濃尾平野の水域






輪中地域に見られる悪水路の1つです。
(2000年11月)


消え行く濃尾平野の水域環境の多様性。淡水魚にとって良い環境や悪い環境を写真(画像)という形でご紹介させてもらいます。 淡水魚の採集水域の紹介ではありません。 魚が全く生息していない場所もあります。また、写真の場所自体が大きく変化していたり消失している場所もあります。 堀田環境に関しては別のページで記しています。 河川や水路などという区分で分けていますが、これは便宜上で位置付けたものです。

3面コンクリートの水路が生き物たちに無配慮ものとして随分前から問題視されていて、 その後に近自然河川工法やビオトープなどに代表されるように、 意識改革も起こり地域の方などの認識がより良い方向に変わったことは喜ばしいことなのですが、 その裏で近自然河川工法にしたことによって、減ったり見られなくなったりしている魚たちもいるのです。 それらの河川や水路の工事の際に、完全に水を抜いてから作った環境もあります。 魚は干からびて死に絶え、下流では濁った水が流れ、酸欠と思われますが鼻を上げる魚も見られました。 これは近自然河川工法による被害です。ではなぜ防げなかったのかというと、 その地域のそれぞれの特性に対する配慮が欠けたと言わざるを得ません。 それを知るにはその地域の水環境を詳細に知る必要があると思います。 これらのためにも私は濃尾平野の水環境を写真という形ですが、これからも記していきます。

●河川【a】
【a-01】 (2000.02.岐阜県)
家庭雑排水がろ過もされずにそのまま流されて、洗剤と思わしきもので泡立っています。
【a-02】 (2000.02.岐阜県)
a-01のすぐ上流を見ると水草が多く堅固な護岸ではない昔の懐かしい平野の風景になっています。下流の工事が進めばこれもいつまでこの状態なのかは疑問です。

●河川【b】
【b-01】 (1990年代.岐阜県)
奥に見える橋は車は通れない細い橋です。
【b-02】 (1994.07.岐阜県)
木杭と木板で護岸してあり深さ2mを超すと思います。モツゴなどの産卵床に利用できそうです。
【b-03】 (1990年代.岐阜県)
ガソリンか灯油でしょうか。こういう光景は見たくないものです。
【b-04】 (1990年代.岐阜県)
昔の堤防が未だに残っています。地元の方のお話ですと伊勢湾台風が堤防を破壊した爪あとだそうです。

●河川【c】
【b-01】 (1995.08.三重県)
こういった河川ではヨシノボリ類やアユなら可能かもしれませんが、他の魚は遡上できないことも多いのではないでしょうか。

●河川【d】
【d-01】 (2000.05.愛知県)
2000年になって新しく作られた魚道です。
【d-02】 (2000.05.愛知県)
様々な廃水で泡だった水から臭い匂いがします。
【d-03】 (2000.05.愛知県)
この場所は車でも近くに来ることが出来て、水遊びが盛んなようです。
【d-04】 (2000.05.愛知県)
ゴミと洗剤のような泡で、とても魚が棲める環境には見えません。
【d-05】 (2000.05.愛知県)
直線的に区切られた堰堤です。堰堤のすぐ上流は浅くなっており、単純な環境になっていました。
【d-06】 (1999.07.愛知県)
河口域です。この付近には干潟も見られます。

●河川【e】
【d-01】 (2000.03.愛知県)
平野に隣接した丘陵地にある川です。ため池からの水が水田付近へと流されていました。ここは魚はほとんど見かけません。

●河川【f】
【f-01】 (2000.03.岐阜県)
春ということで河川敷やその付近には菜の花が多く見られました。菜の花は移植のような印象を持ちました。
【f-02】 (2000.03.岐阜県)
濃尾平野の中では大きな河川です。f-01の下流です。

●河川【g】
【g-01】 (2000.05.岐阜県)
近くの水田の影響で濁った水が清らかな水に流れ込んでいます。はっきりと、泥水と澄んだ水がわかります。
【g-02】 (2000.05.岐阜県)
ここにはヤリタナゴやイトモロコなども生息していますが、黒点個体も多いです。

●河川【h】
【h-01】 (2000.11.岐阜県)
河畔林と堤防が高いため怖い感じの雰囲気を出しています。輪中間にある境の川です。大水で堤防の輪の中に水が浸入しないように堤防が高くしてあります。

●河川【i】
【i-01】 (2000.09.岐阜県・愛知県)
木曽川の馬飼大橋です。撮影は早朝です。
【i-02】 (2000.09.岐阜県・愛知県)
馬飼大橋の下流側です。
【i-03】 (2000.09.愛知県)
木曽川の水はコンクリートで仕切られた極めて人工的な海部幹線水路となって南に流れていきます。
【i-04】 (2000.09.岐阜県・愛知県)
佐屋川用水頭首口です。手前側に水が入っていきます。
【i-05】 (2000.09.岐阜県・愛知県)
馬飼大橋の上流です。後ろには養老山地がのぞめます。

●河川【j】
【j-01】 (2001.08.愛知県)
約1分置きに水が噴水します。典型的な都市河川です。
【j-02】 (2001.08.愛知県)
奥には左から右への速い流れがあり、親水公園によく見られる池とは違い小さな子供には危険です。
【j-03】 (2001.08.愛知県)
柵があり水の流れも速く水辺に触れ合うことはできません。
【j-04】 (2001.08.愛知県)
都市景観に合うデザインになっているようです。左側からは排水が滝のように流れ、右側には川を見られるよう突き出した場所と、奥には車の通れない橋に屋根のある休憩するスペースがあります。川には近自然河川工法のような植物が生えているところもあります。


●水路【a】
【a-01】 (2000.02.岐阜県)
昔ながらの防火用水で泥が溜まって浅くなっています。また、用水と繋がっています。
【a-02】 (2000.岐阜県)
水路の一部が掘り下げられて防火用水として利用されている。しかし泥などの堆積物も多く浅くなっている。

●水路【b】
【b-01】 (1999.04.愛知県)
片側はヨシが多く生えている。また、水域は水生植物で覆われていた。水路であるため水位の変動が激しい。

●水路【c】
【c-01】 (1997.12.岐阜県)
水門の管理で季節によって大きく水位の異なる水路です。水生生物も水位と季節で全く違う状態になる。

●水路【d】
【d-01】 (2000.10.愛知県)
矢板が護岸で生き物への配慮はないように思える。近年に改修した水路だが、改修の際には完全に水を抜いてしまったために多くの魚や水生生物が死んだ。また、僅かに残った水域には魚の死骸と、酸欠で鼻上げした魚たちがうろうろとしていた。たとえ水を流すためを目的とした人工物でも無配慮には行き過ぎている気がした。

●水路【e】
【e-01】 (2000.10.岐阜県)
扇状地の先端から湧く湧水によって成り立っている水路です。
【e-02】 (2000.10.岐阜県)
カワセミやゴイサギなどの水鳥が見られることがあります。農業には冷水は向かないようで、ここの水は水田や畑には利用されていないようです。

●水路【f】
【f-01】 (2000.11.岐阜県)
掘り抜き井戸から出た水で水路の水が常に満たされていました。濃尾平野でも水路の中にあるものは希です。
【f-02】 (2000.11.岐阜県)
掘り抜き井戸そのものも現在は随分と減りました。でもこの地域は他のも多くの掘り抜き井戸が見られます。地元の方のお話ですと地下30m程度から自噴させているものだそうです。

●水路【g】
【g-01】 (2000.11.岐阜県)
輪中の内側にある水路で、常に水深が浅く素掘りなのですが、水が枯れたのを見たことはありません。

●水路【h】
【h-01】 (2000.11.三重県)
崩れた護岸の杭が露出しています。奥の家のようなものはポンプ小屋です。周りは水田に囲まれています。
【h-02】 (2000.11.三重県)
鉄分が多いような水が流れ込んでいます。湧水の影響だと考えられます。

●水路【i】
【i-01】 (2000.11.岐阜県)
不思議な水路です。本線はコンクリートの壁の左側ですが、本線から溢れているという感じも受けますが、謎で私にはわかりません。

●水路【j】
【h-01】 (2000.11.愛知県)
木曽川の馬飼大橋から海部幹線水路という名称で流れています。
【h-02】 (2000.11.愛知県)
極めて人工的な水路で少なくとも生き物への配慮は全くないと思います。また、水面の高さも2本の内の1本のみを低くしたり自由に変えられるようです。


●運河【a】
【a-01】 (1998.愛知県)
海の影響を大きく受けるこうした運河は、濃尾平野では次々と消えてゆく運命にあります。

●河跡湖【a】
【a-01】 (2000.04.岐阜県)
木曽川水系にある河跡湖です。
【a-02】 (2000.04.岐阜県)
河跡湖は通常は水が流れることはないのですが、ここは工場廃水によって流れを持ち、底はヘドロで流れる水は澄んでいるという不思議なところです。

●池【a】
【a-01】 (1997.12.愛知県)
元々は貯木場として利用されていた場所を公園の池としたものです。池になってからは淡水化されて放流された魚などが多いです。希に飼えなくなった魚を放流している人を見かけます。

●池【b】
【b-01】 (1999.04.岐阜県)
地元の人の話ですと、奥に写っている鉄道の盛土のために掘った場所が、水域として残ったものだそうです。

●池【c】
【c-01】 (1999.06.愛知県)
水深が浅くほぼ一定でプールのような池です。住宅地によくある公園の中の人工池といった感じです。

●防火用水【a】
【a-01】 (2000.11.岐阜県)
完全な人造物ですが、同様な場所でギベリオブナ(キンギョ)やフナ類なとが泳いでいるのをよく見かけます。大雨で水が溢れたときは、おそらく近くの水域まで移動が可能だと考えられます。

●休耕田の溜まり【a】
【a-01】 (2000.岐阜県)
池の脇の休耕田に出来た溜まりで、フナ類やメダカなども確認できました。魚はおそらく隣接する水田から侵入したものと推測できました。

●高畦【a】
【a-01】 (1990年代.岐阜県)
水深は極めて浅く水が溜まることもそれほど多くはない。魚類の侵入は周りの水田の水位に影響されると思われる。

●湧水地【a】
【a-01】 (1998.04.岐阜県)
湧水は数箇所からわずかに湧いているのを確認しました。近年この水域はオオフサモが多く繁茂しています。

●湧水地【b】
【b-01】 (2000.11.岐阜県)
湧水は下から泡ぶくを伴なって出てきていました。また側面の石組みの隙間からも出て湧水量は多いです。
【b-02】 (2000.11.岐阜県)
地元の方は畑から獲れた野菜をこの湧水地で洗ったりしています。
【b-03】 (2000.11.岐阜県)
沸いた水が道路を潜って土管から抜け出します。
【b-04】 (2000.11.岐阜県)
堅固な護岸のない水路です。撮影は11月でしたが春の小川を思い起こさせました。

●湧水湿地【a】
【a-01】 (1990年代.岐阜県)
湧水によって人の近づきにくい環境になっている。こうした湧水湿地が広い面積で残っている場所は濃尾平野でも少ない。
【a-02】 (1990年代.岐阜県)
水は透き通っていて底がはっきりと確認できた。

●干潟【a】
【a-01】 (2000.07.愛知県)
干潮から少し経った干潟。日本でも有数の広さを誇る藤前干潟です。ゴミの埋め立て処分場としての計画は近年中止されました。
【a-02】 (2000.07.愛知県)
水は泥で濁り辺りは干潟独特の匂いで臭さもあった。
【a-03】 (2000.08.愛知県)
干潮時で新川が左側に見えます。
【a-04】 (2001.06.愛知県)
大潮の干潮時で遠くまで干潟が広がっています。
【a-05】 (2001.06.愛知県)
底質は泥で汚いです。掘ると分解されないプラスチックごみいくつも出てきます。

●干潟【b】
【a-01】 (2001.07.三重県)
大潮の干潮時の様子です。異臭は感じられませんでした。
【a-02】 (2001.07.三重県)
夏の休日になると家族連れが押し寄せます。時より河川で水上バイクが引き起こした波が打ちつけ、小さな子供さんなどは危険ではと思いました。
【a-03】 (2001.07.三重県)
干潟と脇には舟が多く接岸しており、その辺りだけは深くなっていました。