ウナギの蒲焼(2)





七輪やBBQコンロは臭い!!

順位 ×臭みが残る
1位 ■七輪
2位 ■七輪+煉瓦
3位 ■バーベキューコンロ(中)
4位 ■バーベキューコンロ(小)
5位 ■魚焼き網
順位 ×煙が酷い
1位 ■七輪
2位 ■魚焼き網
3位 ■魚焼き網(蓋付)
4位 ■バーベキューコンロ(中)
5位 ■バーベキューコンロ(小)
蒲焼は70種類以上も試しましたが、
七輪やバーベキューコンロは、
臭みが残るため、お勧めできません

臭みは泥抜き不足ではありません。
七輪やBBQコンロは、表面が焦げやすく、身と皮の間まで、確り焼くことが困難で、臭みが残ります。 一口目に煙による香ばしさで、味は良く感じますが、後から来る臭みで、全て台無しになります。 煙が酷いため、屋外でしか使えませんし、全身が燻されて、しばらく臭いが取れません。ようするに、臭いウナギを食べて、全身も臭くなります。 魚は炭火が良いに決まっている。そう思う方はサンマを七輪で焼いてみて下さい。 網に皮が張り付いてぼろぼろ、焼きむらが酷い、中まで火が通らない、想像と違うものになると思います。 サンマで失敗するのですから、焼きの難しいウナギではなおさらです。

関西流の鰻屋さんは串で浮かせて焼きます。七輪やBBQコンロは網に乗せて焼きます。これは全く違うものです。 浮かせると均一の熱で、全体をゆっくり焼けます。 網に乗せると、高温の網に触れた場所から、すぐに焦げ始めますが、周りは焼けていません。 網目模様の付いたステーキを想像して下さい。ウナギはレアやミディアムだと臭いため、ベリーウェルダンまで焼かないといけません。 しかし、網に乗せてベリーウェルダンまで焼くと、表面が焦げて苦くて食べられません。 そのため七輪やBBQコンロで作る蒲焼は、レアやミディアムになりがちで臭いのです。

屋外でBBQコンロを囲んで、みんなで蒲焼を作るのは楽しいです。 BBQコンロでも関東流のように、素焼き→蒸す→たれ焼きにすれば、臭みが取れるかもしれませんが、屋外で蒸すことは面倒です。 BBQコンロで関東流の蒲焼を作りたい場合は、ウナギの幅よりも広くて多めの炭を入れ、均一の熱を保つように管理を続けると、 まずは焼きむら問題が解消されるでしょう。 そして金串(竹串は焦げ落ちる)に刺し、串台などで浮かせて、じっくり確り焼いたら、臭みが取れるかもしれません。 七輪は中央ほど熱が強く、浮かせても均一の熱で全体を焼くことは困難で、中央は焦げて左右は生焼けになりました。 角型の七輪で浮かせれば、臭みが取れるかもしれません。


確り焼くことが重要

時間(分)0510152025303540455055606570
45〜50cm
50〜55cm
55〜60cm
60〜65cm
65〜70cm
70〜75cm
75〜80cm
80〜85cm
生  確り焼けた  霧吹き  たれ  完成
ウナギは適当に焼いて、たれを付ければ、良いと思っていませんか?
サケ・サバ・サンマなどを焼くのとは全く違います!

完成までの目安時間は、全長45〜85cmのウナギで、
確り焼く20〜55分+霧吹き5分+たれ焼き10分
完成まで35〜70分(冷凍は+5〜10分)は掛かります。
複数個体を同時に焼くと、より時間が掛かります。

火力が強くて、早く出来そうな場合は、弱めてじっくり焼きます。
臭いは時間を掛けるほど、気化して臭くなくなります。
段階 A B C D E
時間 0分 5分 16分 23分 32分
状態 生期 不安定期 安定期 焼けた気がする期 確り焼けた期
解説 生の状態から、確り焼けるまでは、約60%くらいに縮みます。 丸まりやすく、頻繁に引っ繰り返して、真っすぐ安定するようにします。 身が白くなって、形が安定し、水分が飛び、粘液が焦げて、かすが出ます。 少し焦げ目が出来て、薄く脂が出て、確り焼けたと、間違われやすい頃です。 脂が抜け落ち、軟らかくて身割れが始まる頃で、焦げる寸前が目安です。
ウナギは臭い魚です。その臭みは「確り焼く」だけで8割、「たれ」で2割を消すことが出来ます。 ウナギは小骨の多い魚です。その小骨は「確り焼く」だけで、気にならなくなります。 逆に言えば、確り焼かないと、臭くて小骨が気になって不味いです。 D段階でたれへ進む方が多い印象です。 これ以上に焼くと、焦げるのではないかと、不安になるかもしれませんが、まだ全く焼けていません。 尾鰭付近を除いて、簡単には焦げないため、我慢して焼き続けて下さい。 ウナギは確り時間を掛け、焦げ始める直前まで焼くのが、臭みを消して、味を向上させる、最も重要な工程です。


皮を軟らかくしたい

飯蒸し
手順最も熱々で軟らかくなる方法 補足
1 丼鉢にご飯とを少し入れる。 丼鉢は深くて広い物。水は蛇口シャワーに2回潜らせる程度。
2 ラップをして電子レンジで熱々にする。 オート温めではなく、最大出力でご飯から泡が出て、手で触れないほど加熱。
3 完成した蒲焼の皮側を、ご飯に張り付けるように乗せる。 皮が少しでも浮いたところは軟らかくなりません。
4 隙間の無い様にラップをする。 完全に隙間が無いと、ラップは凹みますので、程よい加減にします。
5 保温バッグへ入れて閉める。 弁当箱用の保温バッグ(100均)。無い場合は乾いた布巾を被せる。
6 10〜12分ほど待つ。 8分以下は軟らかくする効果が弱い。14分以上はご飯が冷め始める。
7 たれを耐熱計量カップに入れ、電子レンジで温める。 急に沸騰するため、注意深く見続けて、良い加減で止めて下さい。
8 保温バッグから丼鉢を取り出してラップを外す。
9 たれをウナギにまんべんなくかける。 ご飯にはウナギから落ちた量で十分です。
10 熱々で皮は軟らかく、身はサクッ感も残って美味しい!!
蒲焼の多くは「皮は硬く、香ばしくて強い味」か「皮は軟らかく、物足りない味」のどちらかに成りがちです。 飯蒸しは「皮は硬く、香ばしくて強い味」として作った蒲焼を、「皮は軟らかく、香ばしくて強い味」に変えられます。 方法は上記の手順通りで、硬くなった皮が熱々ご飯に触れて軟らかくなり、身へたれをかけることで、強い味が戻ります。

●霧吹き
確り焼けた後は、臭みは無くなり、味は良くなりますが、ウナギの脂で揚げられて硬くなり、水分は抜けてパサパサになります。 そこで関東流は蒸して、水分を戻すのですが、一般家庭では蒸し器を出す手間と、30〜60分も掛かり、 上手にやらないと身崩れしたり、脂や旨味も流れ落ちてしまいます。それと比べて霧吹きは、手間要らずで、時短で簡単です。 水ではなく酒を使うと、軟らかくする効果は弱まり、身に酒の臭いが残って、表面に焦げが出来るため、失敗の原因になります。


味の違い

蒲焼の味は部位によって4つに大別できます。 前腹は内臓がある分だけ身が薄く、腹骨は硬さを感じます。 後腹は前腹よりも少し身が厚く、腹骨も少し軟らかいです。 前尾は身が厚くて脂が多く、小骨が気にならず、軟らかくて最上の部位です。 後尾は前尾ほど脂は多くなく、身が薄いため皮の味が強くなります。

●天然 vs. 養殖
全長(cm)304050607080以上
天然
養殖
天然
養殖
天然
養殖
味(点)0102030405060708090100
天然
養殖
「天然ウナギと養殖ウナギはどっちが美味しい?」という比較をよく目にしますが、 養殖は全長40〜50cmと揃っていますが、天然はそれ以下やそれ以上もいるため、 身の厚みや骨の太さが異なり、公平な比較ができません。 仮に同程度を比較すれば、確実な違いは皮だけで、天然が厚くて硬く、養殖が薄くて軟らかいです。 脂は量が同じ場合、養殖の方が濃くてしつこく、天然は薄くてあっさりが多いです。 総合的な判断の味は、養殖は70〜80点で安定していますが、天然は20〜100点と幅が広く、洗剤臭などで食べられない0点までいます。 ただ、養殖で100点やその近くを食べたことがありません。 ようするに、養殖は全体的に美味しく、天然は不味いから絶品までいる。 どっちが美味しいかは一概に言えません。


煙の臭いを取る

蒲焼を焼くと多くの方法で臭いが出ます。煙が壁などに付着して、1〜2日は臭いが残り、酷い場合は1週間ほど消えません。 消臭スプレーを使うと、その臭いが気になることもあります。ここでは簡単で効果が高かった、ペットボトルの濃いお茶を使う方法を紹介します。 ペットボトルの濃いお茶を、500mlほど鍋などへ入れて沸騰させます。それを臭いが強い場所の床に置きます(鍋敷きや丼鉢などに乗せる)。 3分くらいすると湯気が出なくなります。再び沸騰させて別の場所へ置きます。これを繰り返して、3〜4箇所で使えます。 費用は(ペットボトル2Lのお茶約160円÷4)+(ガス代約10円)=約50円です。蒲焼に限らず焼肉などにも使えると思います。

●ペットボトルのお茶の方が良い
普通の緑茶と緑茶ティーバッグは、消臭効果が弱かったです。緑茶をフライパンで炒ったものは、ほとんど効果が無かったです。 これらよりもペットボトルの普通のお茶を使う方が効果がありました。 ペットボトルの濃いお茶を、3回沸騰させてものを、飲んでみたところ、味がほとんどしませんでした。 もったいないですが、出涸らしは捨てるしかなさそうです。


Q & A


泥抜きはどうやればいいですか?
【不要】 臭み消しには無意味で、味を落として、費用・場所・手間・時間が掛かります。
参考:「ウナギの保存方法」

皮のぬめりは取らなくていいの?
【取らなくて良い】 臭みの原因ではないです。ぬめりは熱や火に一番近く、最も早く焼けて、臭みが消える場所です。
【勝手に取れる】 ウナギをホイルなどに置く焼き方だと、勝手に剥がれ取れます。串打ちすると焼き付きますが、味や臭みに影響はありません。
【どうしても取りたい】 冷凍すると水洗いで取れます。生きている個体に、やかんで熱湯を掛けても取れますが、 大暴れするため、あまり掛からなかった部分は取れず、掛かり過ぎた部分は皮が割れます。 ウナギはまだ死んでおらず、包丁でぬめりを削ぎ取るのは、手を切りそうになります。 そのため捌いた後で、まな板に皮側を上へ向けて置き、やかんで熱湯を掛け、包丁で削ぎ取ります。 熱湯を掛け過ぎると皮が丸まって、焼きに失敗しやすくなります。

臭みを取るのに一番重要なのは何ですか?
【確り焼く】 30〜60分は確り焼く。もしくは30〜60分は蒸す。ウナギは普通の魚ではないです。
参考:「確り焼くことが重要」 「tom********さん 2016/5/21 11:55:19」

私は関東なので蒸してから焼きたいのですが?
【素焼きが必要】 関東流を多くの方が間違われています。関東流は「蒸す→たれ焼き」ではなく、「素焼き→蒸す→たれ焼き」です。 最初から蒸したら、臭みは取れませんし、茹でたウナギにたれを塗っているのと、そんなに変わりません。工場で生産している蒲焼は、蒸すから入る場合もありますが、 「蒸す→素焼き→蒸す→たれ焼き」と2回蒸しているため、「蒸す→たれ焼き」ではありません。
参考:「フィッシュロースター(蓋型・両面)+魚焼きホイル+蒸す」

蒸さなくていいんですか?
【蒸したい】 鰻屋さんの99%以上は養殖ウナギですが、一般に15〜60分ほど蒸されています。 天然ウナギは皮が厚くて硬いです。そのため普通の鰻屋さんよりも、長く蒸す必要があります。ウナギの大きさにもよりますが、全長55〜60cmであれば30〜60分は必要だと思います。
【蒸さない】 関東は「素焼き→蒸す→たれ焼き」、関西は「素焼き→たれ焼き」です。 蒸すのは余分な脂を落とすためではなく、素焼きで取りきれなかった、臭みやゴムの様に硬い皮を、15〜60分も蒸すことで、処理しているのです。 これを蒸すが無い関西では、確り焼くことで処理しています。言わば関西は「素焼き→確り焼く→たれ焼き」です。 そのために関東の蒲焼は焦げ目が少なくて黄色、関西は焦げ目が多くて茶色ぽくなります。 蒸さない場合は、関東の素焼き程度の焼き加減で、たれ焼きへ入るのはまだ早く、「確り焼く」という工程が抜けているのです。 下の模式図は全長55〜60cmのウナギを焼いた場合です。
蒲焼
よくある失敗例
時間(分)024681012 141618 臭い
臭み
工程 素焼き たれ焼き
白焼き
関西流
時間(分)024681012 141618202224262830 少し臭い
臭み
工程 素焼き 確り焼く
蒲焼
関西流
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840臭くない
臭み
工程 素焼き 確り焼く たれ焼き
蒲焼
関西流
(+霧吹き)
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840424446 臭くない
臭み
工程 素焼き 確り焼く 霧吹き たれ焼き
白焼き
関東流
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840 424446 少し臭い
臭み
工程 素焼き 蒸す
蒲焼
関東流
時間(分)024681012 1416182022242628 303234363840 4244464850 525456臭くない
臭み
工程 素焼き 蒸す たれ焼き

串打ちってどこに刺すのですか?
【刺す方向がある】 串はこの方向に刺します。 ウナギを小さく切っても、刺す方向は同じです。逆に刺すと丸まります。
【皮にやや近い場所】 皮よりも身の方が軟らかいため、焼けて来るとウナギの重さで、串が身を割って外れやすいです。 それを防ぐために串は、真ん中よりもやや皮に近い場所へ刺します。皮側に少し突き出しても問題はないですが、身側に串が見えるようならばやり直します。

串はどんなのが良いですか?
【関西流と関東流とは串が違う】 関西流「素焼き→確り焼く→たれ焼き」は長いステンレス製串、関東流「素焼き→蒸す→たれ焼き」は短い竹串です。 関西流で短い竹串を使うと、確り焼く際に竹串が焦げてしまいます。逆に関東流で長いステンレス製串を使うと、蒸す際に蒸し器に入りません。 形状はどちらも丸串か角串が良く、平串は綺麗に抜け難くなります。
【網に乗せる場合は串打ちしない】 串打ちは浮かせて焼く場合のみに必要で、網に乗せる場合は串打ちは不要です。 網に乗せる場合は、焼き初めに丸まることに気を使う必要はありますが、むしろ串を打つことによって、身が千切れたり、焼きむらが出来たり、抜く時に身崩れしたり、デメリットの方が大きいです。
【BBQコンロで竹串はありえない】 東京にあるテレビ局は、関東流を放送することが多く、竹串に刺さったウナギを、何度も引っ繰り返しています。 そのため蒲焼には竹串というイメージがあるように思います。 しかし、BBQコンロの多くの場合は、素焼き後に蒸すことはなく、竹串なため確り焼くことも出来ず、まだ臭みやゴムの様に硬い皮なのに、たれ焼き工程に移っています。 ようするに、関東流と関西流が混ざり、蒸しもせず、確りも焼かず、どちらの必要工程も飛ばして、失敗蒲焼を作っているのです。

たれは継ぎ足すほど良い?
【差別化】 100年継ぎ足しのたれと、今日作ったたれ、どちらが食べたいですか。これは味の比較ではなく、鰻屋さんの宣伝と差別化です。
【腐ります】 一般家庭では鰻屋さんのように毎日使いません。特に焼いたウナギの頭や骨を入れたり、 蒲焼に使ったたれを戻すと、酸化して腐るのが早まります。冷蔵庫で保管しても1週間と持ちません。 それを非加熱でご飯に掛けると体を壊します。シンプルに作ったたれであれば、数箇月は冷蔵庫で保管できます。
【10年以上継ぎ足し】 実験的に2008年頃から10年以上も、注ぎ足しているたれを使っていますが、出来立ての方が良いです。たれは古くなると醤油の風味が飛びます。
参考:「うなぎのたれ」 「創業時のタレは残っていない」

フィッシュロースターなんて持ってません。初心者でも出来る簡単な焼き方は?
【オーブントースター】 一般的な家庭に1台はあると思います。手軽に出来ます。後で食パンを焼いても、臭い移りはあまりないです。 気になる方はフィッシュロースター(1300Wを推奨)を買いましょう。
【炭火は難しい】 初心者に七輪やバーベキューコンロはおすすめできません。確り焼くことが出来ずに臭みが取れません。 七輪やバーベキューコンロで素焼きにした後で、関東流の蒸しの工程を入れると、臭みが取れるかもしれません。
参考:「オーブントースター+魚焼きホイル+霧吹き」