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| No. | 名称 | 備考 |
淡水魚 |
1 |
水槽(60cm以下) |
大きな水槽は管理が大変です。 |
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水槽の蓋 |
出来るだけ隙間がないもの。 |
3 |
水中フィルター |
水槽が45cm以下は1個。60cmは2個。 |
4 |
エアポンプ |
パワーあるもの。エアは強めに。 |
5 |
観賞魚用ネット |
網目の細かいものが魚を傷付け難い。 |
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砂 |
水槽に5cm程度敷く。 |
7 |
餌 |
冷凍赤虫や配合飼料など色々与える。 |
汽水魚 |
8 |
ヒーター |
25℃前後の固定式でも良い。 |
9 |
比重計 |
1500円程度です。 |
10 |
塩水(半海水以上) |
汽水域や海からタンクに汲んで保管。 |
その他 |
タンク(塩水を入れる蓋付き容器)、隠れ家(カキ殻・エンビパイプ・陶器等)、
蛍光灯(日が入れば不要)、ヒーターカバー(破損や火傷防止)、キスゴム(エアチューブの固定) |
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上表のNo.1〜7(8)は淡水魚飼育をされた方ならば持っていると思いますしホームセンターでも容易に入手できます。
淡水魚と汽水魚の飼育で異なる点は、比重計と塩水を手に入れれば良いだけです。
比重計は物によって数‰の誤差が出ますが、海水魚と違い汽水魚にそこまで気にする必要はなく安価な物で十分です。
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●半海水の調達
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海で海水を汲む |
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水道水で半分に薄めて2倍 |
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海の細菌は塩分が低くなって弱る |
汽水域で半海水を汲む |
→ |
そのまま使う |
→ |
汽水域の細菌も生きたまま水槽に入る |
観賞魚店で人工海水を買う |
→ |
水道水で溶かして使う |
→ |
浄化細菌がおらず初期の環境は不安定 |
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採集地の水が半海水あればそれを汲んで飼育水にしましょう。
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通常は採集地で底近くの塩水を汲みますが、半海水以下だった場合は海に近いところで採水します。
天然の水は高濃度窒素化合物や有害な細菌を含むこともあるようですが、
今のところ採水した塩水で魚に悪影響が出た記憶はなく、水族館の多くは天然海水を使用しているそうです。
ただし汚染の少ないところから汲む方が良いのは言うまでもありません。
タンクでの保存期間は半年でも大丈夫です。
海で海水を汲んで来て水道水で半海水まで薄めると、約2倍の半海水を作り出すことが出来るため効率的です。
私は海や汽水域からの採水のみで飼育していますが、無理な場合は人工海水を使うしかありません。
人工海水は浄化細菌を含んでおらず2〜4週間程は魚を入れず空回しにする必要があるようで、
採集当日に水槽を立ち上げていては間に合わないのが欠点です。
人工海水に採集地の水やマガキなどを入れれば、より早く使える水になるのではないかと思います。
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●バスポンプによる採水
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バスポンプで楽して採水。直で汲むより時間かかるけどね。
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採水の際に重いタンクを持って歩くと腰を悪くするため、私は車の近くまでホースを引いてバスポンプで採水しています。
車のシガーライターソケットを家庭用コンセント(AC100V)にするインバーターを差し込み、
そこにバスポンプのコンセントを差し込んで、バスポンプ本体をビニールホースに繋いで水がタンクに入るようにセットします。
バスポンプ本体を汽水域または海に下ろし、車のエンジンをつけたままスイッチをオンにすると水が汲み上げられます。
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まずは騙されたと思って写真を参考に試してみて下さいね。
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これまでS・M・L・45・60・90cm水槽で汽水魚を飼育してきましたが、
初心者の方には便利で安定し楽なL水槽(40cm水槽)をおすすめします。
水槽に魚を入れるとき淡水魚は水温合わせしないと問題が起こることもありますが、
汽水魚は水温変化の激しいところに生息する魚のためそのまま入れても問題は起こり難いです。
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●砂と隠れ家
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貝殻を外へ出す
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サンゴ砂を外へ出す
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マガキの隙間であくび |
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汽水魚のいた場所はサンゴ砂だけでしたか。砂は重要なポイント。細かい砂だけにしないように。
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砂は5cm程度敷きます。砂が少ないと掃除屋さんの定着が悪いです。
色々と試して状態が良いのは(3〜5mm粒の砂礫が6割)+(サンゴ砂や貝砂3割)+(細かい砂1割)くらいです。
細かい砂や泥だけにすると無酸素層が出来て砂中に棲める生物が極端に限られます。
また砂中に巣穴を作るチワラスボ種群やテッポウエビ類などは、
砂が崩れないよう砂中にカキ殻や石などを適度に混ぜて置くと良いでしょう。
カキ殻と同じくサンゴ砂はアルカリ性にする良い効果がありますが、
サンゴ砂だけにすると掃除屋さんの定着が悪いです。
飾りを入れる場合は塩水であることを忘れてはいけません。
鉄分を多く含む赤茶けた石を避け、流木などは水質を酸性にするため入れないで下さい。
隠れ家はマガキやカキ殻が最も優れています。
カキ殻を多く配置したL(40cm)水槽に、全長1.5cmほどのサツキハゼを8月13日に入れました。
その日から姿が見えなくなり、49日後の10月1日に全長3cmほどになって出てきました。
混泳する生物に食われない大きさになるまでカキ殻に潜んでいたようです。
カキ殻は小魚にとっても大切な避難場所になります。
更には90cm水槽にオオウナギを10月18日に入れたところ、その日から姿が見えなくなり、
131日後の2月26日に生息確認したこともあります。それまで底砂の中で隠れていたのだと思われます。
底砂はカキ殻や貝殻など色々と混ぜたごちゃごちゃしたものでした。
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●水温
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飼育 | ヒーター 必要水温 | クーラー 必要水温 | ようするに |
淡水魚 | 5℃以下 | 30℃以上 | ヒーターは病気の治療にクーラーは冷水魚 に必須のため両方あったほうが無難 |
汽水魚 | 25℃以下 | 35℃以上 | ヒーターだけ必要 |
海水魚 | 25℃以下 | 30℃以上 | ヒーターとクーラーの両方必要 |
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クーラー不要。ヒーター必要。水温は25℃以下にしないように。
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海水魚の飼育は水温を一定に保つ必要があり、秋から春はヒーターを夏はクーラーを必要しますが、
汽水魚は高水温に強いものが多く33℃でも元気で餌を食べるほどです。
クーラーは不要ですが一部の魚種を除いて低温に弱くヒーターは必要です。
20℃を下回ると生死の境になる魚もいるため、1年中ヒーターを入れたままにして25℃を保った方が安心です。
水温調節できるオートヒーターもしくは25〜26℃に固定されたもので構いません。
しかし25℃設定にしてもヒーターから遠い場所はやや低くなるため26〜27℃設定が良いと思います。
私の誤りで冬場に調節つまみを16℃設定にしてしまい、
魚がほとんど動かず危険な状態になったことがあり、現在はつまみをテープで固定しています。
原因不明で魚が次々と死んで行き、掃除でヒーターカバーを外すと、中でヒーターが壊れていたこともありました。
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濾過槽の中で飼う感覚で多様な生物濾過水槽にしましょう。
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左のL(40cm)水槽と右の60cm水槽は砂が少なく、掃除屋さんをほとんど入れなかったため、
水の状態が不安定で悪化しやすく汽水水槽の悪い例と言えます。
その後に砂と掃除屋さんをたくさん入れてからは安定し、
水換え頻度も低くなり随分と楽になりました。
魚と掃除屋さんの両方が棲みやすい環境にすることが日常管理を楽にし、
良い状態で飼育を続けられる重要なポイントです。
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●色々な餌を与える

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冷凍赤虫を食べる
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ちりめんじゃこを食べる
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豆腐を食べる |
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ハンバーグが大好きな子供に毎食ハンバーグばかりでいいんですか?
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汽水魚の主餌は冷凍赤虫が便利です。全長2cmに満たないゴマハゼから全長25cmを超えるキチヌまで食べます。
ただし同じ餌だけを続けると栄養が偏るため色々な餌を与えるのが基本です。
詳しくは「病気の予防(2)」に記しています。
餌は1〜2日に1回で十分ですが多めに与えて下さい。
餌が多いと水の汚れを心配される方もいますが、確りと掃除屋さんが入れてあれば何も問題ありません。
餌が少ないとお腹が空いて他の魚を突っついて瀕死にさせてしまうこともあります。
水槽に単に餌を落としてもそれぞれの空間で生活している生物は餌まで寄って来ないため、
スポイトを使って餌を広範囲に散らばすと餌が行き渡ります。
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●大型魚の餌は冷凍ミックス
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イカなんてさばけないよ。ハサミでも簡単に切れますよ。
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ナマズに冷凍イカを与えていると浅香智也さん(ぎょぎょランド)から教えて頂き、
私も汽水魚に試したところよく食べたため現在では大型魚の主食になっています。
スーパーマーケットで冷凍スルメイカは1パイ50〜150円程度と安く(近年は250〜350円程度に値上がり)、
写真のように包丁で好きな大きさに切って、フリーザーバッグに入れて冷凍保存できます。
飼育魚の成長に伴って餌の大きさを変えることもできます。
スルメイカだけ与えると栄養が偏るため、アカニシ、アケガイ、ゆでアサリ、貝柱、
ゆでホタテ貝ひも、ゆでタコ、キビナゴのぶつ切り、イカナゴちりめんじゃこ、かに風味かまぼこ、黒はんぺん、
むきえび、スジエビ、テナガエビ、鶏肝、豚ハツ、豚レバーなど色々な餌を混ぜています。
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●水換え
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水槽の水を1/3〜1/2ほどホースなどを使って減らします。
水分の蒸発で塩分が高くなっていることが多いため比重計で測ります。
塩分が高い場合は水槽とほぼ同じの水温(差は3度前後まで)の水道水を、
ゆっくり水槽に入れて半海水になるよう調節します。
水槽の水が半海水だった場合は、タンクに汲み置きしてあった汽水または海水をバケツに半分ほど入れ、
比重計で塩分を測って半海水前後になるまで水道水を入れ、
水槽の水温と同じ程度にしてからゆっくり水槽に入れて水換え終了です。
多量に水道水を使うときはカルキ抜きを入れても良いでしょう。
水換えは掃除屋さんがたくさんいれば蒸発した分だけ足し水でも2〜3ヶ月は安定します。
定期的に行いたい場合は2〜4週間が目安です。
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●塩だれと上部フィルター

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淡水の場合は水滴が飛び散っても跡形もなく蒸発しますが汽水は塩が残ります。
これは塩だれと呼ばれており防ぐには水の飛び散らない環境にするしかありません。
水槽の蓋にある隙間を透明のビニールテープでふさいだり、
蓋に返しを付けて水が外側に出ないようしたり、透明の塩化ビニール波板を蓋にしたり色々と工夫します。
水槽に入れる汽水を7割程度にするのも有効です。
ガラス面や蓋に付着した塩だれを放置しても見た目が汚い程度ですが、
上部フィルターはモーターから煙が出たり、コンセントから火花が出ることもあるそうです。
塩がこびり付いて漏電や異常をもたらすため、火事にならないようモーターやコンセントは遠ざける必要があります。
上部フィルターの使用は避けて水中に入れて使うフィルターをおすすめします。
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●間違えやすいこと

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淡水飼育では流木も良いけど汽水じゃ駄目なんです。
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粗塩は海水を天日に干しただけの塩ではなく加工したもので、
汽水魚飼育には汽水域や海での採水か人工海水が必要です。
砂はサンゴ砂、細かい砂、泥だけにするより、3〜5mm粒の砂礫だけを5cm程度敷く方がまだ良い状態を保ちます。
水槽内に流木など酸性になりやすい物や塩に弱い物は入れてはいけません。
水温は25℃から数度でも下がると魚の状態が悪化する恐れがあるため気をつけて下さい。
酸素は外部フィルターなどからの落水時に出る気泡だけでは不十分です。
フィルターは物理的に糞や残餌を取り除くためではなく、
掃除屋さんや目に見えない分解者に多量の酸素を送って活動を促進させるものです。
フィルター掃除はなるべく目が詰まるまで放置させ、
活性炭や水質調整剤などは入れず、プロテインスキマーや大掛かりなフィルターは無用の長物です。
シンプルに水中フィルターで強めのエアレーションにしておいた方がよほど調子が良いです。
写真右のクロホシマンジュウダイの下には、
テッポウエビ属の一種Eが水中フィルターの上に砂を積上げて埋もれてしまっています。
そこにはコケゴカイやヨコエビ類が住み着いています。
エアさえ確り出ていたら下手にいじらず放置するほうが良い水槽環境を保ちます。
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