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アカメを購入して淡水で飼おうなんて思ってませんか? そういう方は是非とも最後まで読んで下さいね。
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私は淡水での飼育は長いですが汽水での飼育は始めて数年しか経っていません。
その間に汽水での飼育をされている方々から多くのことを学び助言を頂きました。
学んだ知識を生かして「淡水魚飼育者でも手軽に出来る汽水魚飼育法」を記せればと思います。
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●ハゼ釣りと飼育
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河口で釣ったハゼの天ぷら。いいですねぇ。飼育もできますよ。
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私が小中学生だった頃は秋になると運河(汽水)へ何度もマハゼ釣りに行きました。
魚が好きな私はマハゼなどを持ち帰って飼育を試みましたが、
数日すると死んでしまい父親からは海の魚だから真水では飼えないと言われました。
淡水の川でマハゼを捕り、これなら真水で飼えると思いましたが数日で死にました。
それなら海水で飼育するしかないと思い観賞魚店で相談したところ、
海水での飼育には専用のろ過器具、人工海水、比重計、大型水槽など多くの設備が必要で、
とても子供に手が出せる金額ではなく、更に人工海水はすぐに使えず1ヶ月は空回しが必要とか、
ペーハー値に気を配らないといけないとか、日頃の管理も大変なようで仕方なく諦めました。
飼育したくても出来ない悔しさだけが残りました。しかし今は違います。
マハゼ幼魚をバケツに半海水とエアレーションだけで飼育したところ、
成魚まで簡単に大きくなり本来は飼育にとても強い魚であると考えが変わりました。
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●トビハゼが教えてくれたこと

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最近は藤前干潟のように汽水域の重要さが認識されることも増えてきました。
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上記のマハゼ釣りした運河は埋め立てられて現在は公園になっています。
当時はマハゼの他にトビハゼ、ウロハゼ、チチブ、ボラ種群、スズキ、クロダイ、ナイルティラピア、カダヤシ、カワヨウジなどがみられました。
特にトビハゼは大好きで小さな干潟で服を汚して親に怒られても何度も出かけて捕っていました。
飼育は無知ゆえすぐに死なせてしまいました。
もし子供の頃に「かわいそうだからダメ」という一言で飼育していなかったら、
天然記念物で捕ったり飼ったりが違法だったら、今ほど興味は湧かなかったでしょう。
運河の埋め立てが始まった時は水がほとんどなくなり、
大型ゴミが放置されている一角にトビハゼがいて、近づいたら飛び跳ねて逃げてゆきました。
これがこの運河で最後の姿でした。未だにそのトビハゼが忘れられません。
運河は人間が作った二次的自然ですが、そこすら奪われている生物がいます。
埋め立てによって出来た公園は子供たちにとって良い遊び場ですが、
私が子供だった頃は運河が遊び場で生き物と触れ合える場所でした。
そこでの貴重な体験は公園では出来ないことばかりです。
また安易にトビハゼを購入しただけでは乱獲問題があるばかりか現状も見えてきません。
トビハゼなど汽水魚を飼育してみようと思った方は1度汽水域に出かけて見て下さい。
飼育に役立つ情報も自然から学べると思います。
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海水 | 海の水のことで目安は塩分28〜34‰ |
汽水 | 海水と比べて塩分の低い水 |
海 | 海水で満たされた広大な水域 |
汽水域 | 淡水と海水が混ざる河口や湖など |
海水魚 | 海で見られる魚 |
汽水魚 | 汽水域で見られる魚 |
海水魚飼育 | 海水魚を飼育すること |
汽水魚飼育 | 汽水魚を飼育すること |
河口 | 川と海の境界地点のことですが広義ではその付近(河口域)も指します |
干潟 | 汽水域に見られる潮が引いたときに現れる陸地や浅場 |
内湾奥 | 湾の奥部で海と汽水域の中間的な塩分(20〜30‰)や生物相ですが海と見なせます |
半海水 | 塩分が海水(34‰)の半分の水(17‰)のことで汽水魚飼育の基本塩分 |
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汽水域は不安定な環境に対応できる強い生物が暮らす場所です。
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当ページ内では汽水という言葉を多用していますが上記のような意味で使用しています。
「塩分」とは水に溶けた塩類(塩化ナトリウムなど)の濃度のことで、
一般に使われる「塩分濃度」とは頭痛が痛いと同じ重複表現になり誤用です。
塩類の濃度は「塩分」または「塩類濃度」が正しい使い方です。
淡水魚飼育者から見て汽水域で見られる魚は海から餌を追ったり、
上潮に乗ってたまたま汽水域に入った海水魚ばかりと思われています。
そのため「汽水魚って結局は海水魚ですよね?」と誤解されていますが、
採集例が汽水域だけで海から報告のない魚種も少なくありません。
飼育も海水魚の多くはクーラーもなく半海水で飼育したら死ぬか著しく弱りますが、
汽水魚の多くはクーラーもなく半海水で飼育できるのです。
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●汽水域か海か塩分で判断
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淡 | | | | | | | | | 汽 | | | | | | | | | 海 |
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■ | 塩分 |
0 | | | | | | | | | 17 | | | | | | | | | 34 | (‰) |
├── 半海水で飼える ──┤ |
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ちょっとなめてみて辛いっ!のは海水です。塩辛いなくらいは汽水です。
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写真の比重計は約17‰(パーミル)を指し、水1リットルに塩類17gが溶けていることになります。
海水が約34‰(比重:約1.025)として1‰でも30‰でも汽水となりますが、
大きな開きのある塩分で捕れた魚を同じ水槽で飼うのは難しく、
水槽の塩分は半海水(17‰)が望ましいです。
それは5〜25‰程度の場所で捕れた魚は、半海水で飼えることがほとんどだからです。
ただし当サイトは半海水以下および汽水域生物相を有する水域で確認された生物しか掲載していません。
推奨しませんが比重計がない時は水を舐めて舌で塩分を確認できます。
人の舌は舐めるだけで敏感に違いがわかるため飲んだりせず必ず吐き出して下さい。
海水は非常に辛くて長く口に含んでいられませんが半海水は少し辛い程度です。
上流からの流量が多い河口は舐めても全く辛くないことがあります。
これは上層だけ淡水が流れているためで中〜下層は汽水になっていることが多く、
時には下層に海水が溜まっていてそこから中〜上層に侵入しない魚もいます。
特に潮汐の変化が少ない日本海側は魚にも帯状分布が見られ、
塩分の淡い層と濃い層が塩分躍層(ハロクライン)を挟んでほとんど混ざらず分かれている事もあります。
こうした場合は濃い層で捕った魚は長期的に考えると海水での飼育が無難でしょう。
また幼魚期だけ海から汽水域に侵入する種類は、成長に伴って塩分を高める必要もあります。
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●汽水域か海か生物相で判断
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ヤマトシジミは汽水域の指標生物。そこで捕れた魚は半海水で飼育可能です。
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生粋の汽水魚でもしばしば海水魚と勘違いされるのは、
汽水域と海の線引きが難しいことにも原因があると思います。
汽水域は非常に塩分が不安定なため比重計だけで判断できるものではありませんが、
土着の底生生物相を調べることによってある程度の線引きは可能です。
上図は日本に広く分布する二枚貝を例に4区分しました。
写真のヤマトシジミ捕り最下流の人(赤色矢印2つ)から少し下流の底を掘ると、
ヤマトシジミは見つからずイソシジミばかり出てきます。
更に海へ出ると多くの人がアサリ捕りをしています。
1kmに満たない範囲ですが二枚貝は棲み分けているのです。
4種類が同所的に見られることもありますが出現頻度が異なり、
イソシジミ域で捕れるアサリは小さな個体ばかりです。
例外を記すよりも現地で砂を掘ればよくわかると思います。
こうした棲み分けは魚にも同じような傾向があり、
半海水で飼育可能な魚が棲むのはヤマトシジミ域からイソシジミ域となります。
ただしヤマトシジミやイソシジミが生息しない河川は、
オキシジミやアサリがヤマトシジミ域からイソシジミ域まで侵入している場合もあります。
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●汽水魚の飼育って難しいのでは?
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飼育 | 難易度 | ポイント |
淡水魚 | やや難しい ★★★ |
1.水質の比較的安定した淡水域に生息しているため水質悪化に弱い。
2.掃除はフィルター・底砂・苔など必要で管理に手間と費用が掛かる。
3.水換え頻度は高くなりがちだが水道水で飼育できる。
4.クーラーを入れないと夏に高水温で死ぬこともある。
5.ヒーターを入れずに飼うと水温変化で病気になりやすい。
6.病気になりやすく栄養素欠乏に弱いため体型が崩れやすい。
7.他魚との混泳は問題のないことが多い。
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汽水魚 | 普通 ★★ |
1.水質の不安定な汽水域に生息しているため水質悪化に強い。
2.掃除は掃除屋さんが浄化するためフィルターは安価な物を長く使える。
3.水換え頻度は低くて済むが汲んだ塩水か人工海水が必要になる。
4.クーラーを入れなくても夏を乗り越えられる。
5.ヒーターは夏を除いて必要になる。
6.病気になり難く餌は何でもよく食べ簡単に育つ。
7.他魚との混泳は一概に言えずやってみないとわからない。
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汽水魚の飼育は難しくありません! 淡水魚の方がよっぽど水質に敏感で手間がかかって大変。
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汽水魚を「淡水で飼育できますか?」という質問をされる方がおられます。
「無理に淡水で飼うのは止めましょう」とご返事します。
淡水魚と比べて汽水魚の多くは餌食いも良く、高水温に強くて病気に掛かり難く丈夫です。
淡水魚を飼育できる貴方に汽水魚の飼育ができないはずがありません。
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