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写真掲示板 [日淡会]
2018年08月 過去記事

祝!タニガワナマズ! / 西村

とうとうタニガワナマズ(仮称)→タニガワナマズ(新称)になりました。
http://www.mapress.com/j/zt/article/view/zootaxa.4459.3.5 関係者の皆様、大変にお疲れ様でした。

2018/08/17(金)21:21 No.2803 
Re: 祝!タニガワナマズ! / 西村
2016年3月18日に http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.2070/full を見て驚きました。
イワトコナマズに近い系統が東海地方にもいる。その魚を「ナマズモドキ」とツイッターで称する方がいました。

「Re: 鰻と鯰 / 西村 Email 2016/03/24 (木) 00:52 https://tansuigyo.net/a/gao/sk-2016-03.html
この魚のことが気になりだして、ずーなまさんと採集を試みたのが、2016年3月21日でした。

「タニガワナマズ(仮称) / 西村 Email 2016/04/24 (日) 23:06 https://tansuigyo.net/a/gao/sk-2016-04.html
2016年4月23日にうなたろうさんらが、本格的に研究するということで、微力ながら協力することにしました。
論文や報文が出ていない段階では、通常「ナマズ属の一種」として扱うべきですが、
困ったことにナマズモドキが、じわじわ通称名になりそうな感じでした。ここが全ての始まりです…。
ナマズモドキが使われ出して、それが浸透してしまうと、その後に新称を提唱しても混乱が生じます。
そのため止むを得ず仮称を付けるしかありませんでした。それがタニガワナマズ(仮称)です。
タニガワナマズは、私が和名は短い方が絶対に良いと思っているため、谷や沢にいるナマズであることから、
タニナマズかサワナマズはどうかと、うなたろうさんに提案すると、それならばタニガワとしたいとのことで、
2文字でも増えるのは、本当はどうかなと思っていたのですが、記載するのはうなたろうさんなため賛同しました。

「GW前半 / 西村 Email 2016/05/03 (火) 23:26 https://tansuigyo.net/a/gao/sk-2016-05.html
2016年5月3日にようやく採集できました。イワトコによく似ていました。写真はその個体の鋤骨歯帯です。
2016年4月の段階で、この特徴は識別形質になると想像していて、東海地方産の2つに分かれる標本は確認していました。
そのため写真や情報は公開しませんでした。5月3日捕った個体を見て驚きました。イワトコと違って繋がっていたのです。

http://www.bunken.org/pdf_store/isj/publication/pdf/08/085-6/085-604.pdf
友田先生(1度だけお話させて頂いたことがあります)の論文の注釈(130ページの13)に重要な記述がありました。
ざっくり要約すると、各地のナマズの鋤骨歯帯は、個体的にも変異が大きいが、琵琶湖だけは明瞭に分かれていたと。
ようするに、琵琶湖のイワトコとナマズでは使えるが、他では使えそうで使えない形質ということです。
その後も2つに分かれていたり、繋がりかけていたり、完全に繋がっていたり、個体変異が大きいことが分かってきました。
しかし、それがあたかも使えるかのように、ネットや書籍で誤った情報を流布する人が現れました。
更には止むを得ず付けた仮称も、何の事情も知らないのに、極めて攻撃的な批判を受けました。
本人に面と向かって、事情をご説明させてもらったのですが、結果として全くわかってもらえなかった感じです。
仮称に対する批判と、歯が割れているからタニガワだ。という誤った情報は、その後も続いて大変に迷惑でした。

2016年春から夏にかけてのサンプリングは過酷でした。 https://youtu.be/7O3TBzdQWrI 死にかけたこともありました。
うなたろうさんによると、当初は2016年内に新種記載できるかもということで、そこまでは雑音に耳を塞ぎ、
耐えようと我慢していましたが、今度は2017年初め頃と伸びました。それも仕方がないと思っていましたが、
思うように物事が進まない時期があり、お互いに相手の悪いところばかり気になり、2017年3月頃から連絡も希になりました。
2018年になったときには、もう新種記載は無理だろうし、この件に関わることに、疲れてしまいました。

それが2018年8月14日付のメールで、新種記載論文が受理されたと。少し複雑でしたが、結実に嬉しくなりました。
うなたろうさんも私の知らないところで、色々と大変だったと思います。お疲れ様でした。
タニガワナマズ Silurus tomodai Hibino and Tabata, 2018
友田先生に献名されたのは最高だと思いました。これでタニ仮とか書かなくても済みます笑。

2018/08/17(金)21:21 No.2804
Re: 祝!タニガワナマズ! / 西村
2016年5月14日に愛知県で採集したタニガワです。カナヘビやカエル類を吐き出しました。
これも微妙に繋がっていますが、卵はナマズのような緑色と違って橙色でした。こうした特長も伏せていました。

2018/08/17(金)21:22 No.2805
Re: 祝!タニガワナマズ! / 西村
2016年8月20日に三重県で採集したタニガワです。歯が繋がっています。腹側の模様も微妙です。
ナマズとタニガワは、ここだけ見れば識別できるということではなく、何箇所か見て判断する必要がありそうです。
それでも見慣れて来ると、ぱっと見でどっちか識別できるようになると思います。タニガワは私の感覚からすると、
分布域は限られていますが、その域内の上中流域では、決して希少ではないという印象です。
移入と思われるナマズの生息域拡大が、タニガワにとっての一番の脅威ではないかと思っています。
とにかく、終わり良ければすべて良し。ということで、喜ばしいニュースでした。

2018/08/17(金)21:22 No.2806
Re: 祝!タニガワナマズ! / RK
西村さん、色々とお疲れまでした。
記事を読んで、とても懐かしく思いました。2014年に四国で初めてアカザクレード1(1−1)を採集してそれから凄くアカザに関心が湧いたところ、2016年3月頃、こちらのサイトで詳しい解説があり、他地域に固有のサブクレードが両種ともに存在する事にとても興奮した記憶があります。四国以外で魚を採集はしないと決めてはいましたが(車の運転や長旅が苦手な為)やはり湧き上がる気持ちはそれらを凌駕しました。2016年3月にアカザの2種類について熱く語りたいと思い、大阪で行われる魚類自然史研究会でお会いする予定でしたが、前夜にこのナマズの存在が明らかになった事により実際にはタニガワの話で盛り上がったのをよく覚えています。2016年はタニガワとアカザ2種に燃えた一年でした。20代を終えたばかりなのにまるで青春を謳歌しているような…そんな気分でした。
当初は限定的な仲間内だけで呼んでいたタニガワナマズ。昨日から全国区で報道され、自分たちの手から羽ばたいていったような…そんな気分でちょっと寂しい気分でもあります(笑)
2018/08/18(土)14:19 No.2809
Re: 祝!タニガワナマズ! / RK
画像貼れてませんでした。
2016年5月が初採集でした。

2018/08/18(土)16:56 No.2810
Re: 祝!タニガワナマズ! / スギタ
これがこの前お聞きしたナマズですか〜!
先日のこちらの新聞にも載っていてきっとあの話のナマズなんだろうなぁと思っていました。
2018/08/19(日)17:03 No.2814
Re: 祝!タニガワナマズ! / 西村
コメントありがとうございます。

RKさん。これまで色々とご相談や愚痴に付き合って下さって感謝しています。出遭うことが出来て良かったです。
この件はまだ伏せていることもありますが、昨年に「懸情流水 受恩刻石」という言葉を覚えたので、黙っておきます。
この間はエキサイトしましたね。全国区になって、この魚の知見も増えて、より様々なことが、多方面から分かってくることでしょうね。

スギタさん。静岡県の一部だけにいるものとは別種です。ご興味があれば、こちらに来られた際にでも、採集へ行きましょう。
↓新種記載されたタニガワナマズはSiluridaeのS. asotus (Miya R.)〜S. asotus (AP012022)で、S. lithophilusはイワトコナマズです。
https://onlinelibrary.wiley.com/action/downloadSupplement?doi=10.1002%2Fece3.2070&file=ece32070-sup-0001-FigS1.pdf
Silurus asotus(L. Nishi-no-ko)〜S. asotus (Abe R.)はナマズとされていますが、タニガワナマズとイワトコナマズよりも、
ナマズ内の分岐は時間経過が長いものがいます。その中でもAbe R.はとんでもなく時間が経っています。中国からの外来らしいです。
この集団は2河川で知られているらしく、昨年12月は2河川とも確認できました。静岡県 https://tansuigyo.net/a/x-075.html
形態差異があればタニガワナマズと同様に、別種として記載される可能性はありますが、極端な違いは見つけられませんでした。

写真は「タニガワナマズ(仮称) / 西村 Email 2016/04/24 (日) 23:06 https://tansuigyo.net/a/gao/sk-2016-04.html」の個体です。
この時点で歯は確認していました。先の投稿でちょっと誤解されそうな書き方をしたので、少し訂正させてもらいます。
「歯が割れているからタニガワだ。という誤った情報」ですが、割れていないナマズ、割れているタニガワ、という同定は出来ないという意味です。
割れていないタニガワがいます。また、ナマズの歯の調査は十分とは言えませんし、友田先生の変異が大きいという注釈もあります。
そのため歯が八の字になっているという記述を複数の本で見かけましたが、正確には「八の字になっている個体もいる」ということです。
記載後も未だに歯が決定的な特徴だと思われていて、なんだかなぁという気持ちになりました。そんな間違ったことも報道されてるのかなぁ。

2018/08/19(日)17:29 No.2822
Re: 祝!タニガワナマズ! / スギタ
詳しくありがとうございます。
勘違いしていてお恥ずかしい・・・。
そちらにいく機会がありましたらまたお願い致します。
2018/08/20(月)11:16 No.2832


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