱い方以外は特に難しくありません。
未経験の方が1つ作るのに、2時間ほどで出来ると思います。
|
●比較

|
N-1600F(仕切り板あり) |
従来型(仕切り板なし) |
奥行き |
0〜60mmまで変更可能 |
変更不可能 |
位置固定 |
仕切り板で魚の幅に合わせて位置固定可 |
魚の幅に合わせられないため位置固定が難しい |
下方固定 |
仕切り板を斜めにすると魚を下方固定可 |
魚が上下に泳いでピントが合い難い |
ドンコ |
ケースに入って胸鰭は開く |
ケースに入らず無理に入れても胸鰭は閉じる |
魚を掴む |
ケース内で魚を掴める |
ケース内で魚を掴めない |
取り出し |
ケースから魚だけ取り出せる |
ケースから魚と水を取り出す必要がある |
水温 |
水量が多いため夏場に水温が上がり難い |
水量が少ないため夏場に水温が上がりやすい |
時間 |
水量が多いため長く放置できる |
水量が少ないため長く放置できない |
魚を入れる |
魚を入れやすくたくさん入る |
魚を入れ難くたくさん入らない |
撮影魚 |
表と裏の両面で魚を撮影できる |
1面でしか撮影できない |
安定感 |
手や物が当たっても倒れ難く強風に強い |
手や物が当たると倒れやすいくて強風に弱い |
カット |
幅が広いためアクリル板がカットし易い |
幅が狭いためアクリル板がカットし難い |
接着 |
接着剤の針先が内側に届き失敗が減る |
接着剤の針先が内側に届かず失敗が増える |
メンテ |
内側が広いため研磨剤で磨きやすい |
内側が狭いため研磨剤で磨き難い |
原材料費 |
約1500円 |
約1200円 |
製作時間 |
約2時間 |
約1時間30分 |
場所 |
大きいため場所を取る |
小さいため場所を取らない |
|
アクリルケースは淡水魚を撮影するために、数十年も前から図鑑などで利用されてきました。
それらは奥行きが狭くて魚が潰れたように写ったり、
逆に奥行きが広過ぎてピントが合っていなかったり、従来型(ミルソー)には多くの問題点がありました。
そこで簡単な仕掛けで自由の利くN-1600Fを考案しました。
私はこれまで多くの小魚を撮影していますが、使うほどに良さを実感しています。
N-1600Fは従来型に比べ、原材料費が約300円高く、製作時間が約30分長く、
約2倍の場所を取りますが、メリットの方が遥かに大きいと思います。
|
|
 |
アクリル板 | 透明で厚み3mm。320×550mmもあればアクリルケース1つは作れます。 |
カッター | プラスチックカッターという専用のもの。 |
接着剤 | アクリル専用で注射針が付属しているもの。筆やスポイトは扱い難い。 |
研磨剤 | 余分なところに付着した接着剤の痕を消す。 |
ペン | アクリル板の保護シート(ビニールは油性ペン、紙は鉛筆)に線を引く。 |
定規 | 長さ50cmは必要。短いと長い直線を引くと狂いやすい。 |
タオル | 余分な接着剤をふき取る。研磨剤を染み込ませて磨く。 |
セロハンテープ | 仮止めに使う。テープの幅が狭いほうが良い。 |
マット | カッターの刃で机を傷めないため敷く。写真は硬いダンボール。 |
|
ホームセンターで買い揃えると、アクリル板が1600〜2100円ほど。カッター、接着剤、研磨剤で1500円ほど。
ペン、定規、タオル、セロハンテープ、マットで1000円ほど。
家庭にあるものを使えるため、初期費用はだいたい3500円ほどです。
無くても構いませんが、保護シートのカットにハサミ、小さな板を割るのにペンチがあると便利です。
|
●作り方
|
呼名 | 長さ(mm) |
横板1 | 166×110 |
横板2 | 166×110 |
縦板1 | 60×110 |
縦板2 | 60×110 |
底板 | 166×66.5 |
仕切り板 | 158.5×110.5 |
止板1 | 10×17 |
止板2 | 10×17 |
止板3 | 10×17 |
止板4 | 10×17 |
| |
|
|
横板1から止板4まで10枚の板を作ります。
アクリル板の保護シートに図面を全て書くと、1箇所のカット失敗が残りの全てに響くため、1枚ずつペンと定規で線を引き、カットするのがポイントです。
カット方法は「アクリサンデー/カット」を参考にして下さい。
カッターだけでカットし、切断面の面取りや研磨は不要です。
止板1〜4は小さくてカットし難いですが、仕切り板を支えるだけの部分なため、少々のギザギザでも問題ありません。
次は接着です。接着方法も「アクリサンデー/接着」を参考にして下さい。
底板の上に、横板1、横板2、縦板1、縦板2を立てて、セロハンテープで仮止めします。
接着剤を注射針で8箇所に流し込みます。接着剤がやや少ない程度が良いです。
流し終えて5分も経ったら、セロハンテープを剥します。
止板1〜4に少しだけ接着剤を付け、上の写真で示した場所に貼ります。
貼る位置に鉛筆で印を付けておくと正確に貼れます。
そして5分ほど放置(ヘアドライヤーの冷風で早く乾かせます)し、水を入れて漏れなかったら完成です。
漏れるようであれば、その場所へ再び接着剤を流し込みます。
|
●接着剤

アクリルケース作りで最も難しいのが接着剤の扱い方です。
接着剤がはみ出たり、垂れたりすると失敗です。
ふき取っても白濁するため、
その場所は接着作業が終った後で、タオルに研磨剤を染み込ませて磨きます。
接着剤の付着量が少ないと、目立たなくなりますが、多いと痕が残って台無しになります。
接着剤を垂らさない、出し過ぎないことが、綺麗に作るこつです。それ以外に難しいことはありません。
たいちさんのツイートを参考に、
100円均一のシリンジを使ったところ、誤射が無くなりました。
|
|
|
| 手順 | ポイント |
1 | 水をアクリルケースの2/3以下入れる。 | 水道水。綺麗な水ほど良い。水滴はタオルでふき取る。 |
2 | 撮影しやすい場所にアクリルケースを置く。 | 光の位置、景色の写り込みに気をつける。 |
3 | 魚をアクリルケースに入れる。 | 手で掴んでそっと入れる。 |
4 | 魚の頭を左向きにする。 | 近場で小枝などを拾って、魚を押すように移動させる。 |
5 | デシカメのマクロモードで横から撮影する。 | 魚が動き回るときは、連写でピントが合うこともある。 |
6 | 仕切り板を外して魚を元の入れ物へ戻す。 | 上下正面から撮影する場合はそのまま続ける。 |
|
アクリルケースに蓋がないと魚の飛び出しを心配される方もいますが、
魚はある程度の助走と体をねじる幅がないと、飛び出すほどの勢いが付けられません。
これまで飛び出した記憶があるのはアユ、ハス、コモンフグくらいで、ほとんどの魚はまず飛び出しません。
|
●仕切り板の使い方
止板の間から手前へ
|
奥から手前へ |
|
仕切り板は水の入ったN-1600F(動画はN-1600FB)の中へ入れると、仕切り板の重みと水の抵抗で固定されます。
仕切り板で魚を挟むようにすると、胸鰭が押し縮められて、息苦しく感じる写真になります。
仕切り板と横板の間に、魚の胸鰭が開いた状態で、少し触れる程度が、自然な感じに写ります。
仕切り板を奥から手前へ移動すると、三角形の空間になり、魚が上へ泳ぎ難くなって、下方固定されます。
|
●背景

透過しないカラー背景のアクリルケースは、景色の写り込みをなくせますが、撮影面が片側だけになってしまいます。
また、光をさえぎって陰になり、暗くピントの合い難い写真になりやすいです。
そればかりかカラー背景が青色であれば、魚が少し青っぽくなってしまいます。
更に問題が多いのは透過するカラー背景です。
景色が写り込んで陰になり、魚本来の色ではなくなるため、撮影用ケースとしては最悪です。
背景の写り込みが気になる方は、影にならない離れた場所へ、
背景になるモノクロ(白か黒)の物を置いて、撮影すると良いでしょう。
カラー背景は問題が多いため止めたほうが無難です。
|
●保管ケース

アクリルは普通のプラスチックよりも傷付き難いですが、
持ち運び時にぶつかったりすると寿命を縮めます。
そのため入れ物に保管する必要があります。
ビニール袋など密閉性の高い物に入れると、
アクリルケースに付いた水が乾かず、雑菌が沸いて悪臭がするようになります。
アクリルケースを傷付けず、乾きやすい入れ物が最適です。
そこで私は気泡緩衝材(ぷちぷち)を、きちんと閉めずに使っています。
傷と悪臭が減って、収納と取り出しも楽になります。
|